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中山庸子
エッセイスト、イラストレーター [ 自己実現 ]
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中山庸子
[インタビュー]
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今日からできるなりたい自分になる100の方法/幻冬舎(1)
2006.02.19
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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毎日の小さな積み重ねが いい人生をつくると思っています。
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転身のきっかけは、生徒の勧め
【主藤】 今回のゲストは、幻冬舎から出版されております、単行本で35万部、文庫でも4万部、合わせて39万部を突破しているベストセラー「今日からできる−なりたい自分になる100の方法」著者でいらっしゃいます、中山庸子さんにお越し頂きました。中山さん、今日は宜しくお願いします。
【中山】 宜しくお願いします。
【主藤】 高校の美術の先生をしていらしたのですね。
【中山】 はい。
【主藤】 高校時代の美術の時間を思い出しますね。
【川崎】 他の時間より、一番楽しかったですね。
【中山】 試験がないので、いいですよね。
【主藤】 そうですね。美術の先生を15年間された後に、作家に転身されたのですか?
【中山】 そうですね。(勤め先は)県立高校だったので地方公務員でした。担任を受け持ち、美術の授業もしていたのですが、女子高だったので結構友達感覚でやっていました。
【川崎】 楽しそうですね。
【中山】 美術だと生徒達もあまり成績のことを気にしないで先生と付き合えるので、本当に楽しかったですね。
【主藤】 その経験を生かされてフリーとなり、エッセイスト、イラストレーターとしてご活躍されていますけれども、実はもう100冊以上のご著書が出ていますよね。
【中山】 気付いたら、そうなんですよね。
【川崎】 100冊というのは、すごい数ですよね。
【主藤】 最初のきっかけは、何だったのですか?
【中山】 きっかけは教員時代でしたね。私はもともと本を書く仕事をしたかったですし、本を書いたり読んだりするのがすごく好きでした。美術でもデザイン、グラフィックが専門で、製本も自分でできるので、本を開いて読むというスタイルそのものが好きでしたね。
だから自分で小さな豆本を作ったり、手作り絵本を生徒と作ったりしていたのです。「先生もすごく本が好き」みたいな話を生徒にしていて、ある時生徒がインテリア雑誌だったと思いますが雑誌を持ってきて、「これ、すごい先生に合っていると思う」と言って見せてくれて、そして編集長宛てにイラスト入りの手紙を書いたら、それがすごく評判良く、先生在任中に第1回の連載が始まったのです。
【川崎】 生徒さんからの提言がきっかけだったのですか?
【中山】 そうです。実は、私はその雑誌を読んだことがなかったのですが。
【主藤】 生徒さんは(その雑誌を)読まれて、何か中山さんとマッチするところを感じたのですかね。
【中山】 西村玲子さんや大橋歩さんとか私より10歳ぐらい先輩で、絵を描かれて文章も書かれるおしゃれな生活の女性がちょうど出てきてとても活躍し、絵と文章が一体化した本がたくさん出始めた頃だったのです。
生徒が「先生の絵と似てる〜」と言ってきましたが、実は私の方が真似していました。やはり生徒に紹介してもらった手前、きちんとやってみたら、ラッキーなことに連載が始まったんです。
【主藤】 なるほど。編集部の方にお手紙を出されたのですね。 【中山】 日記みたいに「このページがこうおもしろかった」とか、「あのお店に行ってみました」みたいに、レポートに近いかな。
【主藤】 なるほど、感想を。
【中山】 そうしたら編集長が女性だったのですが、「会いに来ない?」という話になって。
【主藤】 それがきっかけで、出版の世界に入ったのですね。
【中山】 もちろんそれがすぐ単行本になったわけではないのですが、そこがスタートです。だから26、7歳の時ですね。その後出産などで途切れたのですが。
生徒が目を輝かせて聞いてくれていたのが今でも支え
【主藤】 今回の『なりたい自分になる』、一番最近出た本の『「いいこと」がどんどん起こる72のヒント』の2冊は、日常生活に関連した出来事や心がけをエッセイというか、格言ほど堅苦しくない言葉で伝えていますよね。これは昔から得意だったのですか?
