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平本相武
株式会社ピークパフォーマンス代表取締役 [ コミュニケーション ][ 自己実現 ]
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平本相武
[インタビュー]
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「自分の軸」を知ることが成功のカギになる(3)
2007.10.17
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目標に変わる成功へのキーワードとは―― 数々の経営者、アスリートが実践している成功法則
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□ルーティンワークの中にも充実を感じる瞬間がある
――――一流の方には哲学があると思うのですが、逆に言うと世の中の一般の方はまだそこまでいっていない段階だと思います。哲学を持つということによって、これから変わっていけるものでしょうか。
哲学を持つというのは自分軸だとして、もう1つの自分とのコミュニケーションがリソースフルな意識状態で、メンタルというのを私は大きくは3つ捉えています。マイナスから0と、0からプラスと、プラスからその上です。 マイナスから0というのは「俺って駄目だよ」と低いセルフイメージがあったり、「そんなの無理だよ」とネガティブな信念があったり、遊びたいし働きたいしという葛藤、価値観の葛藤があったりする段階が整理されてきたのが0の段階。この辺はカウンセリングとか使う領域ですね。自分の心のブレーキを取る。 0からプラスというのは、どちらかというと「これのために競技をやっているんだ」「こんな会社にしたいんだ」「自分は会社でこうなりたいんだ」という、やりたいことを見つける、サポートするメンタルの部分。ここを私はコーチングという言い方をしています。では、やりたいことが見つかってどんどんパフォーマンスを発揮するというのは、私の表現で言うとピークパフォーマンスです。
――――ピークパフォーマンスですか。
そして、もちろんアスリートや芸能人でも実はカウンセリングが必要な人もいれば、カウンセリングは問題ないし、やりたいことも勝ちたいことも明確に決まっている、という人もいる。更に上を目指したいから、を理由にしてピークパフォーマンスする。ある俳優の方は1番いい演技をした時のものの見え方、聴こえ方、感じ方を、実際その姿勢を取りながら引き出していただいて、その状態を別の演技でも発揮する。そういうリソースフルにする、心のスイッチの入れ方が、自分軸とは別のもう1つ大事な部分ですね。
――――それは仕事でルーティンワークをされている方にも当てはまりますか?
当てはまりますね。例えば今ルーティンワークしていたとする。そして、かつてルーティンワークだけど楽しくできた時が全くないか、と言ったらあるはずなんですね。どんな人でも、営業でもやっていて良かった時とか、経理でも何でもいいですけど、仕事をやっていてすごく乗れていたよな、はまれていたなという時がある。私は中1から新聞配達とか皿洗いとかをやっていたので、皿洗いというと結構大変なんですよね、すごい量もある。でもすごく皿洗いが楽しくて楽しくてしょうがない、という時がある。10人位のウエイトレスがどんどん持ってくるのに、もっと持って来い、みたいな感じでやっている瞬間もあるんですね。そんな風に楽しめた。そうしてすごく自分が乗れていた時、楽しかった時の意識状態を思い出して、私が教えるわけでも指導するわけでもなく、その人のその時の姿勢や表情、呼吸、体の動きやものの見え方、聴こえ方、感じ方、それを何度でも再現すると同じ状態になっていきます。
――――では、どなたでも対象になるということですね。
なります。
□カギは再現力――何かを“乗り越えた瞬間”を思い返そう
――――続編、といいますが新しい本を書かれたそうですが。『人生がうまくいく「心のスイッチ」の入れ方』という本ですが、どのようなテーマで書かれているのですか。
今お話したリソースフルな意識状態、そのリソースフルというものをもう少し説明すると、リソースとリソースフルとでは全然違うんです。リソースというのは人脈がある、お金がある、物がある、資材がある、人材がある、もしくは計算ができる、パソコンが打てる、株価が読める、不動産を見ることができる、みたいに能力とか才能とか知識とか、現に目の前にある、もしくは使えるものがリソース。どんなにMBAを取ったり、どんなに知識があって、どんなに経験があっても、リソースフルでない意識状態で「あぁ、駄目だ」みたいになると、本当はどんなに計算ができてもできない。ところがリソースフルな意識状態になると、計算能力もない、パソコンも使えない、英語も使えない、人脈も金も何にもないけど、行けるんだという意識状態になると「じゃあ、あなたお願い」「じゃあ協力してくれる」「じゃあ一緒にやろうよ」みたいな感じでやれば、そういう楽しそうな人がいると「何かわかんないけどあいつ手伝ってやろう」といった気になるんですよね。「そんな夢があるんだったら、あいつは何もないけど俺は手伝うよ」みたいな。それがリソースフル。リソースフルだけだと、ただの馬鹿になってしまうので、自分軸があってリソースフルになると、皆が応援したくなるし、手伝いたくなるし、じゃあその中で何ができるか考えられる。これが意識状態の話ですね。
