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高城幸司
人事・キャリアコンサルタント/きき酒師 [ 営業 ]
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高城幸司
[インタビュー]
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営業マンは心理学者!/PHP研究所(3)
2005.05.22
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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日本のビジネスパーソンに営業の力を もっとつけてもらいたいと思います。
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相手が投資家か、利益主義者かを見極める
【主藤】 この本では「営業の心理戦では、引くことも重要である」と書かれています。
例えば、「訪問した先での飾りや本棚に、実は営業に役立つヒントが隠れている」と、事細かに書いてあります。
では、「引く営業」、具体的にこの本の中であるのは、予算が2千万円で、何かの事情で「1千万円だったら、あなたに今回取引を頼むよ」という時に、営業マンとしてはどうしても2千万円全部欲しいですよね?でも、1千万で引く方が効果が高い、ということがあり得るのでしょうか?
【高城】 心理戦には2つあると思いますが、相手の方が商売でいえば買う気満々、やる気満々であれば、そこは一気果敢に攻め込んだ方がいいわけですよね。
もしかしたら1千万、2千万じゃなくて、2億、3億を持っているかもしれませんから。相手の方がすごくやる気になっているシグナルを出している場合は、もっと攻め込むんです。
【主藤】 それをやはり感じ取らなければいけないんですね。
【高城】 商品に対し、興味を持っているかによります。
例えば、心理戦の場合に相手の方が興味を持つ言葉は「2つしかない」とよく言われています。
1つが儲かるという話です。儲かる話に興味を持つ方は、投資意欲が高いんですよ。つまり儲かる話が好きな方というのは、「ある程度お金をかけてリターンを得たい」という気持ちがあるので、「もうあと3千万足せばいい商品になりますよ」というと乗ってきやすいんです。
逆に、「コストを下げる」という言葉にピンときた方は、「できればお金を使わないで利益を儲けたい」という気持ちなんです。つまり、あんまりお金をかけたくないんですね。「予算を削りたい」という方は、先ほどの話で「3千万の予算の物を2千万でできます」というと、喜ぶんですね。
【川崎】 私の場合は小さい単位ですけど、割引とか弱いです。
【高城】 「本当は3千万ですけど、今日はちょっと1千万ぐらいの企画を持ってきました」というとどうですか?
【川崎】 きっと、すごく考えちゃいますね。
【高城】 投資をしたい方、儲け話が好きな方は、「3千万でここまでいけるなら、6千万で売り上げが倍になります」といったら、乗ってきますね。
話の中で「この方は心理戦でどちらかというと儲け話、投資が好きなんだな」と思えば、攻めるわけです。そうではない方で、どちらかというと保守的に、できれば利益を優先に考えたいのであれば、「3千万のところが1千万ですよ」というのです。
例えばワインでも、「1万円のワインに近い3千円のチリのワインがありますよ」というのが嬉しい方と、「1万円のワインのもっと上のクラスで2万円ですけど5万円の味がします」といったら後者を見る人がいるんですね。「あるいは限定10本です」と。
要は、そこで投資家なのか、利益主義なのか、どっちかがわかります。
【主藤】 まずはそういうタイプを見極めるということをやって、それに応じたプレゼンというか提案すると。
最初見極めるということをなくして、いきなり提案をやってしまうと全然マッチしないような、チグハグな提案をしてしまいますからね。
【高城】 そこは心理戦の読み込みですよね。相手を察する力。
世の中にもっと働くチャンスを広げたい 【主藤】 具体的なノウハウがいっぱい書いてありますが、高城さんとしてはこういった著書をこれからもお出しになる予定ですか?
【高城】 そうですね。2つのことをやろうと思っていまして、1つは営業という仕事はビジネスマンにとっては基本的なスキルだと思うんですよ。
ですから営業マンというよりも、日本のビジネスマンに営業の力をもっとつけてもらいたいなと思いますので、広く営業力というものを世の中に伝えるような本を作りたいです。
営業マンという仕事は本来すごく社会に役立つ役目ですがまるで何も生産性がないというんですかね。 「営業しかできない」とか言う人がいますが、もっと自信を持って元気いっぱいに「営業です」って言って欲しいんですね。
そのために、例えば経営者も営業であり、編集者も営業であり、みんなが営業の仕事をしているんだと。だから「みんなで営業のことを勉強しようよ」ということをメッセージにしたような本を書きたいです。
【主藤】 これから将来の話をさせて頂きたいと思いますが、実は多くのリクルートの方も退職されて、新しい会社を立ち上げ、現在社長として活躍されていらっしゃいますが、その営業力を切り口にしつつ、これから人事コンサルというか、幅広い生き方を提案していかれるのでしょうか?
【高城】 「アントレ」という雑誌を約8年半やっておりましたので、そもそも独立して、自分でビジネスを挑戦したいという気持ちが長年ありました。
そのなかで特にここ最近、考えているテーマというのが、特に社会人の若手、5、6年目のビジネスマンがもっと元気になって欲しいなということです。
【主藤】 5、6年目ですか?
【高城】 27、8歳ですね。これから10年間の活躍は、おそらく日本のリーダーシップになる人材の人達だと思うんですよ。
彼らがもっと元気になってもらうために、もっと働く選択肢を広げて、チャンスを掴んで欲しいなと思いまして、そういった発想でみんなが学べる場所、それから企業がそういったことをもっと教えてあげられるような機会を提供できるような仕事をしようと思います。
【主藤】 高城さん自身の経験もそこでは語られていく予定ですか?
【高城】 そうですね。できれば、東京のど真ん中に社会人が学べる大学を作りたいなと思っています。
アメリカなんかに行くと、一般のニューヨーク大学みたいな大学が街の真ん中にあって、通常の単位を取っている授業以外に、社会人の方が夜間に自分のキャリアを磨くために学べるような講座がたくさんあるんですよね。
【主藤】 そうなんですか。
【高城】 日本の大学は、結構地方や首都圏以外にあるじゃないですか。できれば、東京の真ん中にキャリア形成の大学を作って、その大学で単位を取らなくてもいいので、自分がもう1回、例えば「経理の勉強したい」とか、「もう1回経営の勉強したい」という時に、そこで勉強して自分の働くチャンスを広げるようなことができるような場所を作りたいなと思います。
5月から少しずつ今始めていこうと思っていまして、丸の内の丸ビルの7階の「21世紀クラブ」という場所で、まずは毎月ビジネスマンのための勉強会を開いていきます。
【主藤】 丸の内の一番いい場所ですね。
【川崎】 本当に真ん中ですね。
【高城】 できれば、借り切るぐらいでやりたいです。けれども、まだまだベンチャーなので、ど真ん中で是非そういう大学ができるぐらいの力をつけたいなと思い、今頑張っているんです。
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