外国人の社会保険加入 日系企業では昨年来問題となっているこの規定。すでに公布された国家政府の通達は、2011年10月15日までに中国国内で就業し、かつ加入条件を満たしているすべての外国人は、10月から保険費の納付義務を明確に伝えています。
滞納金の徴収に関しては、2011年10月15日から12月31日の期間内で加入手続きを行なった場合には滞納金の徴収は無し。2012年1月1日以降に加入手続きを行なう場合には、2011年10月15日からの滞納金を徴収するとの通達です。
深圳市の現状 では、果たして外国人を雇用する企業は加入手続きを行ない、保険費を納付しているのか? 当事務所で調べたところ、深圳市においてはほとんどの企業は手続きを行なっていないはずです(3月15日現在)。
理由は、深圳市の社会保険加入のガイドライン(実施細則)では、外国人に対して一部の保険が対応できず、深圳市では加入手続きができない状態になっているためで、5月に開催される全体会議で実施細則が承認されてから実施する予定になっているとのこと(当局上層部情報)。
「深圳市においては、2011年10月15日からの滞納金徴収は一切決定していない。他の地域の規定は無関係。深圳市の企業は今後公布されるガイドラインが出てからの対応が望ましい」(当局上層部の非公式談)
滞納金納付リスクには 多くの日本人(他外国人含む)を雇用する企業の心配は、もしさかのぼっての納付となると、経費予算の上でも利益計画の上でも経営への影響が発生するということですね。一部分の企業は会計上「未払い」処理で計上されているところもあります。リスクヘッジとしてご参考までに。
昨年10月頃の深圳市当局上層部の意見としては“加入者の二重負担”問題もあるため、2国間協議の経過をみて、暫定優遇期間を設けてから実施したい意向もあったそうです(上海市も同様)。しかし、中国国内の日系企業から多くの問い合わせ(加入したい旨)が殺到したため、「そこまで加入したいのならどうぞ」となったのかもしれないですね……。
ひと言、失礼…… 法令規定のコンプライアンス遵守も重要ですが、ここ中国では“朝令暮改”(朝の指令が夕方には変更)があります。日本の親会社で現地の運営管理をされる方々へお願いします。あわてて日本メディアの情報やネット情報を“鵜呑み”にしては危険です。現地の責任者やローカルスタッフを信じて対応されたほうがよいでしょう。欧米や台湾・香港系企業のように堂々とした態度で……。
ここは日本ではないのです。日本とは別の国なのです。しかし、某国の一部の政治家のように媚を売る必要も有りませんが、日系企業が力を合わせて堂々と意見を述べることも今後重要になると思われます。
<今月のキモ>新制度・法律には、慌てず騒がず、
情報収集と現地の状況を見て判断
<筆者>❖みやぎ・のりお/
WAYAコンサルティング副総経理。1975-2000年まで欧米及びアジアの海外関連業務を経て、2001年より深圳を拠点にコンサルティング業務に携わる。顧客の相談に親身になって対応する、サッカーと自然を愛するベテランコンサルタント。