――――リソースフルになる、ということは簡単なようでいて簡単じゃないですね。
実はなるのではなくて、なったことが皆あるんですよ。で、それを思い出すだけなんです。
――――先程の話で皿洗いが楽しかったことがあるということでしたが、それを思い出すことによって皿洗いが楽しくなったりする、ということですか。
例えば今ビジネスでちょっと困っている課題がある、と頭の中で想像してみて下さい。なかなかうまくいかないな、というのをちょっと想像して下さい。そして過去に戻っていただいて、営業の仕事でも別の仕事でもいいので「これは無理だよな」と思ったけど乗り越えた経験ってありますよね。もしくは仕事でもいいしバイトでもいいし、学生時代でもいいです。ありますよね。
――――あります。
その時を思い出してほしいんです。そして、その時に自分はどんな思いでやっていたかとか、もしくはどんな感情があったかとか、もしくはどんな行動をしたかとか、もしくは誰に何を頼んだか。その時の感情とか、考えとか、気持ちとか、行動とか、人に頼んだことってありますよね。
――――ありますね。
でしたら、ありありと思い出していただいて、その時の考え方、感じ方、行動の仕方、人の頼み方で全く一緒ではないけれど、今の課題に活かせそうなことはないだろうか。そう考えると、これはちょっとできるかな、と。
――――再現力はすごく大事なんですね。
大事ですね。私は何かを教えたり指導するのではないです。全部その人の中にリソースフルだった場面があります。例えばあるアメフトの選手をコーチングした時に、常に2番だ、と。日本でも2番だし、全米に行った時にミッドウエストで1番だったけど全米で2番だ、と。いつも2番だ、と。「アメフトでいい時ないですか」と言ったら「ない」と言いました。どうもアメフトではない。ただ振り返ってみると、駅伝で、中学校の時に自分は駅伝選手ではないのに全国大会1位になった人が後ろから追いかけてきた時、本来抜かれるはずなのに差をつけた瞬間に「俺は行ける」と思った。あの時の感覚でアメフトやると「あぁ、何か違う」と。ある野球選手はピッチングでいい状態にないんだけど、中学校でキーパーをやっていた時にとんでもない玉を止めちゃった、と。あの時の感覚を引き出してピッチングすると、今までにないピッチングができた。今までにないパフォーマンスなんだけど、私から教わったのではなくて、それは本人の中にあるんです。
――――最後に、皆さんに対して一言メッセージいただけますか。
そうですね。絶対自分が好きなもの、やりたいことは必ずありますし、私の1番の信条というのは「人生に負け組はない」。何か1つの目盛りで勝ち負け決めると、売上が勝った人・負けた人、1番になった人・負けた人といますけど、どんな人でも自分の人生で何が大事でどうなりたいかを見つけて、自分で世界でたった1つのオンリーワンの指標を作って、それに向けてアクションを起こしていったら負け組は存在しない。逆に、そんな1つの指標でやるほうが世の中がおかしくなる。田舎に行きたい人、都会に行きたい人、ビジネスをやりたい人、農業をやりたい人、家族をいっぱい作りたい人、独身でいたい人、いろんな人がいるからこそ世の中も会社も伸びる。そしてそのためにこそ、「無理だ」「駄目だ」という意識状態ではなくて、才能も何もない、私自身高校時代はヤンキーでパンチパーマで偏差値37で何にもない状態だったのに、自分がリソースフルな意識状態で、絶対やるんだという意識状態だけでできたので、ぜひ自分がやりたいこと、自分軸を見つけて、そしてリソースフルな意識状態になる。そうすると人生に負け組はない。
――――ありがとうございます。本日のゲストは『成功するのに目標はいらない!』の著者、平本相武さんでした。 今回感じたのは、再現力を持つということです。自分自身の成功体験、あるいは自分を掻き立てるものというのはどこにあるかというと、過去の自分の意外なところにあったりするということですね。それをちゃんと再現できれば、今の、これからの成功に結び付けることができるということだと思います。ですから今日、私も平本さんのお話を聞いていて、自分の営業の仕事を思い出したのではなくて、小学校の時に先生に褒められた時のことを思い出してしまいました。明日から使ってみようと思っております。どうもありがとうございました。
ありがとうございます。
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