□“もう一度会いたい人”になれるかがお付き合いのカギ――――本日のゲストは、ロングセラーで7万5000部の大ヒット作『五つ星のお付き合い』の著者、山ア拓巳さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。――――『五つ星のお付き合い』という本は、前作『気くばりのツボ』の続編と考えていいのでしょうか。
そうですね。『気くばりのツボ』というのはどちらかと言うと、初めて人と人が出会ったときにどう打ち解けていくか、といったことを書いたのですが、『五つ星のお付き合い』では出会った後にその縁をどう美しいものにしていくか、というような「展開していくにはどうしたらいいか」ということに基づいて書いてきたような気がします。――――ご著書を読ませていただいて思ったのですが、「一度お会いする」ということは何かの縁であることですが、それが2回目、3回目につながるのは難しいですよね。
そうですよね。“もう一度会いたい人”になれるかどうかがキーになってくると思います。初めて会ったときは、お互いが緊張の間といいますか、それが打ち解けていって、いかに気に入っていただけるのかなというところで、アピールしがちなとき。もしくは緊張し過ぎてアピールできないときもあると思います。そのとき、いつもテーマとして、「もう一度会いたいな」と思っていただけるかどうか、というところにポイントを置いたらどうかなと、いつも思っています。――――簡単そうで難しいですよね。ついつい自分のことを過剰にアピールしたり、自己主張し過ぎたりする人が多いのでは?
はい。僕も両方の失敗体験を持っています。ちょっと出過ぎたかな、と。――――例えばどういった失敗でしょう?
「どうして今日、あんなに硬くなってしゃべれなかったんだろう」というときがありました。ただ本当に縁があるならまた必ずめぐり合うし、縁がないならもう二度と会わないように、わざわざそうさせてくれているのだと思います。自分以外のものが加わっているんじゃないかと思うと、ちょっと楽になるかなと思いますね。――――「五つ星のお付き合い」とはどういうお付き合いなのでしょうか?
「良好な人間関係には神が宿る」と僕は思っていますが、その良好な人間関係というのがお互いに気持ちいい。会っている間が気持ちいい。そして後日、フラッシュバックして「こういう話をしたよな」なんてシーンがよみがえってくるような間になったらいいな、と。これがお付き合いの心地よさじゃないかなと思っています。――――印象は残っていて「また会いたいな」くらいの余韻がある感じでしょうか。難しいですよね。
はい。難しいがゆえに学ぶこともたくさんあって、また「なんであの人の周りには人が集まるのかな」とか、「なんであの人は何度も何度も素敵な出会いを持っていらっしゃるのかな」という方、いらっしゃいますよね。出会いの達人のような人です。
僕はどちらかというと、学生時代に「文化祭はこうやったらいいと思います」とアイデアを出しても、クラスの人気者の誰かが「いや、僕はこう思う」と言って、クラスの空気がガラッとそちらへ向いてしまって、僕もそちらに賛成するみたいな経験をずっとしてきたタイプでした。クラス替えがあって初めはいい感じだけれど、2学期、3学期になるにつれて劣化していく感じがするんです。でも、いい意味の緊張感を持ってずっとお付き合いしている人もいて、それをすごく研究しましたね。――――それは、おいくつの頃ですか。
特に苦しんだのは高校時代、大学時代でした。だから「なんで僕って好かれないんだろうか」とか、「なんで僕ってこうなんだろうか」と自分を責めながら心が痛かったですけれど、研究しましたね。――――高校や大学時代の友達関係となると、ダメならしょうがないと諦めがちだと思うのですが、その頃にあえて努力をしたと?
努力というより、そこから今までテーマが続いているし、またこれからも続いていくと思います。自分の中の大きな大きな課題ですね。――――学生時代はずっと相手と一緒にいますから、嫌な部分も見えることがありますよね。意外と気を使わないですから、その嫌な部分が気になりはじめると、関係にも支障が出るように思うのですが。
どれが正解なのか、人生をかけて知りたいと思っていました。自分も正しいような気がするし、彼も自分が正しいと思ってそういう行動をしているのだろうと。長い時間をかけて見ていかないと、どれが答えかわかりにくいよな、と。
また仕事がうまくいく人は結局、人間関係がうまくいく人ですよね。その人間関係の極意というのはどこにあるのかというのを、探ってきたような気がします。――――そうして学生時代、社会人と、気くばりやお付き合いの仕方を一生懸命研究しながら現在に至って、2冊の本ができたと?
はい。うまくいくコツを発見したときは、やはり大感動で「これは自分の中に標準装備したい!」と思いました。心がけから始まって「あのことを忘れちゃだめだ」と思いながら人間関係を作って、それがなじむとまた次の法則を見つけるといった繰り返しでした。そうして僕が苦しんできたことだから、これを本にしてお知らせしたら「助かった」という人がいるんじゃないか、と思いましたね。(2)に続く