□引きこもりからIT社長へ―――人生の扉を開けた実録―――本日のゲストは『こんな僕でも社長になれた』の著者、家入一真さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。―――早速ですが、この本の表紙の写真はどこで撮られたのでしょう?
これは自宅ですね。―――この笑顔がいいですよね。
実はカバーを外すとまだ写真があるんです。これは、新聞配達をしていた時代の写真なんです。今より痩せているんですよ。―――この本、私も読ませていただきましたが、会社経営のお話というより実際は3分の2以上が生まれてから会社を創るまでのお話ですよね。これまでの生き様のようなことを書かれたかった?
そうですね。実際に書いていると、あれもあった、これもあったと膨らんでいったという……。―――これから起業したいと思われている一般の方に向けてのメッセージ、という感じなのでしょうか。
そうですね。これ以前に「引きこもりからIT社長へ」というインタビューを掲載してもらったことがあって、それの反響が結構あってですね。実際、引きこもりの方からもメールが来ましたし、その親御さんからもたくさんメールが来たりしました。そのすべてにお返事することはできなかったんですけど、1つの答えというか、どちらかというと引きこもっている人より、そのお父さん、お母さんに読んでもらって、あまりプレッシャーを与えないように見守ってあげてください、というメッセージを伝えたかった。―――本では、子供時代から大学受験までの苦労話なども紹介されていますが、“ひとりぼっち”だった時代がとても長い、というお話がありましたね。
一人の時代はそうですね、中2から高校時代でしょうか。―――些細な一言で人間関係は簡単に壊れてしまう、ということを体験されたと。
そうですね。―――その体験を、今でも少し引きずっている部分はありますか。
そうですね。結構、臆病なところはあるかもしれないです。発言の裏を邪推してしまったり、そういうのはあるかもしれないですけど。―――その後、大学受験を決意してからいろんなチャレンジをされて、最終的に興味を持ったのがデザインだったということですが、そうして自分の好きなものにだんだんと近づいていったのは、いつ頃でしたか?
そうですね、結構ころころと変わってきていて、最初はパソコン通信から入って、プログラミングを覚えてと、試行錯誤といいますか、飽きたら次、飽きたら次という感じでようやくたどりついたといった感じですね。□過去のすべての瞬間が「社長」としての自分の中にある―――いろいろなエピソードがありますが、今の自分に一番影響していると思われるものは何ですか?
読んでいただかないとわかりませんけれど、片岡さんという人が出てくるんです。―――高校時代ですか?
新聞配達をしているときの先輩だったんです。芸術家を目指していて、新聞配達を何年もやっている先輩がいて、その先輩が本当に一風変わった人で、書いているとその人のことだけで1冊できちゃいそうな勢いで。―――書き始めてみて、片岡さんの影響力がわかってきたのですか。
そうですね。意外にその影響を受けていたんだなと、後から気付きました。―――書き始めてあらためて、書くまでに伝えたかったことと変わってきたという部分がありましたか?
そうですね。大体僕はいつもぶっつけ本番なので。やりながら変わっていっても、それはそういうものなのかなと。―――本には「引きこもり」の話もありますが、実際に引きこもっていた期間はどれぐらいだったのですか。
中2から数年、4、5年ですか。―――今冷静になって振り返って、どう思われますか
そうですね。きっかけは本当に些細なことだったんです。人との接し方を忘れてしまったというか。自分の笑顔がどんなものだったか思い出せないとか。そういうことが積み重なっていって、もう一歩も出られなくなっちゃった。―――その後は大学受験に挑戦して、新聞配達をされてと続くわけですが、それもすべて社長となられた今の自分にいい意味で影響していると?
そうですね。いい意味でも悪い意味でも影響していると思います。―――いざ外に出ようとされてから、その後も“ひとりぼっち”になった時期というのはあったのですか?
油絵の予備校に通っていたんですけど、そこでも結局、何か馴染めずに、一人で鳩に餌をやったりしていました。近くに寺があったので。―――逆に言うと、人に接するということは別にイヤではなかった、ということでしょうか。
そうですね。(2)に続く