|
|
菅谷義博
旅行情報ドットネット株式会社代表取締役社長 [ 営業 ][ マーケティング ][ インターネット ]
|
|
|
|
菅谷義博
[インタビュー]
|
ロングテールの要は「自動化」にある(2)
2007.05.13
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
|
|
「常識」はすでに古くなった――― ものづくりの立場から考える新時代マーケティング
|
いかに「自動化」できるかがカギになる
---本の中には、そのヒントがたくさん書いてあって、ロングテールの部分のところで、インターネットによるいろいろな手法が書かれていますが、お客を浅く広く集める方法というのは、インターネットの登場によってどう変わってきたのでしょうか。
変わったところというか、「自動化する」という点が非常にポイントだと思います。インターネットの世界だからといって、例えば人間が直接対応していたのではやはりコストがかかります。 メールを送るだけならお金はかかりませんが、メールの文章を書くのに時間もかかるし、1人1人に対してそれを書いていたら、極めて時間かかるじゃないですか。時間というのはイコールお金ですから、コストがどんどん上がるわけです。その点でうまくシステムを使うと、あたかも1人1人に向けて別々に書いているかのように見えるけれども、メールをポンっと1個書いただけでバーっと1万人、1億人に送ることができる、というふうに変わってくると思うんですね。 だから効率的にやっていくためには、やはり自動化は必要なことで、そこを理解されている会社は非常にうまくやれていますし、理解されていない会社はいくらインターネットを使っても、結局は既存の営業マンが直接応対しているのと全く変わらない状況になっています。そこをわかっている会社とわかっていない会社があって、わかっている会社は成功されていると思います。
---自動化しても、例えばユーザーがメーリングリストに登録しても、すぐに切ってしまうメールマガジンもありますよね。それを、カットされないで、ロングテールの中にきちんと入っていくための工夫も必要なんですよね。
そうですね。逆に切り捨てないという、何でもいいからのっけてみる方法が1つあります。これを作るにはある程度は自動化が必要になりますけど、例えば「旅行情報ドットネット」という旅行業の動向サイトがありますが、そこのアクセスログを見ていますと、ちょっと変な言葉で検索されているのが多いんです。具体的には忘れてしまいましたが「こんな言葉で探してきているんだ」「これで探してるのはどんな記事なんだろう」「こんな記事あったんだ」と、運営しているこちら側も覚えていないような記事がたくさんある。そういうアクセスが、すごく増えてるんですよね。
---なるほど。
それから、2000年前後はインターネットのウェブサイト作る場合でも、トップページからアクセスされることを前提にサイトのほとんどが作られていたと思います。今でも確かにそうなんですが、現実的にはかなり下の層から来るアクセスが、ものすごく増えてるんですよね。一番下の、最下層のところから。
---つまり、どういうことですか?
例えばアサヒコムで言ったら、アクセスログを見せてもらったわけではないですが、昔は最初にトップページにアクセスされるのが当たり前だったんです。ですから、トップページのバナー広告は一番高かった。でも、今は「イチロー今日は3打数2安打」みたいな一番最下層のページにズバっとアクセスして来ることが、多くなってきているんです。 そうして下から入ってくることが多くなったので、一番下の記事をたくさん作りまくる。作りまくると下手な鉄砲、数打ちゃ当たるんですね。もちろん下手な鉄砲ばかりではダメですが。今まではコンテンツ作るうえで、どこかに集中させていた部分があると思うんです。でも逆に切り捨てないで、もうのっけられるものは何でものっける。ただ、もちろん人間系でやれることって限界がありますから、そこは自動化する仕組みが必要になってくるんですけどね。
---そうなってきた理由というのは、やはりネットを使うユーザーも変わってきたということですよね。
それもありますね。検索エンジンの仕組みも、グーグルの登場で大きく変わったというのが大きいんじゃないでしょうか。ああいったものがあると、どんなコンテンツでも引っかかってきますからね。
---個人のブログなどでも、たくさん出てきますよね。
そうなんですよ。あれは、まさにロングテールなコンテンツですよね。何でもありの世界です。
なぜ多くの経営者たちが、この本を読むのか
---インターネットの世界は、知っている人と知らない人に大きく分かれますよね。この本を読まれたのは、どういう方が多いのでしょう。何か反応がありましたか。
もちろんありますよ。やはり経営者の方が一番反応がよかったな、という気はします。僕も経営者向けに書いたつもりなので。 これまで思ってきたことと、ああこんなふうに変わってきているのか、という反応が非常に多かったですね。テクニック面では極めてベーシックなことしか書いていないので、それについては特にないですが、考え方として今までは「80対20の売れる2割に集中せい」というのが基本だったのが、そうじゃなくて「売れない8割の方、儲からない8割というのも実は大きくなっていくんだよ」という考え方については、なるほどと思ったという意見が多かったですね。
---どちらかというとマーケティングというよりも、発想の転換をする本という感じがします。おそらく本を読まれた経営者の方にとっては、「時代が変わったんだよ」「お前ら、知っているか」といったトークに使いやすい言葉が散りばめられていて、きっとすごくいい意味で知ったかぶりできるな、なんて思ったんですけれど。
たぶんそうでしょうね。朝礼とかで。実際、朝礼で話して頂いたことは、結構あったみたいです。
---今回は続編も出ていますけれども、それは1冊の本ではまだ書ききれないものがたくさんあったということですか。
そうですね。ただ2冊目に関しては、細かな点が多いんですけどね。1冊目は逆に考え方を中心にしたので、細かなところ、テクニック面に関して薄い面もあったんです。そこを2冊目では掘り下げて書きました。でも2冊目を読んだ人から「もっと掘り下げてくれ」なんて話も結構あって「キリがねえじゃん」って。
---私は読んで、危機感があるなと思いました。大企業のビジネスマンたちが今まで持っていた優位性や既得権はどうなっちゃうんだろう、といった危機意識が、おそらく経営者には感じられる1冊だと思います。 まだまだお聞きしたいことがたくさんありますが、最後に菅谷さんからリスナーのみなさんへ、何かメッセージをお願いします。
キーワードは「自動化」というところですね。自動化を図ることが、ロングテールをとる一番のポイントです。
---本日のゲストは「80対20の法則を覆す ロングテールの法則」の著者、菅谷義博さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
|