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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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オリンパス問題について/大きすぎて救えない
2011.12.06
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●オリンパス問題について
今回の「オリンパスによる飛ばし問題」については、 私自身も、たいへん驚かされたが、その理由としては、 「まだ、こんな問題が存在していたのか?」ということであり、 かつ、「数年前に処理されていたのに、何故、今になって問題が発覚したのか?」 ということだからである。
また、「飛ばし」が行われるようになった原因として、 「不良債権の発生」が挙げられるのだが、このことは、 バブル崩壊後、「日本株の下落」により、 いわゆる「財テク」と呼ばれる投資方法に「大きな損失が生まれた」 ということである。
そして、この時に、正直に損失を報告していれば、 その後の問題は発生しなかったのだが、実際には、 「損失隠し」が行われたのだった。
しかも、この時には、数多くの民間企業が、「飛ばし」を行ったのだが、 このことは、すでに、「過去の問題」だと考えていたのである。
別の言葉では、「この時の不良債権が、その後、どのような状態になったのか?」が、 今回の大きな注目点であり、実際には、「民間企業」から「民間銀行」へと移行し、 現在では、「政府や中央銀行が、メガバンクとともに、 大量の不良債権を抱えている」という状況になっているのである。
具体的には、「簿外取引」による「デリバティブ」や、 「大量の国債発行」、あるいは、 「中央銀行のバランスシートを、大幅に膨張させた」ということにより、 「国家やメガバンクが、大量の負債を抱えている」という状況のことである。
そして、この時の注目点としては、 「価格が上昇している間は、不良債権が発生しない」 という事実が指摘できるのだが、一方で、 「価格が値下がりすると、今回のギリシャやイタリアのように、 コントロールが不能になる」という状況も想定されるのである。
つまり、「大量の不良債権が、国家や中央銀行に発生する」ということだが、 このような状況下で起きたことは、やはり、「損失を隠そうとした」 ということであり、また、 「国債価格の下落が起きないように、買い支えを行う」ということだったのである。
しかも、今回は、「民間企業の飛ばし事件」と比べても、 はるかに大きな金額が、不良債権となっていることが考えられるのだが、 今回の「オリンパス事件」のように、「一旦、問題が発覚すると、 ほぼ瞬間的に、市場の信頼を失う」 というような状況も想定されるようである。
つまり、「日米の国債価格が下落を始める」というような状況になると、 その時には、現在、言われ始めた、「大きすぎて、救えない」という事態が、 はっきりと見えてくるようだが、この時の解決策としては、 すでに、「紙幣の増刷」しか残されていないのである。
(2011年11月15日)
●大きすぎて救えない
現在、世界的に言われ始めたことは、「Too Big To Fail」という 「大きすぎて潰せない」ということではなく、 「Too Big To Bail」という「大きすぎて救えない」ということである。
つまり、民間企業や民間銀行の場合には、 「大企業が潰れると、金融システムが崩壊する」という懸念が存在したために、 「国家や中央銀行が救済することにより、金融システムの崩壊を防ぐべきだ」 という考えが主流だったのである。
そして、結果としては、 「大量の国債発行」や「中央銀行のバランスシートの大膨張」、 あるいは、「デリバティブの大膨張」などにより、 「金融システムは、かろうじて、守られた」という状況だったのである。
しかし、このことが、更なる問題を引き起こし、現在の、 「ギリシャ」や「イタリア」の国家債務問題へと発展してきたのだが、 今後の注目点としては、「誰が、これらの国々を救うのか?」ということであり、 実際には、「金額が大きすぎて、誰も、救うことができない」 という事態が懸念され始めたのである。
そして、この時に起きることは、「国債金利の急騰(価格の急落)」 でもあるのだが、現在では、 「基盤の弱い国から、連鎖的に、金利上昇の波が押し寄せている」 という状況が見て取れるのである。
また、今後の展開としては、「ドミノ的に、最後の段階にまで行き着く」 という状況が考えられるようだが、このことが、 「日米の国債ツインタワー」であり、また、 「英米が大量に保有するデリバティブ」のことである。
具体的には、「1000兆円もの規模の国債残高」であり、 また、「約6京円のデリバティブが、英米のメガバンクにより、 簿外で保有されている」という状況のことだが、 この時に気を付ける点は、 「価格が安定している限りは問題が起きないが、 一旦、暴落が始まると、一挙に、不良債権が発生する」 ということである。
つまり、「バランスシートの膨張」ということは、 「負債と資産とが、同時に、増加する」ということを意味しているのだが、 問題は、「資産が値下がりした時に、負債金額との間に、 大幅な差額が発生する」ということである。
そして、この差額が、いわゆる「不良債権」と呼ばれているのだが、 現在では、「国家」や「中央銀行」に、 「大量の不良資産」が存在していながらも、 「最後の貸し手」が存在しないのである。
そのために、今回、「バーナンキFRB議長」が、 「中央銀行が、最後の貸し手となり、 本格的な資金の供給を行う」ということを考慮しているようだが、 このことが意味することは、 「大インフレにより、全ての借金を、ご破算にする」ということである。
(2011年11月15日)
本間裕(経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師)
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