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吉元由美
小説家・エッセイスト [ 文化・芸術 ]
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吉元由美
[インタビュー]
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日常生活の潤滑油にウィットに富んだ柔軟な精神を持とう(1)
2006.10.01
[ TOPBRAIN RADIO ] あのひとの美意識を聴く!
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やはり困難にぶつかった時にこそ、美意識のようなものが発揮されると思うんですね。
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「ポエトリーミュージック」という新しい試み
植松 本日は作詞家、そして小説家、エッセイストとしても活躍されている吉元由美さんをお迎えしております。本日はよろしくお願い いたします。
マダム・吉元 よろしくお願いいたします
マダム 早速ですが、吉元由美さんに最近のご活動のご様子などをお伺いしていきたいと思います。作詞家としてデビューされて22年。
吉元 そうですね、はい。
マダム 今、ご本を数えてみたのですが、文庫・単行本・詩集なども含めて30冊ほどありまして、今は「ポエトリーミュージック」という新しい試みでご活躍されてらっしゃるんですけれども、その辺りをちょっといろいろとお伺いしていきたいと思います。この「ポエトリーミュージック」は詩を書かれていらっしゃるんですよね。
吉元 そうなんです。「ポエトリーミュージック」というのはなかなか耳慣れない言葉だと思うんですけれども、ただ朗読するのではなくて、音楽としての詩、詩としての音楽というのをコンセプトにしてるんですね。音楽が流れていて、そこに歌うようにナレーションが入って、朗読が入っていくというもので。リビドーゲームという、テーマとしては本当に大人の心理の深いところ、男と女の心理の深いところであったり、ちょっと危険な感じの匂いのする・・・。
植松 リビドー、性的な部分という意味ですよね。
吉元 そうですね。そういう作品なので、夜の深い時間にヘッドフォンで入り込んで聞いてみるとまた違う世界が味わえるのではないかなと思ってます。
マダム 詩を音楽として聞く感じですよね。
吉元 そうですね。
植松 普段書かれているものとは全く違うジャンルですから、何か意識されたことなどはあるのですか。
吉元 リビドーゲームで書いた世界というのは、作りこんだフィクションであり、でも実は誰もが内面に持っている世界で、リアリティとリアリティではない部分がすごく交錯していて、私も書いていてすごく楽しかったですね。というのは、本当に書きたいことのひとつが書けたので、ぜひ聞いて下さい。
マダム 由美さんの言葉は「吉元ワールド」というふうに言われているくらい、優しく心の中に染み込む言葉で綴られて、本当にファンの方が多くいらっしゃるんですけれども、由美さんの文章やそういう詩の源をちょっとお伺いしたいんですが。私、由美さんのブログが大変大好きで。
吉元 有難うございます。
マダム その中でちょっと気になってぜひお伺いしてみたいと思っているフレーズがあるのですが、何でも得意技として「どこにいても何をしていても、頭の中だけ瞬間的にその場に移動することが出来る、というこれは作詞家の得意技です」と書かれていたんですけども。
吉元 自分で「瞬間楽園術」と呼んでるんですけれども、詩を書いたり、文章を書く時にやはりそこの場面があるわけですよね。よく「詩を書く時に海に行って海を眺めながら詩を書くんですか」とか聞かれるんですけれども、全くそういうことはなくて、受験生のように仕事場で書いてるわけなんです。
植松 缶詰で。
吉元 缶詰で書いてるんです。でもそうした時にやはり頭の中に映像も浮かべなければいけないし、そこの場面に自分を入り込ませて動かしていく。登場人物であり、詩の主人公でありを動かしていかなければいけないんですね。別にやろうと思って訓練したわけではないんですけれども、自分で仕事場にいながらにして、集中して頭の中を例えばハワイの海にすることも出来るし、パリのサンジェルマン・デ・プレ辺りに自分が立つことも出来る。その中で本当に映画のように、映像で人物を動かしていけるんですね。それはちょっと妄想なのかもしれないんですけど。(笑)
マダム でもどこかに行った時にパッといいアイデアが思い付いたら、瞬時にメモを取られたりとか。
吉元 そういうマメなことを全然しなくて。
植松 そうなんですか。
吉元 そこは不勉強なのか、レイジーなのかわからないんですけども。ただ旅行に行った時にはノートはバッグの中に入れてますから、細かいことを書いたり、そういうことはありますけど。
魂を感じる美しさはとても自分を元気にしてくれる
マダム 本当に沢山のご本を出版されてらっしゃるんですけども、それではちょっと吉元由美さんの美意識についてお伺いしたいと思います。ブログの中でも沢山書かれていますが、パリやハワイによくお出掛けになって、そこからいろいろなインスピレーションを感じとっていらっしゃるようなんですけども、そこから広がる美意識というのもやはりあるのですか。
吉元 まずハワイについて言えば、圧倒的に気持ちがいい。本当に空は基本的なブルーだし、海も基本的なブルーという感じで、いつも風が吹いていて。やはり体とか、気持ちの濁りのようなものをリフレッシュするためには、ハワイの風に吹かれると自然からエネルギーをもらうんですね。あとは美意識という点で言いますと、ちょっと精神論みたいになるんですけど、例えばハワイだと「全てのものに神様が宿っている」、「精霊が宿ってる」という考え方ですよね。そういう精神性だと、お花ひとつを見るにしてもただの植物エネルギーというだけではなく、そこに心を感じたり、何か息づくものを感じる。例えば海に入ってもそこから地球のエネルギー、美しいエネルギーを感じる。そういう意味で何か物を見た時に、自然のものを見た時に、そこに魂を感じる。そういう美しさはとても自分を元気にしてくれますね。
マダム 感じる心、ですよね。本当に由美さんのブログを拝見していていつも「感じた」というのがすごく描写的に書かれているので、自分自身も由美さんとご一緒にそこに行ったような気になって、だからやはり読んでらっしゃる方の心に届く言葉としてなっているのではないかなと思いますね。ハワイとパリ、さっきおっしゃってましたけど、“ハ”が付くのがお好き(笑)。
吉元 ハワイと同じように好きなのがパリですね。結婚する前は年に一回は必ず行っていたんですけど、この数年は行けてないんです。パリに行くと創造的なエネルギーを感じて何か書きたいとか、クリエイティビティがすごく刺激されるんですね。
マダム そういう気持ちになるんですか。
吉元 えぇ。特にそういうスポットがいろいろあって、例えばセーヌの橋を渡る時、渡って対岸にルーブルが見えてそこの橋を渡る時に何か掻き立てられる。あとはサンジェルマン・デ・プレとか、あの辺りを歩いていると何かすごく創作意欲が沸いてきて。クリエイティビティなエネルギーをそこで吸収して、東京に帰って少しずつ使うんですね。(笑)
植松 小出しに。
吉元 「瞬間楽園術」でいつでも注入は出来るんですけれども。ハワイで自然の美しさであるとか、豊かな自然がもたらした人の心の優しさ、いわゆるアロハの精神のようなものに触れるとすれば、パリは研ぎ澄まされた芸術、人、クリエイティビティの美しさを感じる場所ですね。
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