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古谷治子
株式会社マネジメントサポート代表取締役社長 [ コミュニケーション ][ 礼儀作法 ][ キャリア ][ サービス力 ][ 起業 ]
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古谷治子
[インタビュー]
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「クレーム対応」は経験よりスキルが必要(2)
2007.10.31
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新入社員でも抑えておくべきビジネスマナー ――初期対応ですべてが決まるクレーム解決法
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□検定合格率15%!? まだまだ問題意識が低いクレーム対応
――――今回のこの本は、クレーム対応の初期編でしょうか?
そうですね。今回のクレーム対応検定は、3つあるバージョンのうちの初期対応なんです。初期対応、中級対応、終盤対応とあって、今回は初期、入り口なんですが、この入り口でも今のところ合格率15%くらいです。
――――ものすごくレベルの高い検定ですね。
ちょっと時間が短かったのか、100問中95問できないと合格にしていないんです。これがちょっとね、バーが高すぎたかな、とは思っていますが。
――――予想されていた合格率と違いましたか?
私は3割は受かると思っていたんです。今、予想の半分です。ですからもうちょっと100問中85問合格とかね、少し下げたり修正を今後していかなくてはいけないな、と思っています。かなり低いです、今のところ。合格率が低くなっていますね。
――――問題のレベルを下げることはできないでしょうから、やっぱり受ける方にもっと問題意識を高めてもらう必要がある?
そうですね。だって勉強せずいきなり受けるんですから、ちょっと厳しいです。もう少し、やはり考え方とかいろいろとスキルを認識してから受けると、ぐっと上がっていくと思うんですね。
――――こういう方に受けてもらいたい、という思いはありますか?
はい。やはりお客様相談室の方ですとか、それから最近はコールセンターという部署で日々お客様と一本の電話で商品の売買をしていますよね。そういうお客様センター。そして絶対受けてほしいのは、お客様相談室。この方には、何が何でもあなたのレベルをチェックしてほしいです。
――――15%以上の中に、入っていただかないといけないですよね。
そうですね。ぜひとも。
□実力主義の時代でも、社員には育てるべき時期がある!
――――古谷さんはクレーム以外にも、マナーや社員研修など幅広くやってらっしゃいますが、どういった分野をされているか詳しくうかがえますか。
はい。私共は一言で言うと社員教育、人材育成コンサルティング会社です。いろいろな企業さん、官公庁、自治体さんにお伺いしています。まず階層教育です。新人、中堅管理者の層の教育。そして後は職種別と言って、特にCSです。お客様満足というものが欧米から20年前に入ってきまして、どの企業さんも今はCSという考え方を導入していない会社はないんです。でも絵に描いた餅の企業が多い。実際に一本の電話で、対面で、どういう風にお客様満足を具現化しているかというと、なかなか難しい。ですからそこを導入します。導入する前に“ミステリーサーベイ”と言いまして、お客様のふりをして見に行くんです、企業に。
――――ミステリーサーベイ?
はい。例えば以前、郵政省さんだった時、郵便局では実際にお客様と職員がどういうやり取りをしているか、お客様のふりをして見に行って数値化しました。またいろいろな企業に電話をして、あなたの電話応対100点満点中70点よ、とかそこからスタートなんです。その会社ができていること、その個人ができていないこと、いろいろと分析をしてカスタマイズして、研修のカリキュラムを作り、そこを指導にあたる。
――――では研修として何かパッケージがあるわけではなくて、各企業の課題に合わせて対応していかれるのですね。
そうですね。もちろんパッケージもありますよ。営業研修、インストラクター養成研修、クレーム研修、といろいろなパッケージがありますが、なかなかニーズがその通りにはいきませんのでね。一応パッケージをベースに、カスタマイズをするというのが謳い文句です。
――――最近若いビジネスパーソンが3年で辞めていく、とよくテーマになりますよね。そういった中で、会社として人を育てることに対して消極的になってしまっている気がしてなりません。企業の研修に関わるお立場として、今後企業はどういう形で人を育てていくべきと考えていらっしゃいますか。
そうですね。全体の流れからして、今までの年功序列、終身雇用の時は徹底的に企業が人を作るシステムを導入していました。しかし、5年くらい前からは自分のキャリアは自分で作れば、というような感覚も、非常に流動性の中、そういう考え方が導入されていることは事実なんです。でも押さえるべきところは、やはり押さえないといけない。例えば新入社員研修、例えば3年目、もし5年までいたら5年目までの研修とか、ポイントポイントはやはり押さえる。そして後はできる人・できない人、やりたい人・やりたくない人、この辺りはカフェテリア形式だとか、検定を取ったら会社がそのお金を補填しますよ、とかいろいろな考え方、やり方があっていいと思うんですね。
――――一方で、失われた10年と言われる、企業が研修にコストをかけられない時代が長年続いて、最近やっとそこに対して力を入れ始めたけれど、どこからやっていいのかわからず、人を育てるやり方を忘れてしまった会社が多いのではないでしょうか。そういった場合は、どうアドバイスされているのですか?
