先日(2月28日)、放映されましたNHKクローズアップ現代 「思いが伝わる声を作れ〜初音ミク 歌声の秘密」を観ました。
この番組を観て私(代表 片桐)は、改めて人の話し声、歌声が持つすごさに気づかせてもらいました。
まず、「歌声は人工的に作るのが極めて難しい」ということです。
そう言われれば楽器音を人工的に作り出すシステムはこれまでに既にいくつも開発され、実用されております。
弊社トピックスでも最近、「初音ミク」を取り上げさせて頂いておりますが、これはそもそもソフトウェアの製品名です。
このソフトウェアの基はヤマハの開発した音声合成システム『VOCALOID2』です。
日本語は一文字一音で五十音と言われるように、それを一つ一つの音として作り出すことは今では簡単です。しかし、その音というのは、「ワレワレハ ウチュウジン デアル」というようにぶつ切れで抑揚のない味気ない、とうてい人の話し声と言えるものにはなりません。
ヤマハでは音が変化する部分を500音に分解して音として足しこむことで、音に連続性を持たせ、人声、歌声に出来るようにした画期的なものです。
ただその音声合成システムにも限界があり、「初音ミク」は演歌が歌えません。
演歌には「こぶし」等があります。
ヤマハ以外では音声合成技術として人の発声を自動的に模倣するプログラムの開発も進んでいます。
そのプログラムでは演歌も見事に歌わせておりました。
どうやら日本のこうした音声合成技術は高いものがあるようで、医療現場でも使われ始めております。
イギリスではは先々、声が失われる可能性がある難病(例えば運動ニューロン疾患等)患者の声を、まだある内にインプットし、手入力等でパソコンから自分の声が再現できるようにする取り組みに応用されております。
また喉頭ガンで声帯を切除した患者さんも電気式人口喉頭で口の形を変えることで音として出すことが出来ます。
しかし電気式人口喉頭で出せる声は正しく機械音です。
それを国内ではその本人の失われた声を人声にする取り組みが行われております。
音声合成技術は色々なプログラムがあるようですが、中には話し声を10分録音するだけで、本人の声を再現出来るようなものもあります。
現在、音声自動翻訳ソフトは既に存在します。実用には未だ開発途中の感はありますが、それを自分の声で翻訳してくれるものが近い将来、登場することも考えられます。
こう考えて来ますと、画像、動画を修正したり、作り出す技術は先行しており、映画などはCGが多様されており、どれがリアルでどれが作り出されたものか、どこからリアルなのか、どの部分がリアルなのか、既にわからなくなってきております。
アニメにしてもそれを支える声優はとても大切な存在です。
もし音声合成技術がさらに発達すれば・・・俳優、女優、声優はどうなってしまうのでしょうか。
その活躍の場は、基となる姿、形、声という素材だけになるのでしょうか。
そうした職業人にとっては肖像権の保護が大切になるのかも知れません。
また逆に素人の姿、形、声の方がもっと良いものがあるということで、発掘され、露出していく可能性があるのかも知れません。
テレビやその他の端末を通じて入手出来る編集された情報には真実性が失われ、その逆にライブやリアルの価値が高まるのかも知れません。
「一時期、健康を心配された○○国の○○総統が元気な姿を公の場に表しました」
と言われても・・・
その逆に、「○○国の○○総統の死亡が確認されました」
と見せられても・・・
すっかり長くなってしまいましたが、改めて話し声が持つパワー、そこに込められた人間らしさ、魂というものを再認識すると共に、喜怒哀楽の表情、身振りそぶり手振りという人間らしさがどれだけ大切かを思い知らされました。
ひと言で言えば「味」。本人の声や姿形でも、人生を過ごして変化する声や刻まれていく顔形、人相、姿・・・という深みは作り出せない(本人でも予想出来ない訳ですから)、味わい深い、これから見直される、とても大切なものかも知れません。
だからこそ「生き様」が大切で、「生き様」で真っ向勝負する人生の過ごし方、人間としての有り様こそ最も大事なことのような気がします。
昔は「親が産んでくれた体に手をくわえるなんて・・・」と言われたことが、今では「整形」は特段、驚くことではなくなっています。
でも実は将来、手を加えていないこと、非整形であることに価値が見出されるかも知れません。
「非整形証明書」が発行されるようになるかも知れません。
すっかり長くなってしましました。
以上です。
参照:NHKクローズアップ現代 「思いが伝わる声を作れ〜初音ミク 歌声の秘密」 放送まるごとチェック
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3166&html=2