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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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究極の税金/いつまでもあると思うな、親と金
2012.02.08
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●究極の税金
現在の国会では、「消費税率の引き上げ」が中心の議題になっている。 そして、「消費税率を上げれば、国家財政問題が解決する」 というような錯覚を抱いている人も、数多く見受けられるようだが、 実際には、「国家の借金は、このままでは増え続ける」 ということが確実視されているのである。
つまり、「消費税率を引き上げても、問題は、まったく解決できない」 ということであり、また、「単なる時間稼ぎにすぎない」ということである。
そして、間もなく、「税金には、二種類が存在する」ということが、 広く知れ渡るものと考えているが、それは、 「目に見える税金」と「目に見えない税金」のことである。
具体的には、「消費税」や「所得税」などは、「目に見える税金」であり、 「国民が、実際に支払う種類」のものだが、実は、この他に、 「目に見えない税金」が存在するのである。
つまり、「インフレ税」と呼ばれるものであり、実際には、 「国民が知らないところで、資産が国家に没収される」というものである。
そして、この税金は、過去の歴史において、頻繁に課されているのだが、 現在の日本では、まったく忘れ去られているようである。
より詳しく申し上げると、 「国家財政が行き詰まり、国債の発行ができなくなった時に、 どのような事が起きるのか?」ということである。
具体的には、「1991年のソ連崩壊」の時には、 「長期国債が売れなくなり、その後に、短期国債も売れなくなった」 という事件の後に、「中央銀行が大量に紙幣を増刷した」 という変化が起きたのである。
そして、このような状況下では、誰も紙幣を信用しなくなり、 「紙幣を受け取ると、すぐに、市場で実物資産に交換する」という、 いわゆる「換物運動」に繋がったのだが、世界の歴史を見ると、 このような事態は、過去に頻繁に起きているのである。
また、最後の局面では、「ハイパーインフレ」という 「スパイラル的な価格の上昇」が起き、 「レストランに入った時と出た時とで、価格が違った」 というような物価の上昇にも見舞われたのである。
つまり、「国家や紙幣に対する信用が崩壊する」ということは、 一方で、「実物商品しか信用できない」と考えることを意味しているのだが、 「デフレ」という言葉に惑わされた人々は、 いまだに、この点が理解できないようだ。
そのために、今回も、間もなく、「究極の税金」である 「インフレ税」が国民に課され、 「気が付いたら、自分の資産は、ほとんど無くなっていた」 という状況が訪れることになりそうだが、問題は、 「いつ、日本人がこのことに気付き、慌てて、 自分の資産を移動させ始めるのか?」ということである。
●いつまでもあると思うな、親と金
日本の諺に、「いつまでもあると思うな、親と金」という言葉がある。 そして、「実際に親を亡くした時に、初めて、親の有難さを実感した」 という経験は、多くの人が味わったことでもあるようだが、 残念ながら、「お金」に関しては、 「日本人全体が、いまだに、大きな錯覚を抱いている」とも感じられるのである。
つまり、「1971年以降の約40年間に、 日本人がどれほど裕福になったのか?」を考えていないために、 ほとんどの人が「現代のお金」に過度の信頼感を寄せすぎており、 結果として、「お金の本質が見えなくなっている」ということである。
具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、 膨大な「お金」が創られ、世界中の人々が、知らないうちに、 「お金の魔力」に洗脳されてしまったのである。
そして、「お金さえあれば、自分の生活は安泰だ」とか、あるいは、 「お金があれば、人々の心まで買える」という大きな誤解を抱いたようだが、 実は、このことが、「大きな幻想」であり、また、「40年間の膿」 とも言えるのである。
つまり、本来、「お金」というものは、「人々の信用や錯覚」にすぎず、 過去の歴史においては、「ほぼ瞬間的に、価値が消滅する」 ということが起きているのである。
そのために、現時点で必要な事は、 「何が、本来、自分の生活に必要な物なのか?」を考えながら、 「過去40年間に、我々の生活が、どのように変化したのか?」 を理解することだと考えている。
具体的には、「現在、必需品と考えられている商品は、本当に、 生活に必要なのか?」ということだが、どうも、現代人は、 あまりにも余計なものを抱え込みすぎたようである。
そして、現在の生活水準が維持できなくなる恐怖心に怯え始め、 より一層、お金に執着心を持ったようだが、このような心理状態こそが、 実は、現在の金融混乱を引き起こした根本的な原因とも言えるのである。
つまり、「マネーの大膨張」により、「国家債務」のみならず、 「さまざまな借金」が、「資産の裏側」で膨らんだのだが、 現在では、世界中の人々が、その「ツケ」を払わされ始めているのである。
そして、間もなく、「世界的な借金爆弾の破裂」により、 世界中の人々がパニック状態に陥ることも想定されるのだが、 この時に大切な事は、「慌てず、騒がず、冷静に対応する」ということである。
あるいは、「人々の絆を大切にして、お互いに助け合う」ということでもあるが、 この時には、「日本人全体が、親心を持ち始め、他人を慈しむ」というような 「思いやりの心」のことだが、実際に、 「3・11の大震災」以降、日本各地で芽生え始めているようである。
(2012年1月26日)
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