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中谷彰宏
著者 [ コミュニケーション ][ 成功法則 ][ 自己実現 ]
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中谷彰宏
[インタビュー]
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自分を変えるきっかけを作る“言葉の魔法”(3)
2007.09.19
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成功とは、友人とは、体験とは、本気とは―― 人生の節目に答えをくれる言葉の数々
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□どんな言葉も“生の体験”とセットになって初めて力になる
――――最近の若い社会人はすぐ会社を辞めてしまう、3年で辞めるという傾向があって、一方で横のつながりが広いですよね。SNSなどを使ってネット上の友人はたくさんいるけれども、本当の親友はいないという人が増えてきている気がします。 中谷さんから見て10年間の変遷の中で、若い人の考え方が変わってきたように思われるところはありますか?
今SNSが挙げられたように、バーチャルの情報が増えてきているというのはあるよね。バーチャルの情報が増えてくると、あたかも自分に友達が多いように錯覚してしまう。 例えばなぜ転職してしまうかというと、他所のほうが今の会社よりもっといいと思うからだけれど、本当に他業種で友達がいっぱいいる人というのは、どちらも大変だとわかる。そっちも大変こっちも大変。それは「うちの業界も結構大変だよ」ということを言ってくれる相手がいるから。だからリアルな友達が多い人というのは意外に転職しない。「どこも大変だな」というのがわかっている。ところが友達がいないとその情報がわからないから、他所がいいように見えてしまう。それで転職してみたら意外に外からの印象と違ってつまらなかった、みたいなことになる。そこのインサイドの本当の情報を教えてくれる友達が、いかにいなかったかということだ。 他の業界、他の会社に本当の意味での友達がいたら、そこに行く前に「ここは結構きついよ」ということを教えてくれるから、実は転職ショッピングを繰り返している人はリアルな友達が少ない人なんだ。
――――今、20代の若いビジネスパーソンの方に、この名言集を1度読んでもらって、気になる言葉だけメモしておけば、後になってすごく役立つのではないかと思いますよね。
その時に役立つかどうかは、生の体験とワンセットじゃないとダメなんだよね。生の体験とここに書いてあることとを照らし合わせるという作業がないと、読んだだけではわからない。だから生の体験を多くしている人はすごく面白いんだけど、読み物だけで生の体験をほとんどしていない人にはスルーしてほしい。意味がわからなくて、「当たり前じゃん」みたいに思ってしまう。ところが、先ほど挙がった“神様のサインはいつも行け”という言葉は、自分の中の生の体験と照らし合わせるから心に残る。1人1人の生の体験は皆違う。 皆違う生の体験があるけれど、例えばディズニーランドの本当の面白さというのは、やっぱり行ったことのある人じゃないとわからないんだよね。それをテレビの情報番組で見たり、ガイドブックで見たりして「ディズニーランドって面白いよ」と言っても、説得力がないよね。イッツ・ア・スモールワールドに1回だけ乗りましたという人と、100回乗りましたという人では見方が違う。
――――違いますね。
全然見方が違う。だって乗ってびっくりするものでも、例えばカリブの海賊に初めて乗るとびっくりするけど、2回目はもう見ている視点が違う。それが生の体験。今、生の体験を語る人が少なすぎるよね。
――――そうですね。“神様のサインはいつも行け”という言葉に私がピンときたのも、会社を経営したり、実際に管理職になったりする中で、迷うという経験をしますよね。そうして迷うことによって“行く”ということの大切さを感じたんです。
迷うということは、トライしているということ。トライもしていない人は迷いがない。だからほとんどの生の体験をしない人というのは、迷いすらしていない。どうしていいかわからない。つまり選択肢を持っていない。トライしていくということは、選択しかない。やるべきかやらないべきか、選択肢がここで生まれてくるけれど、「迷っているんです」という人に「何と何で迷っていますか」と聞くと、選択肢が挙がらない。選択肢すら挙げられない人がいる。 迷っていると本人は言っているけれど、それは迷っているとは言わないよ、と。
――――話を聞いて欲しい、とことですよね。
ただじっとしているだけ。グズグズ言っているだけ。迷っているのとグズグズ言っているのは違うよ。
□誰かの“本気”に触れたとき、人生が変わる
――――中谷さんは本を書かれる以外にも、講演のほうも最近また再開されたということですが、ライブでとなるとまた違いを感じられますか。
この間も大前研一さんのアタッカーズスクールで、来た人たちをボコボコにやったんだよね。笑わせて泣かせるんだけど、基本的にはボコボコにやります。泣かしちゃったか、と思うけれど、その人はミニスクールの授業を受けて感動して泣いているんだけど、いい大人なんです。でも泣いている子というのは感受性の豊かな子で、やる気のある子なんだけどね。 その人に何が伝わっているかというと、メッセージの情報ではなくて、中谷彰宏って本気だな、というのが伝わっている。この本気の人にめぐり会うということは、すごく大事なんだよ。本気の人にめぐり会える人とめぐり会えない人がいて、僕は本でもそれは伝えているけれど、生で会うと「こいつ、何かわからないけど本気だな」ということが熱で伝わってくる。これを感じる、これに出会う、接触する、火傷ギリギリの熱さを味わうという、これが大事なんだよ。
――――中谷さんの本を読むと、活字の力もあると思いますがクールなイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。そこで実際にお会いしてその本気度を見るとまた違いますよね。
僕を知っている仲間は「本っておとなしいよね」と言う。リアル・中谷彰宏、生・中谷に比べたら本・中谷はおとなしいよね、というのを皆感じる。でも本しか知らない人は過激だと言うね。でも全然過激じゃないよ。だって生のほうが熱いから。
――――これから少しずつ熱い生・中谷さんを世の中にまた見せていこうということなのでしょうか。
僕はやる時はやるから、30代の頃は講演をやっていて、これは一段落したほうがいいかなというところまできて、今度は別の活動をずっとやってきた。そこでまた講演をやろうということで、今は年365回講演をやろうと思っている。この間も韓国で2泊3日で3回の講演をやって来た。韓国の人達は熱いんだよね。だからこれは日本の昔の人たちが持っていた熱さだなと。僕がしばらく講演を休んでいたのは、「なんで皆がこんなに熱くないんだろう」と感じて、これはちょっと違うやり方をしないといけないと思った。だから韓国に行って講演をしていると、日本の若い人達もミドルも経営者も皆この熱さを持っていたはずなのに、と思ってね。それなら今度は、例えば100人に話をして、1人でもいいから熱くなってくれる人がいたらいいかなと。会場に何人いようが関係なしに、この中から1人熱い人を見つけよう、とね。その人と多分一緒に仕事をすることになるだろうし。そう思ってやっている。だからもう半ば布教活動だよね。
――――それでは、ぜひ皆さんに中谷さんの本をお読みいただいて、また講演などの機会に生・中谷さんと出会って、その両方を体験してほしいと思います。本日のゲストは『中谷彰宏 名言集』の著者、中谷彰宏さんでした。 今日のお話では、特に成長していくことが自分にとっての成功である、という言葉が印象的でした。そうであれば、5年経っても10年経っても、自分が目指すものは変らないんですね。実際に私もそうですし、中谷さんもそうですが、10年後にお会いしたときに同じような価値観であることを目指していきたいですし、皆さんも変らない自分が目指す成功というものを探していけばいいのではないかと思います。 中谷さん、本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
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