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吉元由美
小説家・エッセイスト [ 文化・芸術 ]
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吉元由美
[インタビュー]
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日常生活の潤滑油にウィットに富んだ柔軟な精神を持とう(2)
2006.10.01
[ TOPBRAIN RADIO ] あのひとの美意識を聴く!
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やはり困難にぶつかった時にこそ、美意識のようなものが発揮されると思うんですね。
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困難にぶつかった時にこそ、その人の生き方が発揮される
マダム 私のほうから続いて三つほど美意識についてのご質問をお伺いしたいのですが、まず一つ目。このように美しくありたい、このように美しくあるべき、という由美さんの美意識、美の哲学などを伺いたいのですが。
吉元 私の著書にも、「美意識を高めていこう」というフレーズがよく登場すると思うんですけれども、私にとっての美意識というのはもちろん見た目の美しさはもちろんですが、「カッコいいか、カッコよくないか」そこに尽きるんですね。
一同(笑)
植松 根本ですね。
吉元 そうなんです。例えば、何か物を見てカッコいいとか悪いとかということではなくて、そういう態度をカッコいいとかカッコ悪いとか。振る舞い方、考え方、そういう点においてすごくカッコいい・悪いの点数は割と辛くつけてしまうほうではないかと思うんです。ですから何か自分が困難な場面になった時に、こういうふうにするのはカッコが悪い、と。それはちょっと痩せ我慢のようでもあるんですけれども、自分としてはカッコ悪くなっていく自分はちょっと許せないところがあって。
植松 例えば具体的に、誰かと遊んでいてどこかにご飯を食べに行こうという時に、自分が行きたくないところに行かないとか、相手に従うのは駄目とか。
吉元 いや、そういうのではなくて。
マダム 困難にぶつかった時に。
吉元 そうね。私、責任は取ります、と。とにかく逃げない。言い訳はしません。
マダム 潔さ?
吉元 そうですね、有難うございます、由美子さん。判ってらっしゃる(笑)。私、思い切り潔いんですよ。女の子から「由美さんみたいな人と結婚したい」と言われることが多いんです。
植松 男性的な部分があるということですか。
吉元 男性的なんでしょうかね。
植松 潔いというのも言葉を変えれば「侍」みたいな。
吉元 そう言われると思わず丁髷姿の自分が頭に浮かんでしまうんです。
マダム 竹をスパッと割ったような潔さ。困難にぶつかった時にこそ、潔く自分自身を表現出来るとか。
吉元 そうですね。スパッとしてるというか、ウジウジとしない。後に引かない。後に引く時には密かに自分の中で後は引いたりするんですけれども、とりあえずそれは表には出しませんね。やはり困難にぶつかった時にこそ、美意識のようなものが発揮されると思うんですね。それは言ってみればその人の生き方みたいなところだと思うんです。例えば本当に何かピンチになった時に、相手のせいにしたり、言い訳をしたりという姿はやはりカッコ悪い。そういう時に自分で少々理不尽なところがあろうと、それが自分の運の流れであれば受け入れる。責任を取る。
マダム それを丸ごと受け止めて責任を持つ。
吉元 そういうところはありますね。
美しい自分であるために、とりあえず笑顔
マダム では二つ目で日頃、自分自身の美について意識していること、実践していること。例えば、美容、ファッション、ライフスタイル、仕草、何でもいいんですけれども。由美さんは妻の顔、母親の顔、仕事人の顔をきちっと両立されてらっしゃるので、その辺りのライフスタイルなどを伺えたらと思います。
吉元 ライフスタイルで私が心掛けていることは、とりあえず朗らかに毎日を過ごす。それは子供のためにも、夫のためにも、また一緒に仕事をする人たちにも自分が朗らかでいて、ジョークを言ったり、ユーモアを絡めて生活するということでしょうか。だから困難があった時に悲壮な顔をするのではなく、キュッとユニークに、ジョークを交えてパッと返すと困難も何となく軽くなる。そういうことをやはり心掛けていますね。でも心掛けているというよりも、自然にそういう自分でありたいですね。特に美しい自分であるために、とりあえず笑顔。
マダム 笑顔ですね。
植松 一番大事ですね。
マダム では三番目ですけれども、こんな人が美しいと思うのは。一言で内面・外面でもどちらでも構いません。
吉元 私は圧倒的に美しいと思う人はヴァイオリニストの五嶋龍くんですね。
マダム・植松 ほほぅ〜。
吉元 彼は本当に美しい。それは神童と呼ばれる、ヴァイオリンが上手である、そういうことだけではなくて、押し付けがましくない前向きさで、本当にピュアで清らかですね。ですから五嶋龍くんのヴァイオリンを何度か生で聴いたことがあるんですけれども、そこにいるだけで「有難う」と言いたくなってしまうくらい本当に清らかですね。本当にそういう人は珍しい。なかなかいないと思います。日本人の財産ではないかな。
マダム 私もそういう視点で今度五嶋龍くんのヴァイオリンを聴いてみたいと思います。それでは最後になりましたが、吉元由美さんからリスナーの皆様へ、日常の生活やビジネス上でも美しく振る舞うためのアドバイスを一言お願いします。
吉元 さきほどもお話したんですけれども、ユーモアの気持ちをいつもどこかに持っていて、品の悪いジョークやギャグではなく、ウィットに富んだ柔軟な精神だと思うんですね。やはりそういうものがビジネスとか日常生活のちょっとした軋みをスムーズにしてくれ、潤滑油になるのではないかなと思っているので、ぜひちょっと自分はカチンコチンだな、と思う方は少し頭を柔らかく、ユーモアの心を持って接してみてはどうでしょうか。
植松 柔軟に、ユーモアを楽しみながら。有難うございました。本日のゲストは作詞家、そして小説家、エッセイストとしても活躍されている吉元由美さんでした。
マダム 有難うございました。
吉元 有難うございました。
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