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辰巳渚
マーケティングプランナー [ 仕事術 ]
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辰巳渚
[インタビュー]
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「捨てる!」技術/宝島社(3)
2005.07.10
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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ほとんどの人は、たくさん勉強をしなければ 成功は難しいと思います
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普段から自分の持ち物を見直そう
【主藤】 本の中にも「聖域を作らない」というふうに、政治家の構造改革のような言葉ですけど、これが実は大事なんですよね。
【辰巳】 そうですね。特に男性は本や仕事の資料、女性では洋服だとかの聖域を作りがちです。もちろんそれでもいいんですよ。
例えば本が何千冊あるかがご自分の生きていく拠りどころになっていたり、そこまでいかないでも、何となく本だから捨てちゃ駄目とか、写真は顔が写っているから捨てちゃ駄目とか、何となく聖域にしているところがあれば、ちょっとそのベールをはいでみたらどうかと思いますね。
【主藤】 川崎さんは聖域ありますか?
【川崎】 聖域だらけですね。例えば本の中でも触れていらっしゃるんですけれども、シリーズ物が一巻、二巻欠けていると揃えたくなります。
あと同じ著者で買ってはみるものの、結局その時だけの興味で読まなかったりしても、揃えておくことで自己満足している自分があって、「それ、いらないでしょ」と言われてみるとその通りだと思うんですよね。言われれば分かるんですけど、でもできないんですよね。
【辰巳】 だからといって「じゃあ必ず捨てろ」というのではなく、いらないと気が付いて、本当にもう一回いるのかどうか考えてみて、それでも私にはこのシリーズを持っていることが必要なんだ、と思えば持てばいいし、そこで一回考えてみることがすごく大きいと思うんですね。
実際にいらないと思ったら捨ててみるんです。そうしたら本当にいらなかったことに気が付くので、それはすごく価値があることだと思います。逆にいるんだったと気が付くことも、自分に気が付くってことですから価値のあることだと思って、漫然と持っているよりもずっとその方がいいと思います。
【主藤】 そういうふうに自分が持っているものを見つめなおす機会を定期的に行った方がいいということですか?
【辰巳】 できれば年に1回ドサっと捨てるではなくて、例えば今日ペンを手に取った、これなんかもう色が出ないのに何ヶ月もさしてあるな、また台所に立って柄の溶けたお玉がある、もう10年前から溶けたのを使っている、でもいい加減もうこれはお陀仏になってもらってもいいんじゃないかって考えるんです。
布巾を手に取って真ん中黒いと気が付いたらこれはもう潮時かなとか、本を手に取ってこれはまだ私にとって大事な本だからまだ読むだろうとか、年に1回じゃなくて日々のこととしてやっていただけるといいと思います。
仕事だって同じですよ。今日来たFAXを読んで取っておく必要があるのかどうか、取り寄せた資料を仕事で使ったらまた今度使うことがあるのかどうか、日々考えることで、だんだん自分にとって大事にすべきものが見えてきて、一方いらないものも見えてきて、全体に生活が自然にすっきりとしてくるように思いますね。
捨てる作業によって判断力が身に付く
【主藤】 1年に1回、半年に1回ではなくて「日々これはいつ使うのか」「本当に必要なものかどうかを毎日考え続ける」というのが、整理整頓や捨てる技術を極めるコツになってくるわけですよね。
【辰巳】 実は整理整頓ではなく、さっきも言ったように私は整理整頓が非常に嫌いな人間で、全巻揃いのものでも順番に並んでなかったりします。
自分が使う物を持つことと、家の中がきちんと片付いていて整理されてきちんとたたまれていることは別の話です。
片づけがしたいのか、自分にとって要るものを、どのようにしてちゃんと暮らしていきたいのか分けて考えた方がいいんじゃないかと思います。
【主藤】 別なんですね。
【辰巳】 モデルルームみたいにきちんと片付いた部屋に暮らしたいのであれば、片づけをしなきゃいけないので、物の量とあんまり関係ないですね。そこはちょっと意識しておかれた方がいいかもしれません。
【主藤】 整理整頓とは違うわけですね。
【川崎】 整理整頓しようと思った時に既に物があふれていて、手をつけられない二重の状態になってる人がよくいますよね。
【辰巳】 両方同時にやろうとするから、もうお手上げで嫌になってしまうんです。だから捨てる作業と掃除とかお片づけの作業は別にやりましょうということです。
今日は一旦捨てる日というように、お掃除と片づけの日に分けてやるとその分プレッシャーも少なくなって、エネルギーもいらず楽にできますよ。
【主藤】 仕事の現場では日々そういうふうな決断が求められますよね。会議の資料、郵送物、クライアントからいただいたものや名刺・・・・・・。これもその都度その都度、今捨てちゃうと。
後から上司に「あれ、ちょっと持ってきて」と言われるかもしれないなと思っちゃうんですが、思い切ってその時に決断しようとうことですか?
【辰巳】 上司から、「あれ、どうした?」と言われる可能性があるものかどうかの判断を既にしているわけですよね。捨てる作業というのは、言ってみれば自分にとっての優先事項を判断したり、物の重要度を判断したりする作業です。
だから、たまには失敗することがあっても、何度もやっていくとおのずとそういう判断力がついていきます。それは暮らしの面でも、仕事の面でも同じだと思うんですけども、漫然と持っているよりも、要るのか、要らないのか考え続けることで、たまには「捨てたのか」とか怒られながら、結果的には判断力がついてくるという面があると思います。
【川崎】 会社で上司から「いろんな紙が回ってきたら、その場で必ず目を通しなさい。そして必要かどうかの判断をその場で絶対しなさい。後で読もうとしては絶対駄目だ。」とすごく言われました。その後に捨てるか、それをとっておくか判断していかないと、要らないものと要るものがドーっとたまっていくと会社に入った時に教わりました。
【辰巳】 それは捨てる技術です。素晴らしい。
【主藤】 今の例もそうですけども、これは判断力を身につける日々の練習なんですね。
【辰巳】 そうですね。一度にドサーッとやるとその場限りで終わってしまうけど、毎日やっていくことで自ずと身についていくと思います。なかなか、毎日は難しいですが。
【主藤】 この判断力や決断力は、ビジネスマンにとって必須のことですよね。しかし物が捨てられない、いつかは使うかもしれないと判断せず先送りしている人が多いですよね。仕事でも「絶対、問題を先送りするな」と言いますが、まだまだそういうことはよくありますよね。
【辰巳】 そうですね。
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