□エッセイという新境地で著者が伝えたかったこと――――本日のゲストは和田裕美さんです。お名前を聞いて知らない方はいらっしゃらないのではと思います。今回は、和田さんの本の売り上げ部数が累計で100万部を突破した記念の本でもある『和田裕美の幸せレシピ』をテーマにお話を聞いて参ります。よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。――――この本のサブタイトルに「人に愛されるための36の扉」とありますが、こういったテーマは和田さんにとって初めてだったのでは?
そうですね。これはサンケイリビング新聞のシティリビングで毎週連載しているものをまとめたエッセイです。――――和田さんが書かれる内容は、最初は「営業」から始まって、その後かなりテーマが広がってこられたように思うのですが。
そうですね。振り幅ってあると思いますが、結構寄り過ぎたという感じですね。営業とかビジネスっぽいことから話し方、仕事、時間とずっと寄ってきて、最後に幸せまできてしまった、という感じですね。――――エッセイを書かれるきっかけは何だったのでしょう?
連載の依頼があったときから、幸せについて書いてほしいということだったので、仕事のことは書けなかったんです。身の回りのこととか、友達に起こったこととか、そういうことを書いていこうとしたのでエッセイになってしまった、という感じですね。――――和田さんの読者層はものすごく幅広いと思いますが、この本のテーマに関してはその中でも読者が絞られるようなことはなかったですか?
もともとシティリビングは女性のOLさんが読んでいる新聞なので、女性向けは女性向けなんですけれど、男性の方も読んで下さっているみたいです。あと、ご主人が持っているけど奥さんが読んでいるとか。ご夫婦で回し読みされている方もいらっしゃいましたよ。□いいことより悪いことの方がイメージしやすい?――――「人に愛される」というテーマは、簡単そうで難しいですし、特に男性は照れくさくて言いづらいんですよね。女性はどうなんでしょうか。
心の中ではすごく求めていることだと思いますね。とても重要なことなので。だけど、失敗が怖い分野でもありますよね。――――“失敗が怖い”とはどういうことでしょう?
一方的だと嫌だ、というのがあるじゃないですか。「あなたを愛しています」、だけど愛が返ってこない、とか。「あなたに関心があります」、でも関心を向けられていない、とか。愛の世界って、自分から与えたものが返ってくるかこないかわからない世界ですよね。だから本当は愛されたいんだけれど、それがちょっと怖くて素直に表現できない、という部分はあるとは思います。
――――恋愛で傷ついたり上手くいかなかったりすることのほうが多くて、怖くなっている人が増えている気がしますよね。これまでも読者の方から、恋愛などの悩みが和田さんに届いていたんですか?
そうですね。仕事もそうだし、恋愛もそうだし家庭もそうですし。女性なら家庭と仕事が両立できないとか、仕事に向いているかどうかわからないから辞めたいとか。恋愛でも好きな人がいるけれどずっと長いこと片思いをしている、とか。そういう質問は多いですね。どうしてなんでしょうね。――――ネガティブにものを考える人がたくさんいますよね。今回の本の中でも“陽転思考”について書かれていますが、恋愛となるとネガティブな状況にいる自分が好き、なんていう女性もいるようですね。
そうですね。いいことを考えるよりも悪いことを考えるほうが簡単なんです。「この人とうまくいきそう」と思うよりも「この人と駄目になりそう」と思うほうが楽です。――――なるほど。ちょっと気持ちがわかります。
なぜか恋愛となると、想像するボリュームは「駄目になりそう」とか「告白したらふられちゃいそう」とか、マイナスに思う割合のほうが「成功しそう」と思うよりも高いですね。ビジネスでうまくやっている人も恋愛でうまくいかないのは、ビジネスだと成功するイメージがあるのに、片や恋愛になると成功イメージがガタ落ちするというか……。――――私も身につまされるものがありますが、つまり恋愛においても前向きに考えていったほうがうまくいく可能性が高い、ということですか?
そうですね。恋愛の成功率が高い方は、100%すべて成功しているわけではなくて、ハートを撒くのが非常に上手なだけなんです。ハートをいろんなところに撒き散らしている。私はもうそんなにしてないですよ。モテる人は、ハートを撒き散らすのがとりあえずうまくてモテるんですね。そういう人を見ていて「あぁ、いいな」と思います。――――仕事で成功している人は前向きなのに、プライベートというか恋愛だと前向きになれない人が多いように思うのですが、なぜなんでしょう?
そうなんですか。それは多分、人生で勉強しなくてはいけないのは、例えば仕事だとか家庭だとか健康だとか、幸せになる項目ってありますよね。仕事が上手くいっている、健康である、恋もうまくいっている、結婚もうまくいっている、といろんなことがある。これは国語算数理科社会といった科目みたいなもので、当然人によっては国語が得意な人もいれば算数が苦手な人もいます。だから得意なことをやっている時は自信があるので、ものをスバッと言えたり「ここはこうですよ」と言えたりするんです。――――自信があるから意見が言えるわけですね。
仕事なら人に声をかけられる、というのは仕事が得意だから。でも恋愛だと、頭の中で「これは恋愛だ」と思っちゃった瞬間に、気持ちは苦手な数学をやっている感じになって「解けるかな、この問題」となってしまうのではないでしょうか。――――恋愛が苦手な私にとって、恋愛は数学ということですね。
和田数学が駄目ということは文系ですか?――――文系なんですよ。
そういう分野の違いがあるのかなとか思います。(2)に続く