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城繁幸
人事コンサルティング「Joe‘s Labo」代表 [ 人材採用 ]
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城繁幸
[インタビュー]
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「3年で辞める」前に何をすべきか(1)
2007.01.21
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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成果主義、年功序列、それぞれメリット、デメリットがあってそのバランスを考えて付き合うべき
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注目が広がりつつある日本企業の人事制度
川崎 本日のゲストは光文社新書から出版されている35万部を突破したベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来』の著者でいらっしゃいます城繁幸さんにお越しいただいています。
高城 城さん、本日はよろしくお願い致します。
城 お願いします。
川崎 よろしくお願いします。
高城 城さんにお目にかかってまず驚いたのが、1973年生まれの33歳とお若いんですね。 タイトルもそうなんですけど、実際に文章を読ませていただきますともっと年配の方なのかなという風に思っていたのですが、よく言われる話じゃないですか?
城 ええ、いろんな方から言われますね。逆に成果主義の話に関しては若い人間じゃないと出来ないですよね。
高城 そうですか?
城 例えば、コンサルタント歴20年とかいう有名な方で年代も50代の方っていうのは、確かに日本企業を知っていらっしゃるけど80年代とか70年代の日本企業なんですよね。成果型システムに変わった後の運用の実態とかは全くご存知ないんですよね。それを知っているのは大企業の人事で大体30歳前後の人間が一番知ってますね。
高城 30万部を超えるのは大ベストセラーだと思うんですけど、まず最初にこの本がこれだけ売れたということで周りの反響や体感しているものは具体的にありますか?
城 今までいろんなメディアさんとお付き合いさせていただいてたんですけど、例えば雑誌だと読者年齢がかなり高くて固いビジネス誌とかオピニオン誌等のところで記事を書かせていただいたり取材をしていただいてたんですけど、今回この本を出してから一般のメディア、例えば若者の20代向けの雑誌の取材をいただくようになりました。このテーマに興味を持ってくれている人が広がっているんだなというのは感じていますね。
高城 この『3年で辞める』というテーマですが、ご自身も就職氷河期のど真ん中でいらっしゃるので、3年で辞める世代の中に含まれるんですか?
城 長い目で見れば含まれると思うんですけど、実際私の同じ世代は東大ですけど3年で3割位は辞めていますね。
高城 よく七五三っていう言葉で言うんですけど、中学を出た方は7割、高校を出た方は5割、大学を出た方は3割が3年で辞めるって言われているんですけど、それが実際に東大の方でもそうですか。
城 僕の周辺はそうですね。
川崎 起業も多いですからね、今は。
若者が変わったのではなく変わったのは社会だ
高城 この本を作ろうと思ったきっかけはどういうところからですか?
城 いろいろあるんですけども、実は2作目で取り上げた日本企業の人事制度、雇用問題は全体の中の一つのテーマなんですよね。僕は成果主義を否定をしている訳ではないんですよ。成果主義、年功序列、それぞれメリット、デメリットがあってそれをバランスを考えて付き合うべきだってずっと言っているんだけども、とかく既存のメディアや組織の方で成果主義の暗部にばかり脚光を当てるような取材や仕事をする機会が割と多いんですよね。言い方が悪いんですけど私を利用しようとするというか、そういう話をして下さい、みたいな。段々お付き合いしていくうちに腹が立ってきて。そうじゃないだろう、とここでガツンと言っておかなきゃいけないかな、というのが一つありましたね。今までのこういう問題や賃下げリストラだっていう話にしても全部それは既得権を持っている既得権層の人からの視点でしかないんですよね。
高城 なるほど。
城 あと、若者の変化については確かに彼らも感じていて、取り上げた本は幾つも出ているけども、それは大人から見たら若者学なんですよね。実は若者はそんなに変わっていなくて社会が変わっているんだっていうのを誰かが言わなきゃいけないなとずっと思ってましたね。
高城 何故3年で辞めるんですかね?
城 あまり「3」っていう数字は意味は無いんですけどね。統計がずっと3年なんで、あまりそんなに意味は無いと思うんだけども、敢えて言えば3年って或る意味自分の周囲や、ある程度先が見えてくる年数なんですよ。最初の1年ってどんな奴でも言われた事を一生懸命忠実にやるんですよ。だけど2年目辺りから段々周りがちょっと見えてきて3年目辺りでちょっと先のほうまで見えるんですよね。その時に「あれ?何か違うぞ」と感じる年代であると思います。
高城 よく「3年で辞める」と言うと、若者の思考が変わったんじゃないかとか社会が悪いとか、どこかに責任を転嫁しがちだと思うんですよね。その辺りは城さんから見てどのようにお感じになっているんですか?
城 10年や20年で人間はそんなに変わらないですよ。だから80年頃に社会に出た45歳位の人間と団塊の辺りの人間と今の20代は変わるか、と言うと変わらないんですよね。
川崎 そうなんですか?
城 あの頃の人っていうのは年功序列のレールがずっと続くと思っていた。神話ですよね。その神話は揺るぎなかったから、一生懸命働いた。それは別に真面目だったからとか教育が良かったからじゃなくて、そうすれば充分元が取れたから。それだけの話なんですよね。今の若者はそうやっても元が取れないだろうから、だから自分でキャリアを考える。そんなに中身は変わってないんですよ。だから当時の人間が偉いわけじゃなくて、単に何も考えなくても元が取れたというだけの話だと僕は思いますね。
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