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古谷治子
株式会社マネジメントサポート代表取締役社長 [ コミュニケーション ][ 礼儀作法 ][ キャリア ][ サービス力 ][ 起業 ]
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古谷治子
[インタビュー]
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「クレーム対応」は経験よりスキルが必要(1)
2007.10.31
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新入社員でも抑えておくべきビジネスマナー ――初期対応ですべてが決まるクレーム解決法
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□クレームという重いテーマを若い人にも受けとめてほしい
――――本日のゲストは『速習クレーム対応』の著者、古谷治子さんです。古谷さん、本日はよろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
――――この本にはものすごくたくさんの図版が使われていますね。この本のテーマは“検定”ということですが。
そうです。検定を合格させる、ということで書かせていただいた本なんです。
――――こうして図版を使って検定という仕掛けにしようと思われたきかっけは?
実はですね、1年くらい前に私、マナーの本を出しました。最近の方って意外に文字を読まない方が多いですね。特にマナーを見る方というのは、入社1、2年の方が多いかな。そういう方に、思い切って漫画に切り替えて出したら結構売れました。ですから、クレームはマナーよりももっともっとテーマとしては難しいテーマなんですが、これもひとつ、あまりないから絵で、漫画で図版で出してみよう、という結構思い切った策なんです。
――――クレームというとイメージ的に重い話ですが、全体のイラストもポップというよりも可愛らしい感じですよね。
そうですね。それは出版社の方に選んでいただいて、あまりくずしてもいけないし、かつあまり重々しくてもいけないので、どういう絵がいいかな、と。結構力作です。
――――構想されてから本になるまで、どれくらいかかりましたか?
3カ月くらいです。結構早いでしょ。
――――早いですね。
要するに、クレームの検定が9月6日だったんです。9月の6日で、「クレーム」。
――――9月6日は「クレームの日」なんですか?
はい。勝手に登録しちゃいました。
――――本当ですか?
はい。もう登録をさせていただいて、その日から検定をスタートしたんです。ですからそれに間に合うように、ということで発案が多分6月の末くらいだったように思います。だから6、7、8くらいで出しましたよね。
――――実際、本を作るにあたっては編集の方とかなり作業をされたのですか?
はい。文章は7割方削られてしまいました。
――――それだけ今の若い方々に本を読んでいただこうとすると、文章のボリュームも絞る必要があるということでしょうか。
そうですね。私は書かせてはいただいたんですが、これじゃ面白くない、この5行を1つの顔で表現しよう、この30行を1つのお人形さんの漫画の対談で、ワンカットで表そう、ということでもうザックリです。
――――それだけ文章量を少なくすると、かなり伝える部分でご苦労もあったのでは?
厳しいですね。ですからキーワード、本当にキーワードだけを残す。正直言って、この1冊で全てをわからせるのは難しいのですが、検定に受かるための1つの教則本と捉えれば逆に要らない、どうでもいい枝葉はカットしているので、受かりやすいかもしれません。
□クレーム処理には、感覚や経験より「スキル」が必要
――――クレームというのは、仕事している方にとって遠い存在のようでいて、もっと近いものだと思うのですが。
そうですね。どうしてもクレームを受ける方というのは専門の部署が受けるケースも多いんですが、クレームを日本語にするとお客様からの問題提起なんです。ですから、しょっちゅうお客様から問題を提起されるケースは多いですよね。人事からではないですよね。
――――もしかすると、お客様はクレームを伝えていても、自分はクレームと感じないということもあるかもしれないですね。
そうですね。それはお客様の言い方、言い方が柔らかい人が言うと「え、今のクレームだったの」ということもあるし、また小さなクレームでも大きく表現オーバーに言う方がいるので、そうするととてつもなく大きなクレームに勘違いする、という。これは相手の言い方によるものが結構多いんじゃないかな、と思います。
――――本にも書かれていましたが、クレームは最初のアプローチを間違えると、相当後を引くと?
大きいですよ。ですから、起こしたことは仕方がないんですよね。人は起こしたことを非難するのではなくて、起こしたことにどう対処するか、ということで非難をするのではないでしょうか。だから「初動」なんです。だから最初に言ってきたことに対する反応が、大変重要になってくるわけですよね。
――――クレームの対応は、どう学べばいいのでしょうか? 例えば新入社員でいきなりクレーム対応を習うことは少ないですよね。
やはりクレームというのは、レベルとしては難易度が高いですから、新人には難しいです。でも一番電話に出るのが新人。最初にお客様に対応する“いらっしゃいませ”が新人なんですよ。だから、その新人がスキルとして身に付ける。特別な心理状態のお客様が、クレームを言ってくるお客様です。だからクレームを言ってくるお客様の心理状態ってどうなんだろう、これはやっぱり勉強しないと無理。そして、ではクレームが入った時に解決までどう対処するかは経験上では難しいから、やはり勉強する、スキルの習得なんです。
――――感性とか感覚でやってはいけないことなんですね。
いけません。感性がよくて経験値が高い方は、それはクレーム応対はお上手でしょうが、でも百発百中ではないんです。ですから、やはりクレームのスキル、こういうクレームにおいてはこのように対処しよう、クレームはこういう流れでゴールに進むんですよ、という考え方が、スキルがありますからここを知らないよりは知っておいた方が解決策に導く率は高くなりますよね。
――――クレームは相手の方のクレームを収めるということもありますが、もう一歩進んで、ビジネスチャンスとも考えられるのでは?
いいと思います。やはり永久顧客の約6割近くの方が「なぜこの会社が好きなの」と伺うとそれは1つ、「クレームが起こった時にどう対処したか」。やはり人間というのは、問題があった時にどう対処するかでファンになるか、逃げていくか、この大きな瀬戸際だと思うんですよね。ですから、まさにピンチをチャンスにするというのも事実だと思います。
――――クレームを言われると逃げてしまったり、あるいは丸く治めようとする方が増えている気がするのですが。
そうですね。確かに私も本には「クレームはお客様からの宝の山だよ」と書きますけど、嘘。これはやっぱり本音じゃないんです。クレームを受けた瞬間は嫌ですよ、逃げたいですよ。「私は関係ないのに、誰がやったの」と犯人探しですよね。ですから、やっぱりクレームから逃げたい心理は誰でもあるんです。それはなぜかと言うと、お客様からの理不尽な怒りをいきなり言われることに慣れている人はいないです。
――――当然ストレスになりますよね。それを自分の中で溜めないようにしなくてはいけないんですよね。
そうですね。だから、自分を叱っているのではないので、1つのクレームが発生したらどうやって解決に導くか。これはもう感覚・経験ではなくて、1つのスキルにのっとって対処すべきだと私共は考えています。
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