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松尾昭仁
ネクストサービス株式会社 代表取締役CEO [ コミュニケーション ][ 成功法則 ][ 自己実現 ]
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松尾昭仁
[インタビュー]
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「自分」という個人を「ブランド」にする!(1)
2007.11.07
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他人と確実に差をつけるには――― 実力、経験、人間性を上手に伝える“魅せ方”
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□なぜ、サラリーマンにも「セルフブランディング」が必要?
―――本日のゲストは、『「その他大勢」から一瞬で抜け出す技術』の著者、松尾昭仁さんです。松尾さん、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いいたします。
―――「一瞬で抜け出す」ということはつまり、最近よく言われる自分自身のセルフブランディングをしたいという方が増えているということでしょうか。
実際、私がセミナーをやっていまして、やっぱりセミナーに参加する方というのは、今の自分を変えたい、という方なんですね。その“変えたい人”に代表されるキーワードが「自分をもっと表に出したい」。いわゆる自分の名前で仕事がしたい、ということなんですね。具体的には、例えば大きな会社に勤めていれば、その会社の名前で仕事ができますが、独立したときには個人の名前で仕事ができないという現実があって、では自分がその会社を辞めてからでも、松尾なら松尾のお客さんがついてくるような自分になりたいという方が、いま多いですね。
―――それは、この最近増えてきたんですか。
いや、もともとあったと思います。
―――例えば弁護士といった士業の方などはイメージが湧きますが、サラリーマンの方でも当てはまるのでしょうか。
サラリーマンといまの起業ブームというのが重なっていて、そういった問題が発生していると思うんですね。終身雇用でずっと会社のなかで働いていくときには、恐らく、出る杭は打たれるではないですけれども、かえって目立ち過ぎないほうがいいというような全体的な傾向があったと思いますが、いま最初に入った会社に一生勤めようという方は、恐らくそんなにいないと思うんですよね。実際、会社自身も将来までわからない。大きな会社が倒産するような時代ですから、そうなったときの危機感として、本能的に、そういったビジネスマンが自分の個を磨きたいというようなニーズが湧き出てきているのではないかなと。
―――それだけ、将来が不透明になってきたということですよね。
そうですね。
―――一方で士業の方にとっては、さらにセルフブランディングについての要望は強いのでしょうか。
そうですね、とくに先程から出ている士業ですよね。行政書士さん、社労士さん、税理士さんなどが私のセミナー参加者にも多いのですが、以前ですと絶対的に少なかったと思うんですよね。町に税理士は1人か2人だったので、看板だけ揚げておけば、嫌でも来てもらえた。ただ、毎年、毎年合格者が増えて、まして定年がないですよね。ということは、需要と供給のバランスとして、もう「士業だから食べていける」という時代ではなくなった。まして規制緩和で、とくに行政書士のお仕事などは、ペーパーレス化、いわゆるインターネットで探せばできるような仕事が増えてきてしまって、どうしてもなくてはならないというような形でもなくなってきていると。そうなってくると、「ここに私が行政書士事務所を開業していますよ」「税理士事務所を開業していますよ」ということを、まず知ってもらわなければならない。知ってもらって、次に合いみつで値段の競争に巻き込まれないように、「何々先生だからお願いしたい」というような形にしなくては、先生業というのも大変になってきている、というところがあると思います。
□心の底から自信を持てるか――「抜け出す人」になる分岐点
―――本のなかで、差別化するといいますか、抜け出すための方法がかかれていますが、最初にやったほうがいいことは何でしょう?
まず“気持ち”ですよね。ちょっと具体的ではないのかもしれませんが、自分の仕事に自信を持つということなんですね。「あの、私でいいでしょうか」といった人に、お客様は大切なお金は払わないと思うんですよ。やっぱり自信満々の人、「私だったら完璧にこなします」というような人でないと、もうプロとして認められない時代。ということは、自分の商品に自信を持たなければならない。そこがまず最初だと思います。
―――そういったところは皆さんできているような気がするのですが、意外とそうでもないのですか?
とくに士業の方ですね。大ベテランの方、30年目の方くらいで初めて一人前といわれているような、そういう教育を受けているんですよ、協会のなかで。「まだまだね、30のひよっこが何いってるんだ」「俺は60になってやっと食べていけるんだぞ」と。啓蒙されているわけですよね、まだまだまだまだと。だからといって、じゃあ60歳の人はたくさん仕事があるかといったら、ちょっとわからないですけどね。そうなってくると、協会の上の人に向かって目線を出すよりも、一般の人達に向かって「いや、ここの分野では私は先生なんだから、安心して仕事を任せてください」というような気持ちを持たないと、やっぱりお客さんとしては不安ですよね。
―――では気持ちがしっかりしたら、次はどうすればいいのでしょう?
次は、“露出を増やす”ということですね。例えばいま、インターネットという媒体がありますよね。もうされている方は、弁護士の先生も税理士の先生もブログを書き続けて固定のファンを増やして、本当に悩みがあるときには、いつも顔を見ているその先生に頼みたいと思わせるような、ネットの露出ですよね。最終的には士業の先生、また個人でコンサルティングなどされている方は、今回の私のように出版をして、紙媒体での露出というのが最高のブランディングになると思います。
―――やはり“本を書く”ということが、ブランディングとしては大きいのですか。
てっとり早いのはネットの露出だとは思うんですね。ただ、やはりインターネットの露出というのも数が多すぎて、自分のホームページ、ブログになかなかたどり着いてもらえない。そうすると、やっぱり書店で本を手にとって、その方がインターネットで自分の情報も公開している、と。そしてホームページを見て、ブログなどで毎日、その人の行動を見ていくうちに、なぜかだんだん親近感が湧いてくる。そうなると、悩みを抱えているときには親近感のある人に頼みたくなるというのが、やはり普通の人間の心理かなと。
―――例えば本を書くとか、ブログを書くということは、誰でもやればできる部分もあると思うのですが、そのなかで抜け出すために差別化になるものをどう作っていけばいいのですか?
これは私の考えの基本にあるものなんですが、とくに士業の方はそうですし、普通の仕事をやられている方も、その分野ではプロなんですよね。それはなぜかというと、お金を貰っているから。ただし、その業界では当たり前の知識かもしれませんが、その業界の外と、業界の下、例えばその業界にこれから入りたい人ですとか、業界に全く関係のない人に向けて情報を発信すれば、その業界のなかでは普通のことでも価値ある情報になる。そうするとプロになれる、ということなんですね。ここでも私の、まあ持論でもあるのですが、その業界30年、40年の大ベテランの、頭がちょっと凝り固まってしまって、専門用語がボンボン出てくる方よりも、その業界に入ってまだ経験は浅いが、自分もそのお客さんに近い立場の人の優しい日本語のほうが伝わるのではないのかなと。そういったニーズもあるのではないかと思います。
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