|
|
本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
|
|
年金の闇
2012.03.25
|
|
|
「AIJ投資顧問の詐欺事件」には、たいへん驚かされたが、 その理由としては、 「これほど単純な詐欺事件に、多くの年金基金が騙された」ということであり、 また、「社保庁から年金基金への天下りが、きわめて大きな規模だった」 という点が挙げられるからである。
そして、このことは、「中小企業による総合型の年金基金」だけでなく、 その他の、いろいろな年金基金にも、同様の状況が考えられるようだが、 基本的には、国会での答弁からも明らかなように、 「日本の年金は、ほぼ破綻状態であり、また、その他にも、 多くの闇の部分が存在する」とも言えるようである。
そして、この事件で明らかになったことは「デリバティブ」の問題でもあるが、実際には、 「政府やメガバンクの主導により、はるかに大きな規模で、 デリバティブが取り引きされている」とも言えるのである。
具体的には、「約6京円」とも言われる「デリバティブ」が、 先進諸国に存在し、金融政策に、大きな影響を与えているのだが、 このことは、「国債の買い支え」や「為替の介入」などに関して、 「我々の想像を超えた規模で取引が行われている」ということである。
しかし、「権力の暴走」というものは、時として、 予想以上の力を発揮することにも間違いはなく、そのために、 いろいろな「歪み」がうまれてしまったようである。
具体的には、「長期間にわたる異常な低金利」のために、 「表面上は高利回りの金融商品に、 多くの投資家が飛び付かざるを得なくなっている」ということである。
つまり、現在では、いろいろな詐欺事件が、数多く起きているのだが、 ほとんどの場合において、 「常識で判断すれば、このような利回りが払えるはずがない」 ということが明らかだからである。
また、「なぜ、このような異常な低金利が、世界的に継続しているのか?」 という点については、やはり、「世界的な国家財政問題」が指摘できるのだが、 それは、「金利を上げると、国債価格が暴落する」という状況のことである。
そのために、先進国の政府は、大量の資金供給を行い、 「国債の買い支え」を行っているようだが、同時に起きていることは、 「株式や商品の価格を下げることにより、表面上のデフレを演出する」 ということである。
しかも、「デリバティブ」を使うことにより、 きわめて大きな「レバレッジ(テコの効果)」が効いているようだが、 今後、年金に関して考えられることは、 「ほとんどの資産が、国債になっている」ということであり、 実際には、「国債価格が、世界的に暴落する」という状況に見舞われた時に、 本当の「年金の闇」が明らかになるものと考えている。
(2012年3月7日)
本間裕(経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師)
|