前回は、FAXのペーパレス化によってコスト削減が見込めること、
またその実現にはインターネットFAXの活用が非常に有効である事をお伝えした。
ただ、忘れてはならない重要なテーマとして、
ペーパレス化が「社員のモチベーションアップにつながるような、
生産性の高い」コスト削減につながるか否か、ここの検証を抜きにして、
ペーパーレス化の意義を正当化することはできない。
今回は、
ペーパーレス化が実現すれば、どのような働き方が実現できるのか。
ここをひも解きながら、ペーパーレス化が
有効なコスト削減方法であることを証明していきたい。
■ ■ ■ 見えないコスト、「作業時間」も削減できる
【紙資料の持ち歩きのデメリット】
紙のデメリットの一つはかさばるという点である。
出張や営業先に紙の資料を持っていかなければならない場面は多々ある。
大人数での会議や打ち合わせの場合は、
あらかじめ人数分をコピーして持って行かなければならない。
重い紙の束を抱えて移動する、
そのような昔ながらの方法がいまだに健在する。
こればかりは相手が必要なものだから、なくせないと結論づける前に、
ゼロにはできなくても、減らす方法はないのか考えてみたい。
たとえば、パワーポイントで作成した資料。
図解で見やすく、分かりやすくしたいという気持ちは分かるが、
本当に何十枚も必要だろうか?
要点をしぼれば、2〜3枚で済んでしまうかもしれない。
簡単に作図ができると、その方法に頼ってしまい、必要以上に図式化してしまう。
紙の資料は渡す相手にとっても、実はそれほどありがたいものではないはずだ。
保管のために場所を取るので、コストを生む要因になる。
紙を減らすのは、お互いにとってメリットになるのだ。
紙の資料は必要最低限、
後はメールで資料のデータを送るなどのフォローをすれば充分だろう。
そのほうが相手もデータ管理をしやすいので、
長い目で見ればメリットが大きくなる。
紙の資料が必要でないと分かれば、打ち合わせや会議も減るかもしれない。
本当は電話やメールのやり取りで充分な場合も多く、
本人たちがそれに気づいていないだけなのだ。
持ち歩く紙の量を減らすことから業務の効率化が進み、
生産性がアップするという意外な効用があるかもしれない。
【プリンターまでの往復を減少】
コピーするとき、パソコンのファイルをプリントアウトするとき、
受信したFAXを取りに行くとき。
果たして皆さんは、一日に何回
自分のデスクと複合機の間を往復しているのだろうか。
1フロアに一台しかなければ、複合機から遠い席の人は
かなりの距離を行ったり来たりしなければならない。
それも作業コストには含まれるのである。
ペーパーレス化を進めれば、
複合機までの往復をかなり減らせるはずだ。
「たかだか数分の作業じゃないか」と思うかもしれないが、
今の時代はスピードが勝負。
数分であっても削れる時間は徹底的に削るべきなのである。
■ ■ ■ ペーパーレスで情報共有・情報管理もスムーズに!
紙の文書を社内で情報共有するときは、
掲示板に張り出すか、人数分コピーして配るか、
回覧板にして回すか、などの方法が考えられる。
このうち、掲示板に貼ったり回覧板で回す場合は、
気づかずに見ない人もいるかもしれない。
紙の文書は、情報共有がまばらになってしまう恐れがあるのだ。
これをデータ化して社内メールで一斉送信すれば、
確実に情報は隅々までいきわたる。
国内の全支店も、海外支社にも瞬時に情報伝達できるので、
紙の文書はこの利便性にはかなわない。
■ ■ ■ ペーパーレス化でオフィススペースの有効活用
【省スペースからゆとりあるオフィスへ生まれ変わる】
まわりをずらりと棚に囲まれて仕事をするのは、
いかにも必要な書類を効率良くすぐに探せるようなイメージがある。
果たして、紙に囲まれているほうが生産性はアップするのだろうか。
・オフィスで使用する紙の量は、1人当たり1カ月で約4s、
A4サイズのコピー用紙に換算すると、約1,000枚(公益財団法人 古紙再生促進センター調べ)
・ファイル1冊に200枚収容できるとすると、1ヶ月で一人当たり5冊は必要
だいたいの目安だが、この調子で増やしていけば、
オフィススペースはあっという間に紙に埋もれることになる。
大量の文書は管理するのも一苦労だし、探し物をするときも時間がかかってしまう。
生産性がアップするどころか、作業効率を落としているのだ。
これから使う紙を減らしていくのはもちろん、
今ある紙の山もスキャナーでデータ化して廃棄すれば、
キャビネットやスチール棚はガラガラになるだろう。
棚を撤去すればオフィスには広々としたスペースが生まれる。
さらに、企業によっては複合機のほかに、
プリンターを各部署やチームごとに一台ずつ置いているところもある。
近くにプリンターが置いてあれば、ためらいなく何でもかんでもプリントアウト。
そのプリンター一台では対処できなくなり、また買い足す……
ペーパーレス化が進めばこの悪循環を断ち切り、
プリンターは一台減り、二台減り、と撤去されていくはずである。
