団塊、嫌われぬ老後を 5月14日付の日経新聞で「団塊、嫌われぬ老後を」というタイトルの記事が掲載されました。年々深刻になる少子高齢化と産業空洞化、もはや持続不可能な制度となった公的年金と医療保険の問題。
これらについて多くの団塊世代の方々は沈黙を守ってきましたが、団塊世代の代表である日経本社コラムニストの平田育夫氏が核心に迫る内容の記事を書いたことで、現在の社会保障制度を持続可能な制度に変えていくための道筋が示されたと言えます。
記事の内容はここで紹介しませんが、1947〜49年生まれの664万人の塊である団塊世代の皆様に、若い世代に迷惑をかけずに老後を暮らす方法について真剣に考えていただき、その意志を次回の国政選挙で投じていただければ幸いです。
団塊Jr.はさらに深刻 さて、私は74年生まれで、71〜74年生まれの785万人の塊である団塊ジュニア世代の末席にいる者です。日本の出生率の右肩下がりが続き、75年に2.0を下回ってから、すでに37年の月日が経過しました。
日本経済は89年のバブル崩壊以降、産業の空洞化が進み、就職氷河期が常態化しており、現役世代の給与も右肩下がりが続いています。今の日本では、自分たちの毎日の暮らしにも事欠く現役世代が多く、子供を持つこと自体がリスクとなってしまう若い夫婦が沢山います。せっかく子供を生んでも、保育所が足りないせいで、女性の社会進出がなかなか進みません。
06年から国の社会保障審議会年金部会委員を務められた西沢和彦氏の試算によると、現行の年金制度の給付負担倍率は、単身世帯で0.5倍、夫婦世帯で0.8倍かそれ以下。一生独身もしくは夫婦共働き世帯は、支払った保険料の半分程度の年金が将来戻ってくれば良いほうで、専業主婦が優遇される夫婦世帯でも、支払った保険料に対する元本割れは避けられなくなっています。
もはや自分たちの老後を公的年金に頼ることはできず、自分の老後は自分で守らなければならないということを自覚しなければなりません。
いや、自分たちのことはともかく、このまま現行の年金制度が続くようであれば、将来、人口が少なくなった今の子供たち世代に、年齢別人口が最も多い私たち団塊ジュニア世代の面倒を見てもらわなければならないのかと思うと、本当に不憫でなりません。
子供達の未来のために このまま少子高齢化と産業空洞化の問題が放置され続けると、今の子供たちにとって日本人であること自体がリスクになってしまいます。
将来、この国に本当に希望があるのかどうか、今はまだ分かりませんが、この国の危機的な財政状況に道筋をつけてくれそうな方に、次の国政選挙では一票を投じようと思います。
私は毎日毎日、真剣にこの国のあるべき姿を考えています。今の現役世代の皆様も、どうか真剣に考えてください。今の状況で、どう考えても国政に無関心でいられるはずがありません。
今の子供たち世代が大人になった頃、今の現役世代の人たちが年金改革を頑張ったおかげで、安心して老後を暮らせる良い国になったと思ってもらえるようにしていきたいものです。
<今月のマネーの教訓>子供たちの未来のために、現行の公的年金制度は早急な改革が必要だ。政治家任せではなく、私たち自身の問題として考えていこう。
<筆者>
木津英隆:
謙信アセットコンサルティング(香港)代表取締役。香港在住歴9年の資産運用コンサルタント。特に将来的な年金・保険・教育費対策プランニングを得意とする。