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HKM-日商快訊-
[ 中国 ]
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中国での「日本語医療サービス会社」に見る、「自己責任」を盾にしたサービス業
2012.05.10
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日本発の中国ビジネスと、本誌が扱う日系企業による中国ビジネス。抱える課題や方向性がどんどん乖離していきます。 今こそ「中国発」の声を発信する時だと確信しています。 * * * * * 『HKM-日商快訊-』今月号の特集は「健康ナビ」です。 医療の現場に携わる方々にご登場いただきました。
中国現地の医療に対する不信は根強いものがあります。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2005年から頻発する鳥インフルエンザの頃から、ずっと違和感がありました。 当時、東莞で開かれていた日本人会の集まりで「日本語医療サービス」会社の方(日本人)が登壇。出典がアヤシイ資料を配り、危機感を煽っていました。
加藤:あなたは何者だ? 医者か? A:参考資料を配る等の医療サービスを提供している。 加藤:書いてあることが全て事実で、もしこのとおりに対応し、事故が起きたらどうするのか? A:あくまで参考資料です。(それなら、始めからそう言い添えるのが常識だ)
後日、体調不良でその会社がカウンターをもつ病院へ。いきなり担当者(中国人女性)が「無料通訳サービスは1回まで。2回目からは有料です」。幸い通訳など余計なお世話なので、同じを質問をしてみました。
加藤:あなたは何者だ? 医者か? A:通訳サービスを提供している。 加藤:通訳内容が全て事実で、もしこのとおりに対応し、事故起きたらどうするのか? A:あくまで参考通訳です。(それなら、始めからそう言い添えるのが常識だ)
「日本語医療サービス」とは言葉のマジックで、この会社の主な収益源は保険請求代行費です。 ちなみに、広東省一帯に保険会社のオプ(調査員)が入り、海外旅行保険で過剰請求をしていた医療機関を一斉摘発したのも、ちょうど鳥インフル騒ぎの頃です。 あくまで「サービス」であり、最終的には「自己責任」。こういったフレーズは海外の日本人社会でよく耳にします。 中国現地の医療に限らず、自己責任を盾に「サービス」を提供するビジネスモデルに対する不信感は、高質な情報共有によってのみ解消されると信じて、中国の地で『HKM-日商快訊-』を発行し続けています。
さて次号は<人材特集第二弾>。この特集もまた、あくまで「サービス」、最終的には「自己責任」の典型的なビジネスモデルです。 一部の人材紹介会社では入社当日から「コンサルタント」と書かれた名刺を持たされるとか。 その一方で、『HKM-日商快訊-』に登場してくださる方々は、特集のコンセプトに賛同し、業界に対する不信感を憂うプロたちです。 「こんな質問をしてほしい!」という方は、是非、編集部までご一報ください。
『HKM-日商快訊-』編集長・加藤康夫:yasuo@kanan.cn
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