本日(19日)の日経朝刊 第1面 トップに「国主導で土地境界画定」という記事が掲載されました。
その記事を読み私(代表 片桐)は色々と調べてみました。
地籍調査は土地一筆(土地登記簿上の一区画)ごとに所有者、面積などを画定するもので、その結果は公図(こうず)と土地登記簿に反映され、土地の売買や各種課税(固定資産税、不動産取得税、譲渡税、相続税)の基本情報となるとても大切な調査です。
1951年(昭和26年)から始まっておりますが、その進捗率は都道府県により大きな開きがあり、トップは沖縄の99%、ワーストは京都の7%です。
地籍調査が済んでいないと、災害後の復旧・復興に遅れが出ます。
このことが大問題になったのが17年前、1995年の阪神・淡路大震災です。
地震や火災によって倒壊、消失した後の土地の画定作業に大きな混乱を来たしました。
それ以降、たびたび地籍調査のことは話題になり、「やる、やる」と言って、一向に進まないのが地籍調査という印象があります。
東日本大震災では被災三県の進捗率が福島61%、岩手90%、宮城88%と比較的高かったので良かったものの、東海エリアの静岡23%、愛知12%、三重8%とほとんど進捗しておりません。
新聞記事では「国土交通省は大規模な地震や津波が予想される都市部において地籍調査に乗り出す」ということで、名古屋市では今夏、静岡市や三重県の都市部でも順次、実施するそうです。
地籍調査の実施については、自治事務であるため、市町村が自らの判断により実施するか否かを決定することになっており、また経費のうち50%は国が負担し、残りを都道府県と市町村で25%ずつ負担します。
都道府県と市町村の負担分の8割については特別交付税が交付されるので、実質負担は5%ではあるものの財政状況や、土地の所有者の立ち合い等の協力や理解が不可欠という実施ハードルの高さから自治体の意識や温度の差が地籍調査の進捗率の差につながっているものと存じます。
今回の記事は、自治体任せにせず、早急に進めないといけない地域については国が主導するという意味です。
なかなか進まない地籍調査を一気に進めるには土地の所有者が理解を示し、市町村に対して大きな声を上げることです。
恐らくそのことを期待し、国交省は「地籍調査Webサイト」(
http://www.chiseki.go.jp)を開設(平成22年12月15日)し、その進捗や全国の土地の公図とのズレが見られるようにしているものと思われます。
地籍調査Webサイトでは住所を入力すれば、その土地の公図と現況のズレの度合いを色分けで知ることが出来ます。
是非、一度、ご覧になってみて下さい。
参照:
国土交通省 報道発表資料 『〜市町村ごとの地籍調査実施状況を初公開〜「地籍調査Webサイト」の開設について』
http://www.mlit.go.jp/report/press/land06_hh_000009.html 地籍調査Webサイト 「全国の地籍調査の実施状況」
http://www.chiseki.go.jp/about/status.html 地籍調査Webサイト 「都市再生街区基本調査成果の提供サービスについて」
http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/ 地籍調査Webサイト 「検索マップ」(画面右の住所検索から調べたい住所を選択し「検索」ボタンをクリックし、その後、「表示項目選択」タグで「公図と現況のずれ」チェックボックスにチェックを入れて、しばらく待つと色分け表示されます)
http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/system/map.html 弊社トピックス(2008年05月12日) 「進まない地籍調査!(都道府県別進捗率ワースト&ベスト一覧表)」
http://www.costdown.co.jp/blog/2008/05/post_893.html 弊社トピックス(2007年03月08日) 「あなたの土地 公図(こうず)と合ってますか?」
http://www.costdown.co.jp/blog/2007/03/post_389.html 以上、皆様のお役に立てば幸いです。