「HKM-日商快訊-」今月号の特集は、知っておきたい価値ある情報源として<中国ビジネスに役立つウェブサイトとメールマガジン>を紹介しました。
日本と中国で約10年ずつメディアに携わっている者として、日本語の「中国ニュース」の“読み方”を現場視点でお伝えしたつもりです。
以前ある記事で読んだことがあるのですが、アメリカでは子供が普段目にするインターネット上のニュースサイトを取捨選択するコンサルタントが重宝されているそうです。
良質な情報を愛する我が子へ――と考える親の需要があるわけです。
すると大人は? ニュースの善し悪しを判断できる能力の有無に関わらず、判断できることは当然だとされています。
いや、もう大人の常識として、判断しなければならない。
(日本の大手企業では、業務に必要とされるサイト「以外」へのアクセス記録が逐一、会社の担当部署に報告されるシステムが運用されている)
サイトのニュースが(その情報の真偽に関わらず)世論の一角を占めるようになったのは、ごく最近のことです。
そんなとき出会った本が『ウェブはバカと暇人のもの(光文社新書)』
ネット文化に詳しいウェブ編集者の中川淳一郎氏によるベストセラーです。
情報の真偽をとやかく言う前に、まず“行間を読む”大切さを再認識しました。
行間を読むとは――。
文章に文字では書かれていない筆者の真意や意向を感じとる(大辞林第三版)。
文章には直接表現されていない筆者の真意をくみとる(デジタル大辞泉)。
産経新聞(7/21付)が以下のような記事を掲載していました。
◎
聞きしに勝るエゲツナさ 中国人の「商魂」「店が軌道に乗れば、ノウハウから従業員、掃除のおばちゃんまでみんな引っこ抜かれ、何食わぬ顔で同じような店を隣に出されるのが分かっているから。手段なんて関係ない。やったもん勝ちなんですよ、彼らは」
「彼らは確かに繊細さはないが、バイタリティや一途さを持っている。ビジネスや売はダイナミックで思い切りがいい。“ゆとり”の中で育ってきた日本人が中国と競争してもこのままでは絶対勝てない。ハングリーさが違う」
毎日、中国的不条理と戦っている(またはそういう同僚がいる)方々にとっては、「大手紙が何をいまさら」という記事でしょう。
しかし実際は、本誌が創刊した10年前と何ら変わっていません。かえって「聞きしに勝るエゲツナさ」に右往左往する日系企業は増えているぐらいです。
そういうことを伝えたかったのでは……と読めました。
今春のリニューアルから、本誌では、事象に加えた「意見」を誌面に多く反映するよう心がけています。
「(日系企業の)駐在員が2〜3廻りして代替わりが進み、右も左も分からないなか奮闘してきた初代の遺産を食い潰しつつある」
そんな声を、最近とくに多く聞くようになりました。
勝手なことばかり言いやがって……。私も会社の代表を務めている身ですから、そのお気持ち、重々理解できます。
それでもやはり、中国ビジネスは新任者を「子供扱い」するのです。やったもん勝ち≒やられたほうが負け。しかし大人の常識として、自らニュースを取捨選択しなければならない辛い立場です。
本誌はそういう方々を応援するために発行しています。だから、ぜひ本誌に限らず<中国ニュース>の行間を読んで比較していただきたい。
マンツーマンで行われてきたはずの引継ぎが満足に行われてこなかった10年と、その引継ぎが満足に機能していなかったと気づいてしまった現在。この負のスパイラルに終止符を打つのは、現場にいるあなたにしかできないのだから。
HKM-日商快訊- 編集部:sz-edit(アットマーク)kanan.cn
(編集長・加藤康夫)