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祐川京子
ベンチャーキャピタリスト [ コミュニケーション ][ 自己実現 ]
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祐川京子
[インタビュー]
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人の心を動かす効果的な“ほめ言葉”とは?(1)
2008.01.16
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「すごい」「さすが」……だけでは言葉が足りない! 人間関係をいい方向へと導く600のほめ言葉
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□「ほめ言葉」を30個書き出すことができますか?
―――本日のゲストは、15万部のベストセラーとなった『ほめ言葉ハンドブック』の著者、祐川京子さんです。祐川さん、今日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
―――「ほめ言葉」というテーマで本を書こうと思われたきっかけは、何だったのですか。
私が前、第一生命に勤めていたときに、セールスレディー向けの研修をしていて、まあ、コミュニケーションの研修をしていたんですけども、そこでほめ言葉ってコミュニケーション上大事だなと思って、彼女達にいつもほめ言葉を書いてもらっていたんですね。 すると、結構みんな書けないというか、結構悩む。みんなボキャブラリーがないなということに気付いたので、それなら、ボキャブラリー本を出したらきっと世の中に受け入れられるのではないかなと、そのときに気付いて、書くことにしました。
―――ちなみに、ものすごくたくさんの方に研修をされてきたというお話ですが、何人くらいなんですか。
えーと、だいたい4千人くらいですね。累計で4千人くらい。
―――何年間くらいですか。
4、5年かけて4千人の方です。
―――4千人の方々がいても、ほめ言葉が使える方は少ないということですか。
ほとんどいないです。
―――そういうものなんですか。
はい。いないです。
―――ほめるとことは、日常とてもあるような気がするのですが、実際にはほめ言葉のボキャブラリーを意識していないということですか。
本のなかにも書いたのですが、研修では5分間で30個ほめ言葉を書き出してみようということをやったのですが、5分間で30個書き出せる人は1割いないですね。5パーセントくらい。
―――実際に世の中で仕事をする中では、ほめ言葉そのものを使う機会も少ないし、ほめ言葉のボキャブラリーも少ないということですか。
そうですね。ほめる機会はあっても、「すごい」とか「さすが」とか2、3語しかなくて、1時間しゃべってもずっと「すごい」「すごい」だけ言っていても相手に伝わらないですよね。だからそういう意味では、かなりボキャブラリーについてはみんな苦しんでいるな、というのは感じました。
―――ほめ言葉というと、ある意味盲点とはいわないまでも、どこかにテーマとしてあったようでいて、実は無い本だったんですね。
そうですね。ほめましょうという本はあるんですが、何と言っていいかわからないというのが現状だったんじゃないかな、というふうに思っています。
□「ほめるとつけ上がる」が大間違いである証拠とは?
―――ちなみにこの本の読者の方には、どういう層の方が多いのでしょうか。
結構、幅広くといいますか、本自体のコンセプトはリーダーシップのジャンルなので、男性というか管理者向けに書いたのですけども、実際には学生の方とか。あと、いわゆるお子さんをお持ちのお母様、女性ですね。そういった方にも結構ウケている本ですね。だからもう、出版社も想定外の読者層、ファン層が広いということはおっしゃっていました。
―――15万部のベストセラーになって、実感としてどうですか。読者の方から声が上がってきたりしていますか。
そうですね、上がってきていますね。ある意味で学校に行けなかったり、メンタル的に結構辛い思いをしている方が、このほめ言葉のボキャブラリー本読んで、「自分を励ますきっかけになった」という声をいただいたりとか、あとは自分がほめている単語が、いかにボキャブラリーが貧困だったかということに、この本で初めて気付いたとか。
―――なるほど。
ええ。いろんな気付きがあったようですね。あと、ほめにくい人をどうやってほめていいのかに気付けたのですごくよかったとか。やっぱりそういうところでみなさんから、いろんな方面からの声はいただいています。
―――お読みになった方が実践的に使っているのがうかがえますね。ではまだお読みになっていない方に本の中身を少し紹介したいのですが、具体的に本のなかで、ほめ言葉のケースがたくさん書いてありますよね。
はい。
―――でもその前に、そもそも人はほめ上手ではないということをかなり断定的に書いていらっしゃいますが。
そうですね。私も同僚であるとか、普通のお友達とお話をしても、まずほめるということに日本人はすごく抵抗感をもっていて、まず言われるのが、「ほめ殺ししちゃうのはよくない」と。「ほめ過ぎるとほめ殺しになる」とか、「つけ上がる」という人、すごく多いですよね。「下手に部下をほめるとつけ上がるから、ほめるのはダメだ」という人は非常に多くて。逆にその人に聞き返すんですが、「ほめられてつけ上がったことがありますか」と尋ねると、まず「ない」と言うんですね。
―――なるほど。
みんなほめられてつけ上がったことはないのに、自分がほめるときにはつけ上がっちゃうから言っちゃいけないというんです。それで、実際には自分はほめられたいというとか、非常にそこの矛盾があるなというのを感じました。実際にはつけ上がるということもないですし、ほめ殺しができるほどほめるボキャブラリーをみなさんもっていませんので、残念ながら。なので、安心してほめ過ぎたくらいで、たぶん言われた方は「あっ、この人は私のことを多少は理解しているのね」というふうに気付くのではないかなというふうには思います。
―――ほめる機会はあるけれども、ありきたりに「すごいね」という程度しか伝えていないので、ほめられている方もそれほど嬉しくないということですか。
そうですね。とくにこの本でいちばん衝撃的だったのが、研修でわかったことですが、(ほめるときは)自分が言われて嬉しいことを伝えますよね。「カッコイイね」がよければ「カッコイイね」というけれども、でも相手はその「カッコイイ」という単語が嫌いかもしれないので、そういう意味では、自分が言われたい単語だけを言っても伝わらない。だから、意外とほめているつもりでも相手にとっては嬉しくない単語だということもあるということが、この本で気付けるのではないかなとは思います。
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