7日(月)に放映されましたNHKクローズアップ現代 「検証 高速ツアーバス事故」を見ました。
4月29日(日)、関越自動車道で高速ツアーバスの衝突事故が起き、7人の命が奪われ39人が重軽傷を負いました。
この直接的な原因は運転手の居眠りですが、番組でその裏側にある背景を知るにつけ、いつかどこかで起こりうるべくして起こった事故だということがわかりました。
まず事故の原因として大きなきっかけになったのは平成12 年2月に改正道路運送法が施行され、貸切バス事業は、免許制から許可制に移行し需給調整規制が廃止されました。
このことで貸切バス会社は平成10年度2122社から平成22年度4492社に倍増しました。
片や高速ツアーバス利用者は平成17年の21万人から平成22年には600万人にもなりました。
高速ツアーバスの魅力は価格の安さです。
激しい競争の中で経費の切り詰めがどんどん行われ、法律で禁止されている日雇い運転手の活用も多くあります。
日雇い運転手に対して、安全教育は行われず、昨日、どう過ごしていたのかもわからず、健康管理も出来ません。
そういう中で一人の運転手に長時間運転をさせる訳です。
今回、事故を起こした陸援隊は、36項目の法令違反が発覚しました。
ある高速ツアーバス運転手はインタビューで「いつ起こってもおかしくない事故。どんな事があっても夜行バスは乗るな」と身内にはよく言っていたそうです。
別のバス会社の社長は「関越道事故は人ごとではない 明日は我が身というのを絶えず考えている」と言ってます。
平成19年 大阪府吹田市でスキーバス事故(死亡1人、重軽傷25人)がありました。
その後、総務省では平成20年に調査を開始し、「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視 結果報告書」を平成22 年9月にまとめています。
また事故発生前の平成24年3月30日には国交省 「バス事業のあり方検討会」からの報告書が発表されております。
ただ残念なことに対策について「バス会社への監査を強化することで悪質な業者を排除しことで安全を守る」としました。
この監査ですが、違法な長時間労働で数ヶ月の営業停止を受けたバス会社も、処分後、一旦、運転時間を見直したものの、すぐに元に戻しました。監査はめったに行われない為、こうした実態は発覚することはないと言います。
国は、業界の実態に問題があることを知りつつも、結局、根本的な対策を打てていませんでした。
ゲストも今、抜本的対策を講じないといけないとおっしゃっておりました。
私(代表 片桐)もそう思います。
参照:
NHKクローズアップ現代 「検証 高速ツアーバス事故」 内容全文表示
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3192_all.html 総務省 「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視結果報告書」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000080885.pdf 国土交通省 「バス事業のあり方検討会 報告書」
http://www.mlit.go.jp/common/000207285.pdf 以上、皆様のお役に立てば幸いです。