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秋月昭彦
SE ウェブサイトマネージャー [ キャリア ][ インターネット ]
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秋月昭彦
[インタビュー]
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SEの持つべき「思想」/ すばる舎(2)
2005.12.04
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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社会人、サラリーマンとしての自覚が重要だと思います
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発注者ができること
【主藤】 年商20億円弱ぐらいの関東圏にある知り合いの企業はシステムに1億円投資したんですね。それも全く使いものにならなかったと聞きました。
この本にも書いてありますけれども、色々原因がある中でただSEの方が悪いとか、仕事を請けた会社が悪いとかいうのではなくて、発注側、私もやはり当時を振り返れば発注側としての自覚がなかったですし。今、秋月さんがお話されたSEに持つイメージのように発注者としては「SEの方がやってくれるだろう」という何か魔法を持っているイメージがあるんですね。
【秋月】 そうなんですね。
【主藤】 私はその失敗のおかげで相当勉強したので、今は色々わかるんですけれども、当時は経営者として社内のシステムに対する理想をもっていて同じことを3回4回繰り返しているものを1回の入力で全てできるというイメージが湧くんですね。その理想をSEの方に話せば、そのシステムが出来上がると思ってしまっているのですが実際にはそのシステムは出来ないんですね。
【秋月】 出来ないですね。
【主藤】 やはり出来ないというのは、何なんでしょうかね。
【秋月】 SEの立場から言いますと、そのような注文をされるのは非常に困ってしまうんですね。
要するに経営者の方は、自分の社内の仕事の流れ、仕組みの流れ、お金の流れ、計算の仕方を熟知されているので、頭に何となく「こういったものが欲しい」と理想ができているんですけども、社外の人間、しかも経営に携わったことのないSEが経営の話を聞いても何を作っていいかわからないんですね。
「こういうのが欲しい」と言われても、経営者の方が何が欲しいのかわからない状態で仕方がなく作ってしまうというパターンがすごく多いんですね。
【主藤】 仕方がなくですか。
【秋月】 言われたから、お金をもらったから仕方がなくですね。でも本当のSEと言ったら語弊がありますけれども、きちんとしたSEの方ですと、そこで根掘り葉掘り聞きながらどういうのが欲しくて、現在どのようにしているかということを、帳簿を見ながら話をしますよね。
【主藤】 なるほど。私の時のお話をすると、実は私が直接発注したのは、営業の方なんです。その方が非常に営業ができる方で、経営のこともある程度わかっているんですね。
私が言うことに、その方は「できる」「できない」の部分も含めてしっかりと理解していたので、私は安心するわけですね。ところがおそらく社内で営業とSEの部署とのコミュニケーションの問題が大きかったんじゃないかなと思うんですけども。
【秋月】 それも大きいですね。やはり営業は売り上げを上げなければいけないので、技術的にできるかできないかわからないまま仕事を受けてきてしまうという場面が多いんですね。
例えば、SEの人間が営業をしている場合、話しながら一ヶ月に何人が必要な仕組みか大体イメージできるので、そんなに無理な金額を提示しないんですけれども、営業の方ですと安く見積もって仕事を請けたいという流れがありますので、実際1千万ぐらいかかるところを500万で取ってきてしまうんです。
それでSEとしても赤は出すわけいかないので500万でシステムを作らなければいけないわけです。そうすると100%作りこみたいところが実際は50%しかできないのに何とか形にして納品して、発注側からすると使いものにならないということになってしまうんですね。
途中経過のキーは、コミュニケーション
【川崎】 システムを納品するまでに、途中経過でのチェックは、普通ありますよね?
【秋月】 そうですね。
【川崎】 その段階でも修正が効かないものなんですか?
【秋月】 通常のモノだと途中経過は見てわかるんですね。でもシステムは、見えないモノ。本当に最後まで出来上がるまで、特にシステムがわからない方が、途中のテストを見てもこれが何のテストか、きちんと動いているのか確認できないんですね。
【主藤】 こんな画面になりますというインターフェイスは見せて頂けるんですよね。
【川崎】 ウェブコンテンツを作る時みたいに、見た目はわかるけれども数字を入力しての処理などは出来上がるまではわからないといおうことですね。
【秋月】 そうですね。決済がきちんとできるのかと聞かれたらSEは「できます」と答えるので、そう言われたら、発注する側は、「できるんだ」と思うしかないんですね。
出来上がった後のチェックは、発注側でしっかりしないと不具合があるまま納品されて、あとでひどい目に遭うことがよく起こってしまうんです。
【主藤】 そうですね。
【川崎】 不具合があったり、発注したものと違うときは修正をして頂いたりできないんですか?他にも自分が要求したものを書面にして残したりしていないんですか?
【秋月】 要件定義書というものがあります。どのような要件をまとめるか、双方で合意しながら作って、この要件に合ったシステムを作るので幾らです、いつまでにやりますということはするんですけれども、そこで決めたことと最後に出来上がるシステムというのは喧々諤々があって、変わってくるものなんですね。
【川崎】 コミュニケーションがものすごく大切なんですね。
【秋月】 そうなんです。
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