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米山公啓
医学博士 [ 仕事術 ][ 時間管理 ]
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米山公啓
[インタビュー]
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脳科学的に見た、ゆとりを生み出す時間術(1)
2007.11.21
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ストレスもドーパミンも時間管理に活かす方法 ――“脳”から考えたまったく新しいビジネススキル
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□脳を鍛えるために必要なのは「好奇心」
―――本日のゲストは、2万部を超えるベストセラーになりました『頭のいい人の時間攻略法』の著者、米山公啓さんです。米山さん、本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
―――米山さん、と申し上げてしまいましたが、医学博士としての先生でもあり、著者としての先生でもあり、ものすごく幅の広いご活躍をされていますが、やはり「先生」というところでいうと、医学博士の先生でよろしいですよね。
まあ、一応まだ医者をやってますので。1週間に2日くらい産業医しています。
―――今回のテーマは「脳」ということですが、頭の構造というのは仕事術のなかで、どういう部分を意識して脳を鍛えるということを考えていったらいいのでしょうか。
結局いま脳の使い方は、「広く使いましょう」という考え方だから、どこの部分といっても難しいんですよね。脳のどこが一番働いているかというと、例えば記憶であれば海馬と呼ばれるところが頭のなかにあるんですけれども、もうちょっと高級なことを計画したりしているのは前側ですから、ものによって違うんですよね。やはり脳を広く使うというのが、最大の頭のいい使い方じゃないですか。
―――例えば最近、「脳トレーニング」などといった脳の使い方の本が増えてきたのではないかと思いますが、実際にビジネス、仕事において脳を使う、脳を鍛えるために日頃できることはありますか。
やっぱり、新しいことに対する好奇心ですよね。新規性追求というんですけど、そういうものがある限り、脳は常に変わっていけるんですね。自分でマンネリ化した生活を、だいたいみんな意識しないわけですよ。結構みんな同じようなことをやっている生活しているんですよ。同じ時間に起きて、同じテレビを見て、というような生活をしているので、それを自分で変えていく意識がないとなかなか新規性追求ができないので、それがあれば新しい情報が頭に入りますね。
―――必要なのは新規性、ということですね。
ええ。
□“批判的”に見ることが脳を働かせる訓練になる
―――新規性を意識的に脳に吸収していくために、具体的にどういうことをやればいいのでしょうか。
一番簡単なのは、批判的に見るということですね。入ってくる情報に対して、テレビでもニュースでもなんでもいいですけど、それに対して裏を考えるというか、自分なりの批判をしてみる。意見を言うのではなくて、ある意味、否定的にまず言ってみる。それから、あるいは定説においてもいいですけれど、否定的に言ったほうがラクですから。それに対して、自分だったらこうする、ということ。要するに、常に入ってくる情報に対する意見を自分で言ってみる、という姿勢ですね。
―――簡単そうで、意外とできていない方が多いですよね。
難しいです。だから結局そのまま聞き流してしまうので、疑問を持ったとき、一番いいのは行動を起こすことなんです。
―――行動を起こすこと、とは?
テレビであれば、おかしいと思ったらテレビ局に電話しちゃうくらいの勢いでやるんです。僕自身も、結構それやりますんで。
―――ええ!
この番組はおかしい、と思ったら電話して意見を言います。
―――直接テレビ局に電話するのですか。
例えば、あるテレビ局のサッカー中継でアナウンサーが余りにも下手くそだったので、すぐ電話したり。そういうリアクションをすると、やっぱりそれを覚えているわけですよね。向こうがどういう反応するか、というのもあるし。あるいは、聞く側と見る側に対する姿勢もわかるし。それでまた自分の考えが広がってくる。
―――テレビを見ていて、このアナウンサーは上手じゃないな、と思うとすぐ電話をかけてしまうんですか?
それは毎回言うとクレーマーになりますから、よっぽどひどいときにそういうリアクションを起こすということですよね。
―――日常のいろんな事柄に対して問題意識をもってぶつかるということを、いつもしていくということですね。
例えばレストランで食事をして、ウエイターの態度がおかしかったら、直接言わないにしても店の責任者に、こういうことをした方がいいのではないですか、とか。超有名なホテルであっても文句は言う。例えば、トイレのここが壊れている、という意見を言う。それは、向こう側にとってもたぶんメリットがあると思うんですね、こちらが意見を言うということは。だからやっぱり、常に発信していかないといけない。話が横にそれますが、日本の医療がよくならないという一つの理由は、お医者さんがあまりにも真面目に働き過ぎてしまって、意見を言わないということもあるんです。
―――お医者さんが意見を言わないのですか?
うん。おとなしく働き過ぎちゃっているところもあるので、だからやっぱり、それぞれの人が意見を発信していくということは、すごく重要だと思います。
―――日頃、ビジネスのなかで生きていると、批判的な目で見ることが意外に少ないと思います。日常の行動はルーティンワークが多い方も大変多いと思いますが、そういうビジネスパーソンの方が、例えば仕事で実際に脳を使ったり、批判的な行動したりする以外にできることはありますか。
簡単なのは、例えば日常の行動のなかに変化をつけるということですね。買い物に行くときに、普段行っているコンビニじゃない、もうちょっと遠いコンビニに行くとか。ランチを食べるときに、いつも食べる所じゃなくて他のお店に行って違うメニューを頼むとか。そこで自分の行動が変わるわけですよね。入ってくる情報も変わるし、新しい店に入れば違う情報が入ってくる。そういう、本当にちょっとした変化をつけることで、もちろんそれだけではダメで、そこから自分が何を感じていくか、ということですけど。
―――日常のルーティンワークのなかで、ほんの少しでも自分で意図して変化をつけていくということが大事なんですね。
そうですね。
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