2012年「フォーチュン500社」(「世界500強」)がこのほど公表された。中国は各地方が、この「世界500強」、つまりグローバル企業を誘致することを競い合っていると同時に、中央政府は、多くの中国企業が「世界500強」にランキング入りすることを戦略目標としている。
そして、実際に、ランキング入りする中国企業は年々増加の一途をたどっており、まさに、このことが、世界経済における中国の台頭を如実に示している。
2001年のフォーチュン500社における中国企業は12社であった。10年後の2012年は「500強」入り企業数は73社に達し、中国は日本を抜いて米国に次ぐ第2位となった。
世界のGDPにおける中国の地位と同じである。中国は2011年に比べ12社増の73社となり、増減のなかった日本を抜いた。「停滞する日本、躍進する中国」を象徴している。さらに、トップを行く米国を激しく追っている。
トップ10をみても、中国は3社をキープしているのに対し、日本はトヨタ自動車1社がかろうじて入っているだけである。中国の3社は、過去3年同様に、中国石化集団(SIOPEC)、中国石油天然ガス公司、国家電網の3社である。
フォーチュン500社は売上高を基準としたランキングであるが、従来、ランキング入りしている中国企業は銀行、エネルギー、電力、通信など国有大手企業が大半であったが、ランキング入りする企業の増加に従って、製造業が加わったことが注目される。
2005年に最初にランキング入りしたのが、鉄鋼(宝山製鉄)である。次いで、自動車(第一汽車・上海汽車・東風汽車)、電子(華為)が加わった。つまり、ランキング企業数の増加のみならず、製造業の多様化が起こっており、これも中国の産業構造の高度化、さらには、産業の競争力の強化の反映である。
73社のほとんどが国有企業であるが、江蘇省沙鋼(総合順位346位)と華為(総合順位351位)は民営企業であり、特に、華為は唯一の深圳所在の製造企業である。
ランキング企業の都市別内訳では、73社のうち、44社(60%)が北京本社企業であり、上海を本社とする企業は6社、華南(広州・深圳)本社企業は4社にとどまっている。華南企業のうち、製造業は華為1社であり、残る3社は広州の南方電力網、深圳の平安保険、招商銀行の電力およびサービス業である。
中国トップのSINOPEC の売上は3720億ドルであり、世界のグローバル企業と遜色ない数字であるが、上位3社を除くと、年間売上は100億ドル(約1兆円)以下であり、世界との差はまだ大きい。
中国自動車メーカーとしてトップにある上海自動車の場合、総合順位130位、売上672億ドル(6700億円)であるが、中国での合弁パートナーである米国GMの売上は1500億ドルであり、上海汽車の2.2倍である。
トヨタの売上は2354億ドルであり、上海汽車の3.5倍である。売上高にみる上海汽車ないし中国企業の「グローバル化」はまだ先のこととなろう。