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大嶋啓介
有限会社てっぺん代表取締役 [ 自己実現 ][ 起業 ][ 経営 ]
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大嶋啓介
[インタビュー]
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たった15分の「朝礼」がリーダーを育てる(2)
2007.12.05
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1万人を集める居酒屋「てっぺん」の朝礼とは ――夢を叶える社員をつくる人材育成術
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□社員を育てるのは、子育てと同じようなもの
―――ご著書は『てっぺん!の朝礼』というテーマで2万部のベストセラーになったわけですが、この本を読んでいただきたい対象というのは、やっぱり若い方ですか?
この本は、夢に悩んでいる人だったり、例えば店長さん、まあ、飲食に限らず店長さんとかリーダーの方、これからリーダーになっていく方、あとお父さんとかお母さんとか、幅広く読んでいただきたいと思うんですが、やっぱり子育てもチーム作りも僕は一緒だと思っていますし。
―――子育ても、ですか?
子育ても、社員さんを育てるのも、僕はリーダーとしてのあり方というのは一緒だなとすごく思うんです。まあ、そういったことも書かせていただいたり、この9年間、とにかくひたすら、どうすればアルバイトさん、社員さんがやる気になるんだろうかとか、どうすればみんなが成長できるのかということを、ひたすら追求させていただいたことを詰め込んでいますので、そういったリーダーの方、家庭のリーダー、企業のリーダー、学校のリーダー、そういう人達に読んでいただければすごくありがたいです。
―――若い方はもちろん、読者対象は幅広いんですね。
幅広いです。
―――男性女性も関係なく。
関係ないです。
―――雑誌などの取材も多いと思いますが、この本を出したことによって問い合わせなどありましたか。
講演をさせていただく機会がですね、圧倒的に増えました。いま、一カ月の半分くらいが講演なんですけれども、今日も明日もあるんですが。
―――そうですか。
やっぱりたくさんの人達に話をしてくれ、といわれることが多くて、僕はもともと9年前に、やっぱり人材育成の研修ですごく刺激を受けましたので、僕は講師になりたいだとか、そういう自分がやってきた、自分達がやってきたことをたくさんの人に語れるような人生にしたい、というのはすごく思っていましたから、いま本のお陰もあっていろんな方の前で話す機会が多くなりました。
□競い合うのではなく「ともに勝つ」という精神
―――お話を伺っていると、飲食業界の方というより人材教育の企業の経営者のようなイメージが湧いてきますが、「てっぺん」というお店は、いま何店ですか。
いま、東京で直営が4店舗、三重県の桑名で1店舗、あとは独立、グループというか独立した店舗が何店舗かあります。
―――通常、居酒屋を展開する場合は、当然規模をたくさん広げていくと思いますが、そういう形ではないのでしょうか。
そういう形ではなくて、僕達が「てっぺん」を立ち上げようと思った目的がまた全然違いますので。会社の規模を大きくすることが目的ではなくて、もう最初から、僕が大好きな居酒屋、居酒屋で人生が変わったから、その居酒屋をもっと熱くしたい、もっと元気にしたい、じゃあどうすれば居酒屋が元気になるのかということを追求した会社にしていこう、という目的で立ち上げた会社です。
―――「てっぺん」という居酒屋を立ち上げて人を育てるなかで、これから考えていることはありますか?
創業4年くらいですか、4年前に創業させていただいたときに、居酒屋が変われば、日本中の居酒屋がもっと元気になれば、やっぱり日本が元気になると。居酒屋から日本を元気にするプロジェクトというのを立ち上げたんです。そのときに、僕のなかでは6つの戦略を考えたんです。 その6つの戦略というのが、1つは、まずは自分達の店が日本一元気な店を作ろうと。それが「てっぺん」を作るきっかけだったんです。まずは自分達が模範となるような店舗を作ること。これが1つ目。 2つ目が、どうやってスタッフを教育、つまり元気にしてきたのか、そういう日本一のお店を、例えば元気な店を作ってきたノウハウを公開していく。例えば1つの方法として朝礼を公開したり、そのノウハウを、チーム作りのノウハウを本にして、朝礼の本にして公開していったり、あとDVDですとか、自分の講演活動とかで自分達がこういうことをやってきたというノウハウを公開していくこと、それによってこの業界を元気にしていく。 3つ目が独立道場としまして、会社の社長が変われば変わりますし、やっぱりこの業界は業界を担うリーダーが変わっていけば変わる。なので、この業界を考える、よくしていこうと本気で思うような志の高いリーダーを育てていこうという仕組みを作っていこうというのが独立道場、これが3つ目です。 4つ目が教育事業。研修が大好きなので、人の可能性が引き出せるような、そういう研修を、プログラムを作っています。なので、店長や経営者の方達が社員さんの可能性を引き出せるような、そういう店長さん向けの、リーダー向けの研修を自社でやらせていただいたり、そういうセミナーや研修をプログラムしたりしています。それによってこの業界を変える、元気にしたいと。 5つ目が海外進出。
―――海外進出ですか。
はい。いま、うちの創業メンバー2人が韓国に、いわゆる立ち上げに行っているんですが、来年早々、韓国の出店の予定があったり、また来年にはニューヨークやハワイとか、世界中に居酒屋を展開していこうという、そういう方向でいま動いています。というのが、やっぱり目的は、世界中の人達が「日本の居酒屋はすごいぞ」と、「日本の飲食ってものすごいな」というふうに、そういうのを発信していきたい。それによってこの業界で働く人達が誇りをもてるような、そういうきっかけを作っていきたいというのが5つ目です。 最後の6つ目はですね、僕達の「てっぺん」とは別の団体なんですが、居酒屋甲子園、NPO法人居酒屋甲子園、これがものすごく、この業界に影響を与え始めている活動になっているんです。日本中にはものすごく熱い経営者がいて、すごく熱い店がたくさんあるんです。そういう人達がみんな一緒になって、僕はやっぱり昔は自分のことしか考えていない、自分達の店さえよければいいという考え方だったんです。でもある話をもとに、亀が勝って兎が負けた兎と亀の話のなかでですね、小学校1年生の男の子が先生に質問するんです。「先生、なんで亀さんは兎さんを起こさなかったんですか」って。「一緒にゴールしたほうが一緒に喜べて、もっと喜びが大きいのに」ということを言うんです。その話を聞いたときに僕はすごく突き刺さって、ともに勝つという勝ち方があるんだな、ということが強烈に、僕の人生を大きく変える話だったんですね。その話を聞いて、自分のこと、自分だけがいいというのはちっちゃいな、と思いまして。それで居酒屋甲子園というか、ともに勝つような、居酒屋と居酒屋は敵ではなくて、一緒に何かともに刺激しあってお互いが学びあって成長していく、そういうよきライバルなんだ、というように考え方が全く変わりました。そういう居酒屋の人達が輝けるようなステージを作りたい、ともに学びあえるような環境を作っていきたい、ということで立ち上げたのが居酒屋甲子園なんです。
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