|
|
本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
|
|
ドイツのマイナス金利
2012.02.08
|
|
|
年末年始の薄商いの状況において、ドイツの一年国債が、 マイナスの金利にまで低下した。
具体的には、 「1%の金利が付く1年国債の価格が、101.7まで上昇した」 ということだが、このことが意味することは、 「1万170ユーロを、この債券に投資すると、1年後には、 金利を含めても、1万100ユーロでしか返ってこない」ということである。
つまり、 「1年後には、損が確定するような国債に、誰かが投資している」 ということだが、このことは、 「投資の理論」からは、考えられないような出来事とも言えるのである。
そのために、「なぜ、このような事が起きたのか?」を考えながら、 「今後、どのような展開が想定されるのか?」を見る必要性があるのだが、 基本的には、「国債の価格操作に行き詰まりが出た」ということであり、 また、「金融のコントロールに、限界点が訪れた」ということだと考えている。
つまり、「過去数年間は、コンピューターによる高速取引などで、 世界の金融市場がコントロールされていた」ということは、 世界的に認識され始めているのだが、今回は、 このような「価格操作」と「貴金属などの売り叩き」が、 これ以上、難しくなってきたことが考えられるのである。
そして、今後は、今までの反動が出ることにより、世界の金融市場は、 大きく変動することが予想されるのだが、この時の注目点としては、 「政治の機能不全であり、また、先進国の選挙」でもあるようだ。
具体的には、「アメリカの大統領選挙」であり、 「日本の解散、総選挙の動向」のことだが、現在の状況としては、 「野田首相の暴走」が行き詰まりを見せ始めたことにより、 「日本の政治も、風雲、急を告げ始めた」という状況になっているようだ。
しかも、この時に、 「消費税率が上げられないとすると、日本国債の価格が暴落する」 というような意見が、政府の高官からも出始めているために、 実際には、もはや、「待ったなしの状況」にもなっていることが 想定されるのである。
そのために、今後は、 「国債価格が暴落すると、どのような状況が訪れるのか?」を考えながら、 本当の意味での「金融大激震」に備える必要性があるのだが、 過去の経験則から言えることは、 「増税には、二種類が存在する」ということを理解しながら、 これからは、「目に見えない税金」である「インフレ税」が、 我々に圧し掛かってくるということを考える必要性があるようだ。
つまり、全ての借金を棒引きにする方法として、どのような政府も、 この方法を採用するということが予想されるのだが、このことが、 「ドイツ国債のマイナス金利」がもたらす、大きな反動とも言えるようである。
(2012年1月4日)
|