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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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「金(ゴールド)」の売り叩き
2012.03.25
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「2月29日」に起きたことは、「ヨーロッパのLTRO(長期資金供給オペ)」 と呼ばれるものであり、同時に、 「金や銀などを、大量に売り叩いた」ということである。
具体的には、「12月21日」に続き、再び、 「約57兆円もの資金を、3年間、1%の金利で多くの銀行に貸し与えた」 というものであるが、このことは、 典型的な「問題の先送り」であるとともに、 「借金爆弾の規模を、大きくする効果しかない」とも言えるのである。
つまり、最後には、「すべての借金を、紙幣の増刷で賄えばよい」 というような考えにより、「できるだけ、時間稼ぎをしたい」 という思惑が存在するようだが、常識から判断できることは、 「借金爆弾の破裂時期が遅れれば遅れるほど、破裂した時の衝撃が大きくなる」 ということである。
そのために、海外の投資家は、ほとんどが、 「金融システム」や「通貨制度」の破綻を予想し、 「実物の金や銀を買い、6か月分の食料を備蓄する」ということを、 今まで以上に切実に訴え始めているのだが、日本においては、 残念ながら、ほとんど理解されていないようである。
そして、実際に大事件が起きると、 今回の「AIJ投資顧問の詐欺事件」と同様に、 大慌てしながら、「こんなはずではなかった」と嘆くことになるようだが、 「どのような時代においても、同様の悲劇が繰り返されている」とも言えるようである。
そのために、「過去に学び、将来に備える」ということが 必要とされているものと感じているのだが、 今回の「金の売り叩き」に関しても、 「過去11年間、ほとんど、同じことが繰り返されている」 という状況になっているのである。
つまり、「2001年の250ドルから、 昨年の1920ドルにまで上昇する過程」において、 きわめて大きな規模の「金の売り叩き」が起きており、 そのために、本来あるべき価格からは、はるかに低い水準に 「金価格が放置されている」ということである。
しかも、「世界の資金量」を考えると、 「過去10年ほどで、大量の資金が創出された」ということも 理解できるために、より一層、「貴金属の価値」が高まっているのだが、 この点については、「はっきりとした形で大事件が起きない限り、 ほとんどの人には理解できない」という状況が考えられるようだ。
そして、このことは、「2011年の大震災」の時と同様に、 「大事件の後に、人々の意識が様変わりになる」ということでもあるが、 このような観点からは、余計な警告は無用であり、 返って、人々の「気付き」の妨げになる可能性もあるようだ。
(2012年3月7日)
本間裕(経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師)
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