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林田正光
リッツ・カールトン大阪元営業統括支配人 [ サービス力 ]
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林田正光
[インタビュー]
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社内外に自分のファンはいますか?(2)
2006.12.17
[ TOPBRAIN RADIO ] おもてなしの極意を聴く!
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ホスピタリティに徹してこそ付加価値を持って勝負出来る
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従業員満足度とは経済的満足と精神的満足から成っている
永田 私がいつも感じていることは、やっぱりサービスマンはお客様を笑顔にしなければいけない、と。そのもてなしている側が笑顔じゃないと、さっき出た笑顔、フレンドリーっていう部分、その背景にはやっぱり働いている側の中のチームワークとかその中でのホスピタリティってあると思うんですよ。そこら辺を林田さんはどう思われますか?
林田 我々はESと言うんですね、エンプロイズ・サティスファクション、従業員満足度。従業員が心から誇りとプライドを持って働けるような職場環境を作ってあげる。それには経済的な満足と精神的な満足が要りますけど、経済的な満足というのはこれは売上、利益が上がらない限りは満足させることは出来ないと思うんです。ですから精神的な満足、そこにはやっぱり誇りとプライドの持てるような人間関係も含めて、会社にビジョンがあり、それに皆が一緒になって、っていう条件を整えないとやっぱりホスピタリティやれって言ったって、これは無理だと思いますよ。
永田 これはね、一般企業に勤めている方にも共通で言えることだと思うんです。僕自身は先程あった、従業員満足度のうちの経済的な部分っていうのは決して満足を生むものではないと思っていて、その環境が悪かった場合にその不満を解消するツールにはなるんですよ、お給料を上げてあげるっていうのは。ボーナスを上げてあげるとか、実績をやるとか。というのはその不満を解消するのはいいけれども決して満足いくものにはならないんですね。
川崎 それじゃ足りないんですか?
永田 やっぱり環境であったり、上司との人間関係であったり、同僚とか部下との人間関係であったり。あとは最大のものっていうのは評価なんですよ。お金の評価ではなくて、口の。
川崎 人物評価ですか。
林田 その人を認めてあげる。人間っていうのは一番嬉しいことは、例えば給料が1万円上がった、瞬間的には嬉しいんですけど次はまた、要求が次の次に段々なっていく、きりがない。
永田 そうなんですよ。
林田 だけどやっぱり川崎さんていうのは素晴らしい、よく頑張ってくれている、あなたはこういうところが素晴らしいと褒めてくれ、理解し、そして一緒のパートナーとして一緒に仕事をしていく、そういう雰囲気があれば職場で長続きすると私は思いますよ。
川崎 すごいやる気になれました、今。全然違うのに。
永田 そうですね。今仰られた通り、1万円の給料っていうのは一時の喜びにもなるし、しばらくの間はそれで何とかなるんです。不満は出てこないんです。時が経つと20万円が21万円になったことが当たり前になってきちゃうんですよ。そうすると22万円になりたくなる。また不満が出るんですよ。それ以上に20万円のままでもやっぱり林田さんに「永田君頑張っているね、永田君がいてくれるから僕が働いていられるんだ」とか「永田君に会うのが楽しみなんだよ」とか社内でも言われちゃうと、もう僕はどこまででも昇っていっちゃいますから。
社内ファンは社内顧客
川崎 外側に見えているホスピタリティだけではなくて実はそれが出来ているところって内側も。
林田 そうです、だから社内ファンは社内顧客だという位置づけをしなくちゃいけませんよね。社員がいらっしゃる、皆社内顧客だ。やっぱり社内もファンを作らないといかん訳ですね。ファンを作るっていうことはやっぱり信頼関係ですよね。やっぱりそういうような状況をどうやって作っていくか。そこには1つのES、従業員満足度のポリシーが必要ですね。CSポリシーは顧客満足度ポリシーね。そういうことを明確な哲学としてリッツ・カールトンは進んでいく。600人の寄せ集めの集団ですよ。それが1年経ち、1年半、2年経ってくると段々とクレードという1つの信条、という哲学を持ってそこに皆が共有して同じ方向に進んだとき、ホテルっていうのは勝ち組になっていくんですよ。それを7年間の中で幹部としてまざまざと肌で感じましたよ。だからやれば日本一になるんだ。大阪でも300室弱しかないホテルのリッツ・カールトンが600室あるホテルより遥かに高い売上を上げるということは、最初に言われたように、あそこはちょっと高くても仕方がないよ、と。そして使ってもらえるような状況、それがホスピタリティに徹しているからなんですよ。
永田 そうですよね。屋台の焼き鳥屋でも感動させられる時はあるし、高級なフレンチでも腹立たしくなることもありますしね。やっぱりリッツ・カールトンにはその値段が相応なんですよね。それがお客様に認められたから今こうやって評価をいただいてるんだと思うんですね。
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