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平本相武
株式会社ピークパフォーマンス代表取締役 [ コミュニケーション ][ 自己実現 ]
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平本相武
[インタビュー]
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「自分の軸」を知ることが成功のカギになる(2)
2007.10.17
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目標に変わる成功へのキーワードとは―― 数々の経営者、アスリートが実践している成功法則
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□成功のために必要な「自分の軸」を見つける3つのステップ
――――本のテーマに「自分の軸」がありますよね。この軸というのは、なかなか会社で教えてもらえるものではないですし、日頃自分の中で気付かないまま時が過ぎてしまう気がするのですが。
その理由が3つありまして、まず1つは人によって違うんですね。私の仕事というのは、私が成功するというよりは私が関わることでいろんな人が、アスリートであったり俳優さんだったり歌手だったり経営者だったりサラリーマンの方だったり、その人達を成功させる仕事なんですけど、そうすると見ていると皆何が充実や幸せかが違うんです。六本木ヒルズで大きな会社をやるのが充実だ、という人もいれば、鹿児島に行って畑で芋いじりするのがすごく幸せだ、という人もいれば、のんびりとした静岡でゆったりとしたサラリーマンをしながら楽しみたい、という人もいて、何が幸せか違う。特に私は、経営者とか投資家とか一般的に成功している方々もコーチングするんですけど、傍から見たらあんなにお金を持っていてあんなに社会的地位があって幸せじゃん、という方が割と幸せじゃないですね。
――――幸せではないんですか。
「これが幸せだ」と思って目指してみたら、「何なのこれは」みたいな方がいっぱいいる。
――――幸せの価値観が違うというのは、なかなか自分で気付かないことですよね。
それが2つ目の理由で、1つ目は人によって違うし、2つ目は気付きにくいんですよ。なぜかと言うと、今までそんなことを考えるように私達は育てられていないんですね。皆があの大学に行くから行くとか、皆があの会社に行くから行くとか、皆がやっているからとか、もしくは親や先生に「これ向いてるんじゃないの」と言われたとか。何かわからないけど家族や親に期待されたりとか、もしくは行かないと不安じゃないか、みたいな。そういう、人に言われたりとか人に要求されたりとか、皆がやっているとか不安だとか、もしくは自分で「これだ」と思い込んでいる。そういう理由で気付きたくないというよりは、気付いていないんですね。
――――そういうもので、そこそこ満足してしまっていた、ということもあるんでしょうか。
というよりも、本当に自分軸というものを見つけることなく育ってきた。それはなぜかと言うと3、40年前というのは経済的に日本人は全員苦しくて、車が買える、冷蔵庫買える、洗濯機がある、クーラーがある、と。醤油を借りなくて済む、と。とにかく食うので精一杯だと。どこでもいいので大手さん入れてください、と。生涯私の面倒見て下さい、一生懸命やりますから。それだけで飯が食えただけで幸せという時代だった。でも今、日本で食っていけないという人はいない。何かしらの仕事はありますよ。だからこそ自分で選んでいくしかないんですね。今までは食えればいい。それが食えればいいだけじゃなくて、自分で何が言いたいのか見つけていく必要がある。
――――豊かになって、更に豊かなものを目指していくと、そこに何か自分の達成感を感じられないような時代になってしまったと?
というよりも、マズローの欲求階層説で言うと、生きていくのが精一杯な時代から、生きてはいける分、ちゃんと自分が認められたいとか、自己実現と言ったらオーバーですけど自分の才能をもっと発揮したいとか、そういう領域に来ているんじゃないかなと思うんですよね。
――――日頃仕事をしていて、例えば私は会社経営をしていますが、そうなった時に自分自身の軸というのはあるようでない瞬間があるんですが。
実はそれは3つ目の答えで、同じ人でも人によって違うんですね。時によって変わってきます。20代の頃は絶対山手線内のこういう家に住みたい、と言っていたのが、40ぐらいになったら軽井沢とか自然のほうがいいや、みたいに。
――――変わりますよね。
変わってきますね。じゃあ前のは間違いで今のは正しかったのか、というわけではなくて、やっぱり自分にとってその時その時に大事だと思うものが変わってくる。こういう3つの理由。人によって違うし気付きにくいし、自分の中でも変わってくる。だからこそなかなか見つけにくいというのは確かなんですよね。 ところが今までみたいに、先生が言うから、上司が言うから、会社が言うから、親が言うから、じゃあきっとそれが幸せだろう、じゃあ言うとおりにやっておいて数字だけ出しておいたら幸せだろう、という時代ではもうないですね。自分で何が大事でどんなことをしたいのかな、というのを考えていく。大それたビジョンじゃなくても、プロジェクトXのように「なんとか瀬戸大橋を架けます」とか「新幹線造ります」とか、もちろんそれも素敵なビジョンですけど、なんかこういう暮らしをしたいな、いつかボランティアしたいなとか、いつか子ども達のスポーツサポートをしたいな、みたいな、そういうビジョンでもいい。とにかく1日の中で、例えばビジョンを「貢献」としたら、1日の仕事の中で貢献と感じられるのを1つでも探す。社員への貢献か、一期一会で会った人への貢献か、道端で会った人への貢献か。貢献できているな、と感じが持てたらその人は結果的により成功にいくし、貢献が大事なのにもかかわらず例えば金儲けに走ったりとか、名誉に走ったりとかしてしまうと、それが良い悪いじゃなくてその人の価値観からずれていく、ということですね。
□“リソースフルな状態”が成功への道筋をつくる!
