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高城幸司
人事・キャリアコンサルタント/きき酒師 [ 営業 ]
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高城幸司
[インタビュー]
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リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術/日本経済新聞社(2)
2006.04.16
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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30歳までに自分の可能性を広げて、 40歳までに自分の次の道を見つけたらよいと思います。
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社内で新たなビジネスが生まれるための仕組み
【川崎】 例えば広告代理店は一業種一社みたいな形で事業を展開していますよね。けれどもリクルートは広く万遍なく。というのも情報誌ですからいろいろなところからの情報を得るため、そういうお付き合いの仕方をすると思うのですが、一方でミキハウスさんみたいに関係を築いていくなかでそういう深い部分も出てくるのでしょうか?
【高城】 言い方は難しいんですけど、広く深くというのかな。
【川崎】 広く深く。
【高城】 要はフェアでなくてはいけないので、企業との接点はどの会社ともフェアに付き合いますよと。
ただお客様が望むのなら「とことん深く入りますよ」という感覚があるんですよね。特に今は大きな会社との付き合い増えましたけど、その当時は。当時というと今から17、18年前ぐらいかな。リクルートという会社は実はあまり世の中で知られている会社ではなかったんですよ。もっというと、リクルート事件を知っています?
【川崎】 はい。知っています。その名前で初めて知ったかなという気がしますけどね。
【高城】 そんな会社がなぜ大きく伸びたかというとやはり1つ1つの仕事を丁寧にやっていたからだと思うんですよね。今はリクルートというとベンチャー企業の経営者がたくさんいたり、インターネットの事業ですごく成功していて、学生に人気がある。こんなイメージがありますが、20年前や10年前には全然そんなことなかったんですよ。
【川崎】 リクルートについてもう1つ伺いたかったのが、社内で新たなビジネスが生まれるための仕組みがあると本に書いてあったのですが、これは他の会社にはなかなかないと思います。それはどういうものだったんですか?
【高城】 「リング」と言って、「リクルート・イノベーション・グループ」という名前の略称で、会社で通常の仕事である本業はそのままやりなさいと。でもやりたいことがあれば「業務時間外に好きなことをやってもいいですよ」ということになっているのです。
いろいろなビジネスプランを考えて、それを役員に提案をして通れば「やらせてあげますよ」というものです。私も1年目の時に「リング」に出して、その時600件ぐらいあったと思うのですが、グランプリを取ったんです。
【川崎】 600件も出るんですか、1つの会社から。
【高城】 そこからグランプリ取ってしまったんですよ。それはある地方の活性化のビジネスで実際に実現しましたし、その後私がやった事業の中で事業化したのが「アントレ」という仕事ですが、それ以外にも私の同期の人間が作った「ゼクシィ」もそうですし、あと「ダ・ヴィンチ」という本の情報誌もそうですし、言ったらキリがないです。「R25」というのもそうですね。
【川崎】 「R25」も。
【高城】 ということを考えていくと、結構多いんですよ。
【川崎】 知らない名前は出てこなさそうですね。
【高城】 そうですね。だからもちろん会社が戦略でやった事業もあるけれども、現場からどんどん吸い上げたというか、手が挙がって実現した事業もたくさんあります。
自分が自分らしくいようと思えばできる
【川崎】 そういう仕組みがあったからこそ、それだけの方達が応募して実現されていくのもわかるのですが、普通の会社にはそういう仕組みがないと思うので、システムによってどういうふうな気持ちが育っていくのかなと気になったんですが。
【高城】 仕事をしていくと自分がやりたいことや興味を持つことがたくさんあるんですよ。
例えば大学生の就職の仕事をしていたら、もっと何か学生向けに学校をやってみたいなとか、いろいろ思うわけです。やりたいなと思っていても忙しくて忘れてしまったり、あるいはやりたいなと思っていても一緒にやる仲間がいなかったりするわけですよね。仲間をわりと自由に集めて行動に移すことを否定しないのです。会社で止めてしまうことがありますよね?
【川崎】 ありますね。
【高城】 「そんなことをやるよりも他にやることあるだろう」と言われてしまうと社員はめげてしまいますが、リクルートはそれをどんどん進めるのではなくて、「どうぞやってもいいですよ」という感じなのです。
【川崎】 「やることあるだろう」と言われても、日頃のルーティンワークで「もっとこうだったらいいのに」とか、「ああいうふうになったらいいのに」という思いを実行に移さないですもんね。
【高城】 そうなんです。自分が自分らしくいようと思えばできる会社だと思います。だから場を作るのは得意ですよ。要するに「新規事業を考えてもいいですよ」という場があると「使うのは君達ですよ」という場も1つ作る。
あともう1つは「いろいろな人を巻き込む」ということ。例えば本業の仕事があるんだけど「ちょっと手伝ってよ」と言って、興味のあることを社内の人にに手伝ってもらう。
【川崎】 それもできるんですか?
【高城】 できます。だから「巻き込んでいいよ」ということ。
【川崎】 あまりそんな会社はないですね。
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