私はまずね、入ってきたその1番の新入社員の導入研修、ここは絶対に外してはいけません。うちの会社はこうなんだよ、それはやはりすべて熱いうちにやっていかないといけない。まずは新人研修です。そして後は指導する中堅、上の立場の方、指導者の方の教育をやるべきなんですね。ですから新入社員の方と、組織で言えば、そうですね、係長か課長クラスの方。会社を一番動かしていく、そういった方々は絶対やっていかなくてはいけないと思うので。
――――管理職と新入社員。入り口のところですね。
そうですね。管理職というより中堅社員でしょうか。管理職になってしまうと、また逆に厳しいので。
――――管理職になる手前で、ということですね。
手前でしょうかね。中堅の方々です。一番組織に重要な、会社を動かしていく中堅の方々の研修ですね。
――――では逆に、会社で研修を受ける立場の方は、自分が懐を痛めないで受けられとなると、若い方は特に、ついついやらされ感があるという方も多いのではと思うのですが、受ける立場としてどう捉えたらいいのでしょうか。
そうですね。ですから確かに「行ってこい、と言われたから来た」という受講生と、自分の意志で自ら来たという方、2パターンいらっしゃるんですね。会社もそうは言っても、時間とお金がかかる研修ですから、やる気のない人は受けなくてもいいんじゃないですか。やはりご自身にやる気のある方、本当に自己成長したい方に受けていただく、というのも方法だと思うんですよね。今までのように必要ないのに年齢において受けてきた、というケースもありましたけど、やはり意識の高い方に受けていただいて、それを自分のものとせずフィードバックを職場の中で水平展開していく、ということも大変重要なので、意外に自分のものだけにする方が多いですからね。その辺りを部下、まわりに、それがどういう形になるかはいろいろあると思いますが、ある程度出していってアウトプットしていかないと、あまり意味はないですよね。
□たくさんのノビシロが残されている“女性の社会進出”
――――長年こういった研修や人材育成に関わってこられて、時代の変化なども感じていらっしゃると思いますが、今後取り組んで行きたいテーマなど具体的にお持ちですか。
私は15年前に会社を始めた時、「女性を育成していく」、これで始めたんですが、15年前はまだまだニーズがありませんでした。でも今、この時代になってリーダーの女性、組織の中で本当に活躍する女性が出てきた。男性も女性も能力は同じですが、特性は違うと思うんですね。ですから私は、ちょっと前に生きてきた人間として、先輩として、こういう風にすると女性がもっと活躍できますよ、また女性の甘さを払拭しましょうね、こういうところは女性の問題ですよね、というところをどんどん指導していきたいと思っています。今だから女性管理者、女性リーダーに向けてやっていきたいです。
――――女性の社会進出は長年のテーマでもあると思いますが、言われ過ぎたといいますか、今さら感があるようでいて実はまだ実現されていないと?
そうですね。やはり女性はどうしても自分の成長のため、自分が好きな仕事を、が多いんですよ。そこをもう少し広い視野で、どうやって自分の能力を職場に組織の中に生かしていくか、というところですかね。
――――女性の管理職の方がたくさんいる企業、あるいは実際に活躍している企業はまだまだ少ないですよね。
少ないですね。やっぱりそういう風土がないと、そういうシステム支援制度がないと難しいのも現実ですが、まずは自分自身の意志、自分自身のスキルアップ、まず自分の気持ちですよね。女性のね。「周りがしてくれないから」「職場がやってくれないから」これは全然違う問題ですからね。
――――最近は景気も良くなって人不足ですから、女性の方の自己実現も大事ですが企業もそれを求めていますよね。
そうですね。
――――まだまだやる事はたくさんあると。
あります。
――――今後、お書きになりたいテーマもありますか。
はい。沢山あります。でも、これでも26冊目になったんです。まだまだテーマはたくさんあります。
――――次も楽しみにしています。本日は『速習クレーム対応』の著者、古谷治子さんにお話を伺いました。 クレームというのは初期対応で決まると言われていますが、まさにその時、火に油をそそぐようなことにならないように、クッションを使ったり相手を慮ったりすることによって、おそらく変わってくると思います。今回は、古谷さんからその全てを聞くことはできませんでしたが、ぜひ皆さんも検定を受けていただいて、合格していただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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