――――平本さんは経営者の方だけでなく、アスリートの方や俳優といった方に対していろいろな形で指導されていると思うのですが、そういった成功者の中でも自分の軸が持てない人は多いのですか。
自分の軸というよりも、まず大枠からお話すると、私にとって大事なのはコミュニケーションです。大きく2つあって、他の人とのコミュニケーション、もう1つは自分自身とのコミュニケーション。そして自分自身とのコミュニケーションの中にまた大きく2つあって、1つは自分軸ですね。要は何が大事でどうしたい、と。そしてもう1つは、ちょっと難しい言い方になるんですけど、リソースフルな意識状態です。
――――リソースフルとは?
リソースフルというのは、行けるような気分になる状態、もしくは意識状態で絶対大丈夫と、つまり火事場の馬鹿力が出る、そういう意識状態。自分軸が見つかっていても「いや、どうかな」みたいな、リソースフルじゃない意識状態だったら駄目だし、リソースフルではあるんだけども「何したいんだっけ」みたいになってしまうと、ただ能天気で楽しいだけになってしまうので。 アスリートや俳優さんや経営者の方、投資家の方もコーチングさせていただいて、1つは何のためにこのお仕事をやっているんだっけ、何のためにこのスポーツやっているんだっけ、ここでこの競技でどこまで行きたいんだっけ、選手生命でどこまで行きたいんだっけ、この会社をどこまでにしたいんだっけ、という、自分軸を見つけるという部分と、もう1つは過去の1番良かったパフォーマンスを何度でも再現する。これはアスリートの方だったら、1番いい試合ができた、あの時のあの瞬間のプレイを再現するとか、俳優さんだったら1番演技ができた映画の場面を引っ張ってきて、経営者だったら1番いい判断ができたときとか、投資家の方だったら絶対負けないぞという意識状態、そこに入った瞬間を引き出す。これがリソースフルな状態ですね。
――――なるほど。例えばアスリートで野球選手を例にとった時に、自分の道を一生懸命極めていくものであって、ひたすら前に前に前にやっていくイメージがありますが、価値観や自分の軸を持つようになったのは最近の話なのでしょうか。
実は言うと、一流と言われている選手はイチローでもそうですけど、皆哲学を持っていますね。これのために野球をやっているんだとか、俺は野球でここまで行きたいんだとか、哲学を持っている。あと、前に前にというのも、私達がたまに野球を見たりやったりすると楽しいですけど、毎日ガキの時からやっていると段々嫌になったり、スランプに落ちて「俺何してるんだろう」という時に、やっぱり「何のためにやってるんだっけ」というのを見出さなくては駄目だし。例えば同じアメフトの選手でも、ブレイクスルーが好きでアメフトをやっている選手と、神の栄光を称えるためにアメフトをやっている選手と、家族が食っていけないからこいつら食わすために銭のためにやっているんだという選手と、同じアメフトでも何のためにやっているのかが違うと、モチベーションする時にブレイクスルーだったら「ブレイクスルーしろ」と言って「よっしゃ」と行くし、クリスチャンの人は「神の栄光のため」と行くし、貧乏だったら「お前らトライしないと食えないぞ」と言うとトライする。つまりその競技で何で燃えるかは、人によって違いますね。あの時口惜しい思いをしたな、と思い出すほうが燃える人は、それを思い出したほうがいい。そういう意味で言うと、やっぱり自分軸がまず1つ大事だし、もう1つは自分の心のスイッチ入れてリソースフルな状態、行けるんじゃないか、という状態にする。
――――その結果としてパフォーマンスは上がっていくと?
そうですね。パフォーマンスは確実に上がりますね。
――――継続できる、ということもあるでしょうか。
最終的には、自分でその状態が再現できるようにしますね。
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