【中山】 やはり教員になってからですね。自分自身は生徒からたくさん相談をされるのですが、まだその頃は自分の中にたまっている経験もあまりないですよね。年配の先生で自分のスタイルを持っている人を見て、「羨ましいな」と思ったのですが、同じことをやっていても仕方がないので、とりあえず図書館の係りになって、「本をたくさん読もう」と思いました。もともと絵も本も好きでしたが、いわゆる自己啓発や心理学の本はあまり読んだことがなかったんですね。
自己啓発本を読み始めてみたらすごくおもしろくて、まず私自身が啓発されてしまったのです。ただし日本の若い女性に向けてのものは意外に少なくて、アメリカからきた成功論理ばかりで、女性向けのエッセイというとほとんど恋愛についてばかりで、「可愛い女の子になって彼氏をゲットするぞ」みたいな考えです。でも実際には女性だってどんどん職業進出していて、ただし男性の場合の自己啓発と違うのは、やはり恋も仕事も手に入れたいと思いません?
【川崎】 はい。
【中山】 どちらか片方ではなく、自分の中でのバランスで、「素敵な彼氏もいて仕事でも何か責任のあることを任されたい」と思うけれども、そういう本は1冊もなかったのです。
両方を読みながら自分の中でミックスして、生徒に「ボーイフレンドと遊ぶのもいいけど、やはりあなたの進路はこうなのだから2人で高めあっていくような人間関係を作っていきなさいよ」みたいな話をしていたんです。
【主藤】 先生の立場ですよね。
【中山】 そうです。その頃は「恋愛と受験は成立しない」と言われていて、他の先生は言うことが堅苦しくて。
【川崎】 昔、そうでしたね。
【中山】 でも好きな人がいた方がお互いに意欲が湧くことだってありますよね。例えばボーイフレンドの方が理系ができて、自分が英語ができたら一緒にお勉強することだっていいのに、先生はもう頭から「男女交際はダメ」と言う。「そうではないだろう」と思って、自分なりの理論を恋愛論の本と自己啓発の本の両方からミックスしてプリントを作ったり、放課後に話をしたりしていました。
それがすごい評判がよくて、私は担任を持っていたのですが、他のクラスの生徒さんから「聞きたい」というオファーもあり、よくよそのクラスのホームルームで話をしたりしていましたね。
【主藤】 それはまだ著者としてデビューする以前の話ですよね。
【中山】 そうです。それまでは人前で意見を言うことはあまりしたことなかったのに、単に自己啓発本を読み始めて、自分が変わり始めたのです。美術の先生は普通、絵を描いていればいいので、一緒に「きれいだねえ」とか言って絵を描いていたのですが、「彼女達の将来に向けて自分がメッセージを出せるかな」と思った時に。
【主藤】 お話を聞いていると、僕はビジネスとして捉えてしまい、つまりマーケティングリサーチをして、自己啓発本を読んで、今までにないマーケットを見つけたわけですよね。
【中山】 そうです。見つけてしまったのです。
【主藤】 それをいきなり商品という形で出すのではなくて、まずは身近な生徒さんに話してみて受けがいい。次は隣のクラスというように、少しずつ広げていって。
【中山】 結果的にすごいマーケティングをしてしまったのです。「ここには市場があるぞ」みたいな(笑)。
【川崎】 生徒さんの返事によって、「ああ、そうなのか」と教えられることもありましたか?
【中山】 ありましたね。結局、授業はライブなので、反応がすごいんですよ。今までゴッホの話をしていても受けなかったのが、恋愛の話の中にうまくいろいろなことを盛り込むと食いつきがいい。
すごい自信を持ちましたね。「自分の考えていることをこんなふうに聞いてもらえるんだ」という快感も覚えてしまいましたよ。
【主藤】 ビジネスでいう芸術の分野は、恋愛や感性の部分で共通することも多いですからね。
【中山】 そうですね。
【主藤】 そういうベースがあったからこそ、今度は著書として広く一般の方に出してもしっかりと伝わって、これだけ長くたくさんの本が出せたのですかね。
【中山】 そうですね。そういう意味ではあの時、教室で生徒の目が輝いていたのが今でも支えですね。
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