かねてより、コスト削減を成功に導くためには、
仕事の生産性に影響しないように効果的に削減する必要があると述べてきた。
そして、その方法の1つとして、ペーパーレス化が有効であり、
ペーパーレス化を推し進めていく上で、
インターネットFAXというサービスが
注目に値することもお伝えしてきた。
しかしなぜ、コスト削減の専門家である私が、
インターネットFAXに注目するようになったのか。
第6回からは、
このインターネットFAXに注目するようになった経緯をひも解きながら、
インターネットFAXのメリットについて詳しく紹介していきたいと思う。
そもそも私がインターネットFAXに関心を持ち始めたのも、
コスト削減を図る上で、インターネットFAXは高い効果性が見込める上に、
多くの企業にとって有効に作用する、
まさに“万能薬”となり得るポテンシャルを秘めていると感じたからである。
何しろ、FAXという恐らくほとんどの会社に存在するであろうものが題材となっており、
極端にいえば、FAXを所有する全ての企業が実行できるコスト削減方法である。
誤解を恐れずに申し上げれば、
コスト削減を企業に提案する専門家からしてみて、
これほど紹介しやすいものはない。
加えて、“万能薬”であるにも関わらず、
まだまだ多くの企業に知られていないところが、興味深かった。
コスト削減における未開拓分野として、FAXだけが取り残されていたのだ。
■■■通信費の中でも削減努力の意識が低い「FAX」
ここで、FAXにまつわるコストについて、
いかにコスト削減意識が低いかを明らかにしたデータを紹介しよう。
インターネットFAX総合研究会が
全国の中小企業の経営者・従業員を対象に、
情報通信機器に関するアンケートを実施した結果、
通信費の削減でもっとも多く取り組まれているのは、
携帯電話、固定電話(割引プラン)、固定電話(IP電話や光電話の導入)の3つであった。
あなたの会社でも心当たりがあるのではないか。
一方、通信費削減の項目において未着手の割合が高いのはFAXだった。
実に8割近い企業が未着手であったのだ。
通信費の中でも、このFAXにおけるコスト削減は
盲点になっていることは間違いない。
ではなぜ、FAXはコスト削減の対象として考えられていないのだろうか。
さきほどのアンケートによると、
「使用量が多くないため、経費削減の必要性を感じていない(56.8%)」
という回答が半数以上を占めた。
また、
「経費削減できると思っていない(16.1%)」
「経費削減の方法が分からない(14.8%)」といった理由も多く挙げられている。
このように、FAXは一度に2・3枚しか送らないケースが多いので、
それほどコストが発生していないと思われがちだが、
実はこういった細かい箇所に落とし穴は存在するものである。
詳細は後述するが、そもそも通信費用の構造を理解していないことが大きな要因であるようだ。
ところで、
メールの送受信でほとんどのやりとりを済ませられる現在においても、
多くの企業がFAXを所有している。
使用頻度が低いにも関わらず、FAXを使い続ける理由はどこにあるのだろうか。
当研究会の調査においても、実に8割のビジネスパーソンが
「ビジネスシーンにおいてFAXは必要だ」と回答している。
ここで一度、FAXの必要性について分析してみよう。
・紙でしか送れない文書がある
・・・不動産の設計図、間取りなどの図面。サイン・捺印が必要な文書など。
・相手が紙のFAXを使っている
・・・行政書士、会計士などの事務所ではFAXでのやりとりが主流。
その他、個人商店、建設業、不動産業など、
FAXを頻繁に使用する業界との連絡には、やはり欠かせない。
・文書が届いたことに気づきやすい
・・・メールだと、迷惑メールに振り分けられたり、
ほかのメールに埋もれてしまう恐れがあるが、FAXだとそのリスクが軽減される。
また、「手書き」の文書を送ることによって、
思いが伝わりやすくなるのもFAXの大きなメリットである。
ところが、皆さんも感じているかとは思うが、FAXにはデメリットもある。
当研究会が行ったアンケート結果によると、
日ごろのFAXについて思っている不満を挙げてもらったところ、
「紙を無駄に使ってしまう」(37.7%)、「紙やトナーの補充が面倒」(31.2%)、
「外出先では確認できない」(30.0%)が不満のベスト3であった。
他にも、受信したFAXをこまめにチェックし、担当者に振り分ける作業が発生するなど、
手間がかかってしまうことにより小さなストレスが生まれている。
同研究会の調査によると、仕事でFAXを利用した際に、
何らかのトラブルを起こした経験のある人は68.0%にも上った。
トラブル内容は以下の3点が最も多い。
・相手のFAX番号に送ったつもりが、電話番号に送ってしまった。
・表と裏を間違えて送信してしまった。
・FAXが届いていたことに気づかず、受信紙が放置されていた。
小さなミスのように思えるが、
「クレームを受けた」、「発注できなかった」という深刻なミスに至る場合もあり、
これらは企業の信頼性に関わり、重大な機会損失にもつながる。
このように、FAXについての不満・不足点は、意外にも多いのだが、
それを改善するのが仕事の生産性を向上させる重要なポイントである。
それでは、コスト削減に話題を戻そう。
FAXにかかるコストの内訳について、改めて考えてみることにする。
1.FAX機費用・・・リースの場合、月に1〜2万円の費用が発生
2.回線費・・・FAX用回線として、月々2645円(NTT東日本、NTT西日本の3級取扱所の場合)
3.通信費・・・送信先との距離や、送信時間により、電話料金と同じ費用がかかります。
4.印刷代・・・カウンター料金として1枚につき カラー:15〜30円、白黒2〜3円
このように、FAX使用料にも意外にも多くの要素が絡んでいる。
FAXのコスト削減を実施していない企業は、この内訳をみればまだ減らすべき
費目があることが分かるのではないだろうか。
また、距離によって通信費が変わることも、知っておくべき点の一つだ。
(横浜→東京間31.5円/3分 横浜→大阪間84円/3分)
遠方へのFAX費用は、思っている以上に費用がかかる。
そこで、FAXの不満点を改善し、業務効率を上げながらコスト削減する手段として
「インターネットFAX」を提案したいと思う。
Web上でFAX送受信を行えるサービスで、
無駄な紙を使うことなく、通常のFAXと同じ使い方が可能だ。
次回は、この「インターネットFAX」について、
“コスト削減”、“業務効率化”という観点から、様々なメリットを紹介する。
執筆者:片桐明
インターネットFAX総合研究会特別研究員
株式会社コストダウン 代表取締役社長