さらに、インターネットFAXを導入すればFAX機をなくせる。
そうすればFAX機の置き場もなくなり、
空いた場所を有効活用できるので、省スペースになる。
そして生まれたスペースは社員がくつろげる場にしたり、
簡単に打ち合わせできるスペースにしたり、有効活用できるのだ。
社内スペースに余裕が生まれれば、
仕事のスタイルにも余裕が生まれ、生産性は高まるだろう。
【ペーパーレスで、机も省スペース】
忙しいビジネスマンの机の上には、書類や書籍、ファイルなどが山積みとなっているもの。
たまにそれが雪崩を起こし、隣の席に迷惑をかけている人も少なくないだろう。
ペーパーレス化は、まず一人一人が、身の回りから始める意識が大切だ。
まずは机の上をペーパーレスにしてみることだ…
…と言っても、机の上の書類やファイルを引き出しにしまうのではない。
引き出しにも書類を詰め込み、足元には紙の書類が詰め込まれた箱があるのなら、
それらもすべて廃棄したり、スキャナーで読み込んでデータにするなど、整理するのだ。
理想は、机の上には何も置かない状態。
そして片付いたなら、なるべくその状態をキープすること。
紙で必要なものだけを残し、それ以外はデータ化する習慣を身につければ、
常に広々とした机で作業をできる。
快適に仕事ができるようになれば、
山積みになっていた書類によって、
どれだけ作業の効率化が阻まれていたのか気づくだろう。
広々とした机で作業するうちに生まれるのは、
「オフィスの机って、もっと小さくてもいいかも?」という発想。
パソコンと電話だけでいいのなら、極端な話、
学校の机ぐらいの広さで充分なのだ。
社員全員の机が小さくなれば、
オフィスにもっとスペースが生まれる。
机のペーパーレスから、オフィスにゆとりが生まれる。
思いがけない相乗効果があるものだ。
■ ■ ■ ゴミの量を減らせる
紙が少なくなればゴミを減らせる。
当たり前のことだが、これは想像以上に快適な環境になる。
紙をムダにしたくないからと裏紙として利用する企業がほとんどだろうが、
ペーパーレスになれば、裏紙にする紙自体が減ることになる。
細かく切ってメモ用紙にしなくてもいいので、あまり生産性のない作業を一つ減らすことができる。
また、紙をリサイクルするために仕分けしている企業も多いだろうが、
ペーパーレスになればゴミを仕分ける作業もなくなる。
ゴミであふれかえるようなオフィスから
スッキリした美観のオフィスへと生まれ変わり、
その快さから仕事の意欲もアップするはずだ。
■ ■ ■ コスト削減は何のためにするのか
コスト削減は何のためにするのだろうか。
改めてこの問いを投げかけてみたい。
企業の利益を確保するため、ムダな出費を防ぐため、などが主な回答であろう。
もちろん、それも大切な目的だが、保守的な理由だけでは生産性が上がらない。
コスト削減は経営戦略の一つである。
それも、守りの戦略だけではなく、攻めの戦略としても実行すべきだ。
低迷している経済状況のなかでも守りに入らず、
衰退期から抜け出して成長軌道に乗るためには、
企業の体力をいかに維持するかが重要だ。
生産性の高いコスト削減を導入すれば、
ムダなコストを抑えつつ、今までとは違うビジネススタイルも確立できるだろう。
ペーパーレス化はそのために最適な手段である。
ただし、ペーパーレス化の材料をどのような場面で
どのように使うかは、企業や個々人が決めること。
最先端のツールを導入するだけではペーパーレス化は進まない。
最終的には、技術をどう活かし、定着させるかは人の知恵によって決まるのである。
これを機に、自分の紙の使い方、オフィスでの紙の使い方を見直してみることをお勧めする。
ムダだと思う紙があったら、それを一枚でも減らすために、
今日からでも始められることを実行してみるといい。
それが企業の明るい未来へとライフサイクルを導く、
最初の一歩となるかもしれない。
革新は、最初の小さな一歩、いや、一枚から始まるのだから。
さて、ここまでお読み頂いた方であれば、
生産性の高いコスト削減を図る上で、
ペーパーレス化がいかに有効かをご理解いただけたと思う。
そして、そのペーパーレス化に取り組む上で、FAXが盲点であり、
インターネットFAXという新たなサービスを活用することで、
コスト削減とペーパーレス化の両面を効率的に行う事が出来る事も
ご認識頂けたのではないだろうか。
ただ、インターネットFAXについては、まだまだ奥が深い。
充分にお伝えしきれていない事がある。
私も
インターネットFAX総合研究会の特別研究員に任命されるまでは、
何となくでしかインターネットFAXについて理解していなかった。
だが、実際に使用してみると、人に伝えたくなるようなメリットが数多くあること知った。
そこで、次回からはインターネットFAX及び、
FAXによりフォーカスした内容でそれぞれの魅力に迫りたいと思う。
執筆者:片桐明
インターネットFAX総合研究会特別研究員
株式会社コストダウン 代表取締役社長