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鶴岡秀子
人を元気にする専門家/「伝説のホテル」設立中 [ サービス力 ]
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鶴岡秀子
[インタビュー]
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相手にあわせた「おもてなし」をしよう(2)
2007.01.28
[ TOPBRAIN RADIO ] おもてなしの極意を聴く!
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「おもてなし」は一人ひとり違っていいんです
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入り口の戸の開け方でわかるお店の格
鶴岡 父と私は本当に小さい時からよく仕事の話をして、おもしろい話を聞いたことがあり、私はそれを「スパイラルの理論」と名づけたのですが、「一番安いお店、単価の低いお店は自分で入り口の戸を開けて入るだろ」と言われたんですよ。お金かけられないから自分で戸を開けて入らなくてはいけないのです。次は自動ドアになるんですよ。楽になって、サクサク入れるようになるんですね。もっといいお店になるとどうなるかというと、「もっと重いドアがあって手で開けてくれる人がいるんだよ」と父が教えてくれたのです。最初と最後は同じ木の扉だけど次元は全然違うのね。
永田 同じなのは看板です。究極にいうと看板は要らなくなってしまうのです。
鶴岡 なるほど。
永田 場所もわかんなくていいんです。
川崎 でもその方がなんか隠れ家に来たような感じがして。
永田 それもそうだし、電話で問い合わせた時の対応力や、もっと言ったら「お店の前でお待ちしておりますので」という仕掛けをね。
川崎 わあ素敵、待たれたら。
永田 今日はいろいろもっと聞こうと思っていたのですが、今の話に全て集約されてすごくわかりやすかったです。
鶴岡 ありがとうございます。
川崎 でもそこにはだめなコミュニケーターではなくて、いい人がいないと全部ゼロになってしまうではないですか。いい人というのはどういう基準で探していくのですか。
鶴岡 自分にベクトルが向いている時に強い人と、人にベクトルが向いている時に強い人とやはりいると思うんですよね。どちらかというと後者、比較的私もそうですけど、人に何かをやってあげている時こそ喜びを感じるタイプの人がいいんですよ。だからスキルや経験があるかないかではなくて、そういう発想を持てる人がすごく大事だと思うのです。
永田 面接している時に結構白黒つきますよね。
川崎 どうやったらわかるのですか。
永田 雰囲気というか、しゃべり方や目配りでわかってくるのですが、ちょっと言葉悪いですけどため口でしゃべっていても雰囲気がいい人もいるし、丁寧な言葉遣いでもいまいち冷たさを感じる人もいますので、それであれば僕は茶髪でもピアスでもいい子はいいと思っているので、本当は一律のルールは作りたくないんですよ。サービスというのは相手に対して喜んでいただこうという気持ちさえあれば、「トライないところに成長なし」なのでいくらでもトライして失敗していいと思うんですね。飲食店などのサービス業は最低限のものは必要だと思うのですが、そこから先はいかに個性を伸ばしてあげられるかだと思うんですよね。
川崎 なるほど。これから従業員を探していくポイントというのはやはり人に何かしてあげられるような方たちですか。
鶴岡 そうですね。
サービスは同じではなくていい
川崎 いろいろお伺いしたいと思っていたのですが、最後に鶴岡さんから今聞いていらっしゃるリスナーの皆さんに日常の生活、それからビジネス上でも役に立つおもてなしのためのアドバイスなどがありましたらお伺いしたいのですが。
鶴岡 いかに本当の大親友だったらと、身近な人に置き換えて考えられるかだと思うのです。例えば皆さんもおうちにお友達を呼ぶ時にたった1人で来る人と友達2人で来る人とご夫婦で来る人と子供連れで来る人と、対応を変えるではないですか。
永田 そうですね。
鶴岡 だからサービスは同じではなくていいんですよ。日本人は「同じにしてあげなくてはいけない」「平等にしないと」と思っていて、「おもてなし」はたぶん「hospitality」と訳されるから一人ひとり違っていいんですよ。日本人は何か違うと「誰かに不利益を被らせる」「みんなに同じことやらないといけない」と思っているのね。
川崎 今、言われて気がついたんですけど、それは自己満足ですね。
鶴岡 そうです。だから自分が何かをしてあげたいという感覚ではなくて、その人が何を求めているか。お子さんと一緒だったら折り紙を用意しておいて教えてあげるだけで喜ぶかもしれないし、自分がやってあげたいことよりもその人が何をして欲しいかなという感覚。だから自分たちにフォーカスするのではなくて、来て下さる方にフォーカスするのがすごく大事な気がしています。
永田 本当にそう思いますね。意外と街中のお蕎麦屋さんのおばちゃんがよかったりするんですよ。子どもを見たらあめ玉あげたり、「あなた、ちょっと大盛りやめなさい」なんて言ったりして。
鶴岡 そう、そう。
永田 「ちょっと最近太ってきたんだから」なんてね。
鶴岡 それが嬉しいのよね。誰にでも大盛りにすればいいというものではないのよ。
永田 「よし、売り上げ100円得した」ではなくてね。その人のことを思いやるということだと思うんですね。
川崎 ありがとうございます。『永田雅乙のサービスマインドセミナー おもてなしの極意を聞く!』本日のゲストはザ・レジェンド・ホテルズ&トラスト株式会社代表取締役CEOの鶴岡秀子さんでした。
永田 鶴岡さん、本日は貴重な話をどうもありがとうございました。
鶴岡 ありがとうございました。
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