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小松俊明
外資系エグゼクティブリクルーター [ 時間管理 ][ キャリア ]
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第10回 人間のつながり方
2007.09.03
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動物が画面いっぱいに映し出されると、何をしていてもついテレビに眼が釘付けになってしまいます。普段はニュースとスポーツ以外はぜんぜんテレビを見ないくせに、動物をクローズアップした番組だけは、結構、誰もが見逃すような渋い番組までチェックしてみています。
ぼくのこの趣味ともいえる行動は、自分が「人材ビジネス」をやっていることと、少しは関係があるのかなと、ふと思うことがあります。人間って複雑な感情を持った生き物だと思うから、比較的本能の向くままに行動する動物や昆虫などに、つい目が向くのかなって思うのです。
厳しい環境で生きる動物であればあるほど、本能が働き、合理的な選択をしているものです。その反面、人間は、へたに知能と感情を働かせるために、判断ミスが多い生き物であり、なかには失敗から学べない人間も多数いるものです。(僕も気をつけないと。)一方、素直な人間は本能に従っているからでしょうか、意外と危険を回避したり、失敗を繰り返さないような気もします。
人間というのは、自分が持っていないもの(失ったもの)を相手が持っていると、その相手に反感を持ったり、好きになれないようです。給料の高いヤツは気に入らない、出世するヤツは気に入らない、大きな家に住んでいるヤツは気に入らないというのが良い例です。ある意味、人間とは相手の人の表面的な部分から影響を受けやすいのだと思うときもあります。
このように目に見えることでなくても、たとえばかっこつけているヤツは気に入らない、苦労を知らない(そのように見える)ヤツは気に入らない、健康そうなヤツは気に入らないなど、偏見と先入観に満ちた判断をしているのも人間の特徴だと思います。
もっと複雑な場合、相手の価値観、ライフスタイル、人生観、就労意識にまで反発を感じて、相手と相性が悪い、もしくは相手を好きになれないということも現実はあるのだと思います。
そうなると、人間のつながり方というのは、結局は自分と色々な境遇や考え方を同一にするもの(同世代というのはわかりやすい例)が群れをつくるか、もしくは自分の足りないところを精神的に、そして物質的に補完しあうもの同士がつながりあうか、このどちらかに落ち着くことになっているように思うのです。
つまり、会社の同僚というのも、色々な人がいるようであっても、世間的に見ると、かなり価値観を共有した人たちの群れのような気がします。一緒に飲みに行く友達も、一回きりの関係でない限りは、どんなにお互いに性格が異なっているように感じていても、お互いにかなりの共通点があるように思います。
それにもかかわらず、人間というのは複雑な、そして不安定な感情を持っているがゆえに、無駄なエネルギーをたくさん使っているような気がします。結局、どうやって相手とベクトルを合わせて、一緒に協力していくのか、このあたりに早く取り組み、何とか、複雑な感情を乗り越えて、お互いのために尽くすことができるか、このあたりの話し合いが自然と出来ている人たちというのは、お互い、良い仲間つくりに成功していると思います。
夫婦で一緒に生活していても、上司や同僚と席を並べていても、友人と酒を飲みにいっても、相手とまったく違う方向を見ている瞬間がある限りは、なかなか僕ら人間からはストレスは消えないような気がします。自然な流れに身を任せるのも楽でいいですが、できれば、良い仲間つくりのために、これからも知恵をしぼりたいと思っています。
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