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桶谷功
インサイトの達人
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子育てを仕事に活かそう ―瑛太さん、木村カエラさんの第一子誕生に寄せて―
2010.11.02
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男の子育ては、一般化してきましたが、瑛太さんの場合はどうでしょうか? イメージ的には子供が大好きで、楽しく子育てをする瑛太さんの姿が目に浮かびます。
子育ては、実際にやってみると想像以上に楽しいものです(もちろん大変な面もあります)が、仕事にも活かせると思うと、さらに楽しくなります。 瑛太さんは俳優ですから、父親になること、子供を育てる経験をすることは、大きな芸の肥やしになることは間違いありませんが、実は、一般的な仕事をしているほとんどの人にとっても、大きな仕事の肥やしになります。
コツは、子育てを純粋に楽しみながら、仕事との関連付けをちょっとだけ意識すること。それだけで、日々の子育てから、たくさんの気付きが得られるようになります。毎日が、楽しいビジネストレーニングの場にもなるのです。
私には、2歳になったばかりの娘がいますが、子育てを通して学んだことがいっぱいあります。
例えば、娘は1歳ぐらいのとき、クツをお家の中に上げて遊ぶのが大好きでした。クツはばっちいから家の中には上げないことをきちんと説明すると、1歳の赤ん坊でもダメなことは理解できます。でも、やっちゃダメと言われると、逆に無性にやりたくなるらしく、無理やり止めさせたり取り上げたりしようものなら、抗議の大泣きになってしまいます。これでは大失敗。でも、クツ遊び以外で、もっと楽しそうなものを見せたり提案したりすれば、自分でクツ遊びを止めて、新しい遊びを始めます。
これは、実は仕事でも会社でも、使えます。 「クツをお家に上げない」という結果を求めているわけですが、それを達成するのに、「お家に上げちゃダメと言う」以外にも方法はいろいろあるということです。 結果重視で考えると、その結果を得るための方法はいろいろあります。何をどうすれば、人が自分の思惑通りに動いてくれそうか、考えてみましょう。毎日の子育ては、自由な発想力を広げたり、新しい方法を生み出したりする訓練にはもってこいです。しかも、赤ん坊相手だと、成功か失敗か、その場ですぐ結果が出るので、面白いこと請け合いです。
さらに、こういう応用も効きます。
2歳のイヤイヤ期が近づいてくると、突然、お風呂には入らないと言いだす日が出てきます。こうなると、何を言っても「イヤ」。「イヤだからイヤ」という感じになって、お風呂に入れることができません。 こういうときは、お気に入りのお風呂のおもちゃ(アヒルさんなど)を出して、「一緒にお風呂に入りたいって待っているよ」と言ったり、「お洋服をひとりで脱げるかな?」というゲームに見立てて遊んだりします。(元々のアイデアは、ママです。ありがとう。)つまり、お風呂の時間がいかに楽しそうかを演出して、モチベーション(動機付け)を高めるわけです。すると、自分から、「おふろ、はいる」と言い出すのです。
そう。人は、いったんやりたくないと思うと、そう簡単には気持ちを切り替えられないもの。だから見方を変えてあげることが大事です。一見、単純な事務作業を頼む場合でも、それが自分の将来にどう役立つのか、どういう点を留意しながら作業をすると楽しくなるのかなどを教えてあげると、一気にモチベーションが上がります。
また、見方を変えることは、マーケティングや広告コミュニケーションでも、非常に大切なテーマのひとつです。人々の商品やブランドの見方を変えるわけです。 例えば、ハーゲンダッツは、人々のアイスクリームの見方を変えました。それまで、「子供の食べ物」だったアイスを、「大人が幸せに浸る、デザート」に変えて大成功を収めました。 また、パナソニックのポケットドルツは、コスメ(マスカラ)風のデザインと製品設計により、電動ハブラシを「歯に問題のあるオヤジが家で使うもの」から「若い女性がランチ後にオフィスで使うもの」に変えて、大ヒット商品になりました。
子育ては、楽しい上に、仕事にも活用できる気付きを与えてくれます。 そんないいものを、全部女性にあげてしまわないで、男性陣も大いに活用しましょう。
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