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箱田忠昭
インサイトラーニング株式会社代表取締役 [ コミュニケーション ]
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箱田忠昭
[インタビュー]
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「できる人」の話し方&コミュニケーション術/ フォレスト出版(2)
2006.01.22
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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あなたの人生の大事なことを全部他人が決めていませんか?
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スピーチは「喫茶店方式雄弁術」で
【高城】 箱田さんが本の中でも書いていらっしゃる「話すことを勉強する」ことが最近、少しずつ日本の中でも広まってきたと思います。でも川崎さん、日常で話すことは普通にしていますよね?
【川崎】 していますね。
【箱田】 人前で話しをする、プレゼンをする、スピーチをする状況になると特殊な感じになってしまう方が多いのです。日本人の話し方は、「それでは、ヤマモトさん一言お願いします。」と言いますと、「突然のご指名によりまして、一言話せと言われまして、はなはだ高いところから・・・」となんだか変な話し方になってしまうのです。
日常的でない話し方になるのです。ところが、そういう人でも普段親しい人と喫茶店で話をするときなんかは、ものすごくお話がうまいのですよ。楽しく話していますよね。喫茶店で親友と「この前スキーに行ってすごくおもしろいことがありましてね。」なんていう風にもともとは誰でも雄弁家なのですよ。だから、あるとき「ああ、そうなんだ、もともとみんな雄弁家なのだ。」と気付いたんです。
何百人の前でも喫茶店で話すように話せばいいのだと。これ実はレーガンを見て私は気づいたのです。レーガン大統領のスピーチというのは絶叫しないのですよ。日本の政治家は、「ただいまご紹介いただきました。自由民主党公認茨城県第○区より!」って叫びますよね。
ところがレーガンの場合は、「Good evening, my fellow citizens. Last night, I went to New York City…」とみんなの前で普通に話しているんですよ。聞いている人は自分だけに話しかけていると感じるわけですよね。「ああ、これなのだ、間違いない」ということで、私は「喫茶店方式雄弁術」という本を書いたのですよ。名前が変わっていて売れなかったんですけれどもね(笑)。
喫茶店で話すように「大事な人に今お願いしているの」といった気持ちで一人だけに話しかけてみてください。そうするとみんな自然に話が出来るようになって、スピーチがうまくなります。私のその指導方法を取り入れてからは、私が教えた人は、目からうろこがとれるようにうまくなっているのですね。
言いたいことをうまく伝えるためには、アサーティブであることが大切
【高城】 本の中には、沢山のヒントが書かれていて、詳しくは本をお読みいただくのがよいと思うのですが、アサ―ティブというキーワードが出てきますよね?ある意味日本人にとってヒントになることかなと思うのですが、この部分をほんの少しで構わないのですが、お話いただけますか?
【箱田】 「アサ―ト」は、主張するという意味なのです。言いたいことがあるのに言えないことってありますよね。相手が怖い人だとか。例えば、怖い上司に休暇願いを出すのは、なかなか言いにくいと思います。
それから偉い人から、「川崎さん今日残業して」と言われたら「困ったなあ、今日食事の約束があるんだけれど、まあしょうがない、ノーと言えないから」となってしまうのです。ノーと言えないのは、日本人にとても多いわけです。
逆に自分より弱い人に対しては、「おい高城、これやれ!」と攻撃的になってしまう。両方ともよくない。対人コミュニケーションにおいて、ノーと言えないタイプを服従型と言います。言いたい事を過度に緊張してしまって言えなくなってしまう、意識してしまう。
そして、弱い相手に非常に攻撃的に言ってしまう。対人コミュニケーションにはこの二つのスタイルがあるわけです。もう一つのタイプは、アサーティブ型。これは、相手を傷つけずに自分の主張をする。
【高城】 難しいですよね。
【箱田】 いろいろなロールプレイをしたりして、トレーニングをするんです。
例えば、うちの家内が、シルクのブラウスを百貨店で買った。でも着てみたら小さかった。小さいのではなく、自分が太ったのですけれどね。「あらちょっと入らないわ。」
「じゃあ換えてきたら?」と言うと、うちの家内は何と言うかというと、「でも、もういいわ。ちょっと着ちゃったから。」「換えてきたら?」「でもいいわ。」角が立つとか何とか言って、換えないのです。これを服従型というのです。一応言ってみるとあとで、「言ってみてよかったわ。換えてくれたわ。」と普通はなると思います。いわゆるその言う勇気。
言う時に、感情的にならずに相手の立場を考えて、本の中では「心のベルト」という言い方をしましたが、世間話をしたり、あえて褒めたりしていいムードを作ってから言う。いきなり用件をガンと言うと角が立ってしまいますからね。
例えば、家の隣の犬がワンワン夜中に鳴くわけですよ。「うるさいわ、私眠れないわ。」と妻はいいます。さて、その場合、あなたならどうします?「言うと角が立つし、ちょっと言えない」という対応をするのが服従型。もう一つは、「お宅の犬はなんなんだ!やかましいじゃないですか!」と怒鳴り込むのは、攻撃型。もう一つのタイプは、日曜のぽかぽかした日にピンポーンと。
「お宅の桜きれいですね」と世間話をして、「実は、うちの家内が今妊娠していまして」「おめでとうございます」「夜眠れないのですよ。ちょっとお宅の犬が・・・」「それは申し訳ありませんでした。夜は、うちの中で飼いましょう。」と解決してしまうわけですよ。そうでしょう?
言った方がいいわけですよ。大概の人間関係のコンフリクトは、冷静に言うことによって解決することが多いのですが、往々にして言わないで、我慢するか、言うときには、過度に感情的になってしまうかどちらかなんですよね。それを思い切って、冷静に言うがアサーティブな考え方なのです。
【高城】 ビジネスマンの方にとって処世術としてものすごく大事なことのような気がします。
【箱田】 言うべきことを言いたい時に言いたいように言えるのはいわゆるできる人なのですよ。できない人は言えないのです。それは一つの訓練ですから、常に心がけるべきなのです。
【川崎】 今のお家のワンちゃんのお話でもその後に素敵なことが沢山待っていそうですよね。どんどん仲良くなって、顔が見えるようになると・・・。
【箱田】 まさにそうなのです。
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