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祐川京子
ベンチャーキャピタリスト [ コミュニケーション ][ 自己実現 ]
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祐川京子
[インタビュー]
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人の心を動かす効果的な“ほめ言葉”とは?(3)
2008.01.16
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「すごい」「さすが」……だけでは言葉が足りない! 人間関係をいい方向へと導く600のほめ言葉
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□この“ほめどころ”を間違うと、ほめ言葉もかえって逆効果
―――身の回りの人間に対しては、ほめなくなりますよね。
ああ、そうですね。とくにこの本を書いてから、ほめなくてはいけないというプレッシャーはかなりありますけど。「ほめてくれ」といって、わざわざ連絡をくれる友達もいるくらいなので。一生懸命意識して、ほめるようにはしています。
―――友人関係においても、ほめることによってお互いの関係がうまくいくという部分が大きいのでしょうか。
非常に大きくて、とくに私の場合はなるべくボキャブラリーを使うようにしているので、本人が気付いていなかったスキルまで発見してもらうとか、そういうことも結構あって。「あっ、僕、そんないいところがあったんだ」といって開眼してくれる友達もいるので、そういう意味ではほめるポイントは、やはり観察をしなくてはいけないので、単に「すごい」とか言っていても仕方がないですから。そういう意味ではボキャブラリーが豊富なことで、更に友達との関係性が深まるということは多々ありますね。
―――では、ほめ言葉をたくさん知り使うことによって、人脈も広がるし……。
深まる。
―――深まるという感じなんですか。
はい。
―――では逆に、ほめ言葉を言うときに注意すべきことはありますか。
いちばん注意しなくてはいけないのは、先ほどのほめるとつけ上がるということにも通じるんですけども、自分が相手をコントロールしたいがために、その手段としてほめ言葉を使うとなるとですね、相手に刺さらないんですよね。やっぱり人間わかるので、動物的カンというか。この人は自分のためじゃなくて、単に私をよくするためというか、認めてくれるというよりも自分に都合よく動かすために口先だけで言っているなというのは、直感的に感じるものなので、やはりそういうことだと、かえって相手は距離をとりますよね。
―――見え見えになっちゃうということですか。
見え見えになっちゃいますね。あと、嗜好に合わないことをほめられるというか、本人が全く、正に喜ばないこと。そういうほめられるポイントって、本人が努力していることとか、結果を出したことをほめてほしいのに、全然やりたくもないことでほめられてしまうということはよくありますよね。
―――ほめ言葉はハンドブックで覚えても、使い方を注意しないと外してしまうこともあると。
かえって距離が遠のくこともあるとは思います。
―――続編も考えておられますか。
そうですね、お蔭様で。はい。いくつか準備しております。
―――この『ほめ言葉ハンドブック』が、祐川さんにとっては1冊目の本になるんですよね。
はい。そうです。
―――1冊目の本が大ベストセラーになったということで、また1冊お書きになったとか。
『ほめ言葉ハンドブック』は共著本なんですが、初めて単独で、一人で書いた本もつい最近出させていただきました。『夢は宣言すると叶う』という本を出させていただきました。
―――いま注目されている“アファメーション”についてでしょうか。
そうですね、はい。
―――ほめ言葉とは少し連動するんですか。
そうですね。いい言葉を使うというところで、非常に共通点がありますね。
□ボキャブラリーがあると、“ほめるべきところ”を見つけやすい!
―――ほめるということに関して、人に何か向かうときに、どうしても相手のマイナス部分から見てしまう場合があるのではと思うのですが、どのように注意すればいいのでしょうか。
要は人って、比較したがるんですよね。他人とその人とか、もしくは前のその人と現在のその人。例えばよくありがちなのは、「以前に比べてよくなったよね」とか。「去年会ったときはいまいちイケてなかったけど、最近会ったらいい感じじゃない」というのですけど、そうなったときに意外と、この人って前からいい感じのことを言っていたのに、本当は1年前にそうやって思っていたんだ、みたいなことってありがちなので、前談が余計だということは非常にあります。ブログのメッセージなどを見て、人のブログを読んでいても思うのは、いちいちですね、「前はダメだったのに最近よくなった」と言っていて、でもその「前はダメだったのに」をとっても文章は成り立つんですよね。でもついついみんな、前はよくなかったけど今はいいみたいな、どこか落とさないと気がすまないというのか何か、そういう人が多いなと思うんです。その落とすところを外して、いまの現状のいいところだけをほめるというのを、ちょっと練習してみるといいのではないかなというふうに最近思っています。
―――では最後に、「ほめ言葉」をより上手に使うことによって、自分が自分らしく活動するためのヒントを一つだけいただけないでしょうか。
まず、やっぱり人に興味を持つことですね。ほめるというのは、そもそも人を認めるということなので、認めるは何かというと、“見てとめる”ということで、ちゃんと相手をよく見ていますよと。だからちゃんと適切なほめ言葉が言えるので、まずは自分をほめてもらうということよりも、相手をちゃんと見て、そのいい所をちゃんとほめて、そうすると相手も鏡のように返ってきてほめてくれるというふうに返ってきますので、やっぱりまずは相手のいいところを見ていくということを活動されてみるといいのではないかなと思っています。
―――観察力が大事だということなんですね。
メチャメチャ大事です。
―――どこを鍛えたらいいのですか。
観察、そういう意味では、まずボキャブラリーありきというのは実はあって、例えば私、英語はそんなに得意ではないんですけども、得意じゃないからボキャブラリーがないので、英語でほめなさいと言われても言えないですよね。逆に日本語でちゃんとほめ言葉のボキャブラリーがあるから、この人の胸板ほめようとか、ネクタイの色ほめようとか、そういった意識に入ってくるので、まずはやっぱりボキャブラリーを一通りインプットして、そうするとそこにフィットするところ、一生懸命相手のいいところを見つける、探すようになってきますので、そういう意味ではボキャブラリーを自分の中に用意しておくというのは、非常に大事なポイントではないかなと思います。
―――ボキャブラリーの数が増えることによって、観察力が高まるということですね。
はい。高まりますね。
―――ぜひ明日から、みなさんもやっていただけるとよろしいのではないかと思います。本日のゲストは『ほめ言葉ハンドブック』の著者、祐川京子さんにおいでいただきました。 この本にはなんと600ものほめ言葉が書いてあるのですが、「ほめ言葉」というものを実際に読んで使ってみて、私はこう思いました。人をほめるということによって何が生まれるかというと、自分のやる気が引き出されるんですよね。ですから、人をほめることによって何がいちばん嬉しいかというと、自分自身が元気になるのだということです。こう思ってほめ言葉を使うと、もっともっと上手に使ってみようというふうに思えるのではないかと思いましたし、今日の祐川さんのお話を聞いて、さらに感じた気がいたしました。祐川さん、今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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