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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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インフレの大津波
2011.06.07
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「2011年」における最大の事件は 「金融の大地震とインフレの大津波」だと考えているが、 「5月24日」に発表された「ベラルーシの通貨切り下げ」は、 その「始まり」の可能性があるようだ。
具体的には、突如として、 「3155ルーブルから4930ルーブルへと、56%も通貨の価値が切り下げられた」 という状況だったのだが、この時に起きたことは、 「価値が低くなった通貨を見切り、慌てて、いろいろな商品を買う動きが起きた」 ということである。
つまり、典型的な「換物運動」が起き始めている状況であり、 このことは、今後、「数年前のジンバブエ」のような 「ハイパー・インフレ」に繋がることが想定され始めているのである。
また、今後の注目点としては、「ギリシャ」が、「ベラルーシ」と同様の状態になる可能性のようだが、 実際には、「ギリシャ」に対して、まったく「打つ手」がなくなり、 今後は、「債務の再編」か、あるいは、「ユーロからの離脱」が、 真剣に議論され始めている状況とも言えるのである。
しかも、この時に問題なのは、「ギリシャの債務危機」は、 次に、「ポルトガル、スペイン、あるいは、イタリアなどへと、 ほぼ瞬間的に広がっていく可能性が高い」ということである。
そして、かりに、「イタリア」にまで、このような問題が広がると、 その次には、「フランス」や「イギリス」、あるいは、「日本」や「アメリカ」なども、 「債務危機の問題に直面する」という状況が想定されるのである。
また、この時の、大きな問題点としては、 「ドル」や「ユーロ」、そして、「円」の全ての通貨が 「同じような問題に悩まされている」ということである。
そのために、当面は、 「先進国の国債を買い支え、できるだけ、時間稼ぎをしよう」 というような動きが見られるようだが、 このことは、典型的な「自爆行為」とも言えるようだ。
つまり、戦争中の「神風特攻隊」のようなものであり、 結果としては、「戦力の低下」に悩まされ、 「敗戦の時期を早めた可能性がある」ということである。
別の言葉では、現在の「国債価格の上昇」が、 かりに、私の想定するような理由によるものだとしたら、 今後の「急落局面」においては、 「未曾有の規模で、金融界に激震が起きる」 ということが考えられ、その時に残るものは、 「裏側に貸し手がいない実物資産」になるようだ。
そして、このことが、以前から、 「金や銀などを推奨してきた理由」でもあるのだが、 現在では、いよいよ、「沖に大きな波」が見え始めた可能性があるようだ。
(2011年5月27日)
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